死神

倦(あぐ)み続けて 匙(さじ)を投げる
桃源郷は嘘のまま
常 隙間から こちらを覗き込む何かが
生きる罪を詰(なじ)った

綽々(しゃくしゃく)と戯(たわ)る神の遊具
擦り切れた躰 引きずって
縋りつく脚は 死神だ

いつだって いつだって 乗り越えてきた
壊れかけた日々も 未だ見ぬ明日へと
声を 声を 紡いできた
生きようと 生きようと…

白妙(しろたえ)の月 霍乱(かくらん)を呼び
走馬灯を泳ぐ中
延いては四肢を 雁字搦(がんじがら)めに縛り付けて
右肩に手を乗せた

ドクドクと刻む 仏痛と
蝕んでゆく毒に倒れ
微笑んだ神は 死神だ

消え去って 消え去って この世界から
崩れ落ちる空に 手を伸ばし叫んだ
声が 声が 枯れゆくまで 足宛くんだ
生きようと 生きようと…

不慈悲な世に堕とされて 不条理に手を下され

眩しすぎる朝日に 裏切りを嘆いた
雀羅(じゃくら)に掛かる火の鳥の 夥(おびただ)しい数の冤罪を
無邪気に捌く君(かみ)は何故 誰に捌かれる事もなく

いつだって いつだって 乗り越えてきた
壊れかけた日々も 未だ見ぬ明日へと
それでも それでも まだここに生きている

消え去って 消え去って この世界から
崩れ落ちる空に 手を伸ばし叫んだ
声が 声が 枯れゆくまで 足宛くんだ
生きようと 生きようと…
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