風雪花伝

人がゆく道の裏に 花は咲く…
昔そんなふうに おそわったもんです
時代おくれだろうと
世の中が捨ててしまった ものにこそ
大事なものが ありはしないでしょうか

奈落へ落ちた 不器用者(もん)が
いつか咲かせる 桜花
誠を洗い…誠を尽くす…
それが男の 合言葉
お噂は聞いて おりました
そちらこそ まっすぐなお人だ
男の道の 風雪(かぜ)を背に
一期一会の 一期一会の 酒を酌む

損をして生きてきたなんて 思っちゃいけない
これは自分に 云いきかせてます
淋しい女に もう一度…出逢ったら
桜の大木のように 包んでやりたい
そして…男はいさぎよく…
そんな奴が 男なんじゃないでしょうか

宿命(さだめ)も運も すりきれ果てて
雨をみていた 裏窓よ
命で惚れりゃ…命はいらぬ…
それが男の 浪花節
心だけは 捨てずにおりました
その眼をみれば わかります
男の道の 風雪(かぜ)を背に
今宵 情けの 今宵 情けの 酒に酔う
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