知足

夢ばかり見ていた頃は
ひとの痛みに気づかない
ひとの痛みに気づいたあとは
もう夢なんて見られない
そんなもののようだ
カルフーンのネズミなんて信じないけど
戦はとても終わる気配が無い
この頃きみのこと
きみのことばかり
考えているんだ

自分だけが愛しい頃は
言葉の痛みに気づかない
言葉の痛みに気づいたあとは
もう自分なんて愛せない
そんなもののようだ
卑しい言葉で罵る声がする
あれはきっと自分に言ってるんだよ
百年後のこの国のこと
未来のことばかり
考えているんだ

平等という幻想に絡まって
複雑なメッセージほど誤解されて行く
この頃きみのこと
きみのことばかり
考えているんだ
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