バウムクーヘン

つまずいて、また
だれかの幸福論
見え隠れしてる
棘に刺される

吐き出したまま
しまい忘れた
愛着は傷んで
窪みはじめる

バウムクーヘンには
心惹かれることもない
そんな人間だってこと
バレないようにさ
嘯いてはささくれ

嬉しそうな君の眼に
落としたくない濁りを
曇りない心のゆくまで
おんなじ色を探してる
愛し方が違っても
ねじれて巡り合う不思議に
痛いほど賭けてる

旅人は、まだ
箱庭の中
寂しさは
薄壁越しの気配

温度計では
はかれはしない
「好き」は浮雲
羽ばたいてゆくよ

バウムクーヘンには
君と繋がるヒントが
隠されているのかも
覚悟のフォークで
一層ずつめくって

哀しそうな君の眼に
届きはしない光を
持て余すでもなく握ってる
僕は君とは違うと
言わずとも知れているよ
でも向かいあわせで座るよ
おんなじ色を探してる
裏と表のふたりも
はぐれては溶け合う甘みに
気づいてしまえば最後ね
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