坊がつる讃歌

人みな花に 酔うときも
残雪(ざんせつ)恋し 山に入り
涙をながす 山男
雪解(ゆきげ)の水に 春を知る

ミヤマキリシマ 咲き誇り
山くれないに 大船(たいせん)の
峰を仰ぎて 山男
花の情を 知る者ぞ

四面(しめん)山なる 坊がつる
夏はキャンプの 火を囲み
夜空を仰ぐ 山男
無我を悟るは この時ぞ

出湯の窓に 夜霧来て
せせらぎに寝る 山宿に
一夜(ひとや)を憩う 山男
星を仰ぎて 明日を待つ
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