GAUZE

鈍感にはなれない
薄汚れた指先で顔を覆う
また夜が明ける 朝は眩しすぎる
なぜ悲しいんだろう
わからない

正気じゃないよな
滲んでく高い空が

灰色に染まった原風景
消せない傷跡が冷たくて軋んだ
色彩もきっと壊れた光で
燦々たる日常でも
繋いだ証を何処かで咲かせたくて
痛むほどに増えてゆく GAUZE
ちらつく目の先

雨の匂い
明滅する感情
あなたのよう
鮮やかになれたなら
白すぎる肌
触れるだけで誰かを傷つけてしまう
擬態が上手くなって

湿る朝月
気だるさが這う曇り空

零れてしまった宝物
指の隙間を抜け いつの日か失くした
孤独と夢 錆び果てた送電塔
影が伸び包み込む
予感に苛まれ 線も震えるんだ
痛むほどに増えてゆく GAUZE
風揺らす花弁

悲しみ効かぬ処方箋
耳鳴り 響くはあの言葉
意志と逆 動く心臓
涙が流れる度
飴細工みたいに
輪郭を融かす
月がとても綺麗で

否定しかないこの人生も
笑える日が来るだろうか
白の波止場で
不器用にも繋いできた声が
海鳴りに混ざり響く
壊れた光の色を
波は映す
宝石の欠片のよう
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