声優・アーティストの斉藤朱夏が、8月18日にリリースした1stアルバム 「パッチワーク」を引っ提げた「朱演2021 つぎはぎのステージ」を、12月10日(金)、パシフィコ横浜国立大ホールにて行った。8月に盛況のうちに完走したライブハウスツアー「真夏のハイウェイ」に続いてホールツアーを予定していた斉藤朱夏だが、コロナ禍の影響で11月28日グランキューブ大阪公演が中止となり、今回は万全の感染症対策の元でのスペシャルステージとなった。
底冷えのする師走の港横浜に、「朱夏人」が続々と集いホールには熱気が溢れる。ステージ上、バンドメンバーに続いて白い衣装の斉藤朱夏が登場すると場内が暗転。ライブグッズのペンライトが朱色に瞬く中、スポットライトに照らされる斉藤朱夏が「死ぬほど緊張した」というアカペラで「ワンピース」を歌い出しライブがスタート。朱と白の2色のライトが「天才なんかじゃないし、才能もないし」と、自らの想いを込めた歌声に合わせて揺れ、早くも会場は一体になる。
続くデビューミニアルバムのリード曲「くつひも」をしっとり聴かせると、アルバムと同じ曲順となる3曲目「恋のルーレット」では一転リズミカルに歌い継ぐ。新曲にしっかりクラップを合わせたり、ペンライトを振る場内を
「天才だよ」
と絶賛した斉藤朱夏は
「緊張してたけど、キミ(=朱夏人)の顔を見たら安心しました。今日も遊びに来てくれてありがとう」
と、心境を吐露しつつ、
「みんなのこと見てるよ! バンドメンバーも注目してね」
と、後方席やメンバーへ気配りを見せる。そして、
「真っ直ぐ全速力で走る」
という自らの猪突猛進振りを顧みつつ、
「やっと、休憩していいんだな。って気付きました。キミが教えてくれたからです」
と、感謝を述べ、朱色の傘をさしながらカントリー調の「あめあめ ふらるら」を披露。
パッチワークの衣装に早着替えした斉藤朱夏は、続く「パパパ」で、ステージの両側に据えられたお立ち台に乗ってライトの動きを先導する。さらに、事前に振りの練習動画をアップしていた「ぴぴぴ」へ繋ぐと、しっかり予習してきた朱夏人が信頼に応えて踊りを披露、斉藤朱夏から笑顔がこぼれる。
続いて
「少しでも暖まりますように」
と、「36°C」を唄いだし、「よく笑う理由」と続けてムーディーに会場を朱に染める。
そして
「私は泣き虫だし弱虫だし、頑固だし、ワガママ」
「このステージに立って居る時だけでも、キミの中では、少しでもいいから、ヒーローになれたらいいなって思ってステージに立っています」
と率直に気持ちを語り、涙ぐむ声を抑え、「大切な1曲」と前置きして「ヒーローになりたかった -Acoustic ver.-」を熱唱、続くTVアニメ「バック・アロウ」EDテーマ「セカイノハテ」もアコースティックアレンジで唄い上げる。
ここでしっとりした空気を切り替える様に、いつもと違う並びといなったバンドメンバー、ドラム ・今村舞、ベース・伊藤千明、ギター・ひぐちけい、キーボード/バンマスの西野恵未を紹介。さらにライブグッズのマフラータオルを取り出すと、
「盛り上がる準備は出来てる?」
と、タオル曲「 しゅしゅしゅ」でギアチェンジ、さらに
「まだまだ遊ぼうよ!」
と、「SHUKA」のロゴ入りのフラッグを手にし、客席を中央で分け
「赤」「青」
のかけ声に合わせて朱夏人がライトを点灯する「Your Way My Way」で盛り上がる。ここで
「始まりがあれば終わりがあるということで、次がラストの曲になります」
と斉藤朱夏が告げると、声出しを堪えた朱夏人はペンライトを交差させて×を示す。これに顔をほころばせた斉藤朱夏は、
「ラストとは言っても、私はこの先もずっと、ステージに立ち続けます。どんな未来が待っているか分からないけど、こうして楽しい約束をたくさんして、未来も沢山会いましょう。」
と約束、
「大人になってから言わなくなった、素晴らしい言葉」
との想いを込めた「またあした」で別れを告げた。
暗転した客席では万雷の拍手から、去りがたい気持ちを込めた一体の手拍子に変化。その想いに呼応してイントロが流れ、
「アンコールありがとう!」と、デニムとライブTシャツに着替えた斉藤朱夏が再登場、「もう無理、でも走る」で想いに熱く応えた。
ここで2022年春の東名阪ライブハウスツアー決定を報告した斉藤朱夏は、グランキューブ大阪公演の中止発表後に、
「約束を守れなかったことが悔しくて」
自分を責め、落ち込んだ事を告白。しかし中止が発表された翌日のイベントで
「みんなが、大丈夫かな?っていう顔で出迎えてくれた」
のに気付き、
