映写機が映す空

カタカタ音立て 映し出す映写機
幸せだった日々 眺めていた

木漏れ日にあなたの 温もりを感じながら
追憶に もたれ掛かり 時を止めたまま

愛してるも サヨナラも まだ聞いていないから
忘れること なんてできない
「必ず帰ってくる」と 抱きしめてくれたよね
涙堪え ただ頷いた

カタカタ震わす 窓を叩く風
遠くで 降り出した 鉄の雨

飛び出して見上げると 天駆ける戦闘機が
夏の夜あなたと観た 花火のように散った

時代のうねりに はぐれた 優しいあなたの手は
どこで誰の 明日を奪うの
自分のためにあなたは 他人(ひと)傷つけられるほど
弱い人じゃないから 怖い

嘘が嫌いなあなたを 嘘つきにしたくない
だからずっと 待ち続ける
シワの増えた手のひらで 今日も回す映写機
涙溢れ 何も見えない
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