「こんなんじゃダメだ、前向いて、上向いて、もうダメだと思っても走んないと。強くなるのは難しくて、ほど遠い夢なんだけど。ここにいる君が私を強くしてくれていて、じゃあここにいる君の為に何ができるか。じゃあ思い切って、まずはこの「つぎはぎのステージ」を楽しもうって。みんなが楽しみって思ってくれてるんだから。だから私は今日、もーっ! 楽しみました!」
と、全力を注いだこの日のステージを振り返る。そして、
「ライブがなくなってしまったら、生きがいがなくなって、ボロボロになってしまう」
と、ライブへの想いを告白。
「この一瞬を、今日という今を、ここにいるキミと一緒に生きれてホントにホントに幸せです、本当に、ありがとうございましたーっ」
会場と、遠くから応援してくれる総ての朱夏人、バンドメンバー、スタッフへ感謝を述べ、その滾る想いを最後の楽曲、「声をきかせて」に繋げた。そして
「私はステージっていうところが1番好きな場所で1番キライな場所です。勝手に、孤独って思ってた私に、こんなに沢山の人が付いてきてくれて、感謝しかありません。大袈裟かもしれないけれど、私はキミがいなければ生きていけません。キミがいてくれて、このステージがあって、私はその為に全力で走っています。だから、来年またキミと逢えるのを楽しみに、全速力で走っていきたいと思います。私は勝手に突っ走って、みんなのことを置いてっちゃうかもしれないけど、その時は、みんな『しゅかー! 』って叫んで。そしたら私は振り向いて『ごめーん』って言うから。そしたらまた、一緒に走ろう。また、今日という今、今という一瞬を一緒に生きましょう! またね」
と語り、笑顔とVサインで、ソロアーティストとしての2021年ラストステージを締めくくった。
YouTubeの「斉藤朱夏 Official YouTube Channel」で1stアルバム 「パッチワーク」について語った動画で自らの不器用さを告白した言葉から、歌と表現への愚直なまでの一途さが伝わって来たし、エンタメにも効率が求められる世相に抗う様に、不器用に全力で駈け続けているのも痛いほどに解った。
そしてライブと、その後のSNSでの反応から、ソロアーティスト斉藤朱夏の最大の魅力は、寄り添って、共に全力で走ってくれる同時代性にあると感じた。アーティスト・斉藤朱夏を見て、感じて、聴くことは、同時代性を共有することでもある。
ソロアーティストデビュー後の2年間の多くを、コロナ禍に翻弄された斉藤朱夏は、2022年にそのくびきから解放され、全速力で走っていくに違いない。時代を駆け抜ける斉藤朱夏に置いていかれない様に、後を付いていきたい。
PHOTOGRAPHY by Viola Kam[V'z Twinkle]
ライター:こもとめいこ♂
◎朱演2021『つぎはぎのステージ』セットリスト
01.ワンピース
02.くつひも
03.恋のルーレット
04.あめあめ ふらるら
05.パパパ TVアニメ『俺を好きなのはお前だけかよ』OPテーマ
06.ぴぴぴ
07.36°C
08.よく笑う理由
09.ヒーローになりたかった -Acoustic ver.-
10.セカイノハテ -Acoustic ver.- TVアニメ「バック・アロウ」EDテーマ
11.しゅしゅしゅ
12.Your Way My Way
13.またあした
EN1.もう無理、でも走る
EN2.声をきかせて
◎セットリスト順プレイリスト
https://saitoshuka.lnk.to/LIVESETLIST2021
◎MUSIC ON! TV(エムオン!)にて朱演2021「つぎはぎのステージ」ライブ映像とオリジナル番組の放送決定!
■M-ON! LIVE 斉藤朱夏「朱演2021『つぎはぎのステージ』」
放送日:2022年2月25日(金)
■斉藤朱夏特集
ミュージックビデオとコメントを収録したオリジナル番組
放送日:2022年1月26日(水)24:00~24:30
◎斉藤朱夏「朱演2022 LIVE HOUSE TOUR『はじまりのサイン』」
2022年4月13日(水)大阪府 なんばHatch
OPEN 18:00 / START 19:00
2022年4月22日(金)愛知県 Zepp Nagoya
OPEN 18:00 / START 19:00
2022年4月24日(日)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
[第1部]OPEN 14:00 / START 15:00
[第2部]OPEN 17:30 / START 18:30