唯一無二の声優・アーティスト、青山吉能へ「否定」の大声援!?『青山吉能トーク&ライブツアー2023 こぼればな(し)」』レポート 2023/12/25
唯一無二の声優・アーティスト、青山吉能へ「否定」の大声援!?『青山吉能トーク&ライブツアー2023 こぼればな(し)」』レポート
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声優・アーティスト青山吉能が、熊阪東を巡った『青山吉能トーク&ライブツアー2023 こぼればな(し)」』を、12月10日(日)渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて完走した。
今回は、昼夜2部制となった東京公演・夜の部の模様をレポートする。

渋谷に集った女性も目立つ幅広いファンを、場内に並んだ椅子に乗った青山吉能からの花とメッセージが出迎える。ステージはアコーステックギターとキーボードが据えられたシンプルな構成。

定刻となり暗転した場内へ、木原良輔と杉直樹による軽やかな演奏により、ファーストアルバム『la valigia』冒頭を飾った『Sunday』が流れる。ツアーグッズ「アクリルライトバングル」の青の光が灯り、昼公演とは対照的に黒いパンツルックで、レース地に花を散りばめた外套を纏った青山吉能が登場。クラップに乗って、「ありったけの微笑みを見つけよう 明日がきらめくように」と、OPに相応しい応援ソングを響かせる。
「楽しむ準備出来てますか?」
の問いかけに元気な声援を受けた青山吉能はバンドメンバー2人を見送り、昼公演に続いて構成作家の浅野ゆーじ氏を呼び込む。










トークパートが、「2023年を振り返る」と題して開始。今年は、2022年末の大ヒット作品と共に走り続けたと振り返った青山吉能は、
「作品1つで人の人生って変わるんだ…恐ろしい世の中だなってと思って。私が頑張ってきたことが、苦節10年…て。私、ずっと苦しんできたってこと?(場内爆笑)SSAで、あんな感動的なフィナーレを迎えたことも、アナタ達の中では無かったことになってるんだ…ようござんしたね」
と、本人曰く「脳内のイマジナリーアンチ」へ向けて反論。序盤から青山吉能節全開トークに、かつて感動を共有した場内の『WakeUp,Girls!』ファン、「ワグナー」が賛同の大きな拍手を送り、笑い声に包まれる。青山吉能は、場内を見渡し、
「皆さんは、今日ここに来たことを、未来の自分が誇ります」
と断言、笑いと賛同の拍手を得て
「と、いうぐらい2023年は濃い1年でしたね」
と笑顔でまとめる。そして、特殊効果や映像で演出される声優・アーティストのツアーに比べ、自身の地味なライブを
「友達を呼び難い」
と自嘲。
「来年は気兼ねなく友達を呼べる」ホールツアーを目標に掲げながら、
「このぐらいの距離感が1番好き」
とも語り、そんなせめぎ合いの中、ツアーを廻って来たと振り返る。

地元・熊本凱旋ツアーへは
「熊本で生まれ育ってきたからこそ感じる、(ツアーで)行っても福岡、という惨めさ」「福岡行って、九州網羅したとみんな思ってて、浅いな…って」
と感慨を語って福岡以外、九州6県民の心の声を代弁。
「不幸せにならない」
と、青山吉能らしい2024年の目標を立てて、今年を締めくくると「よぴぴん家のXmas」コーナーへ。自身に関するクイズに答えて福引き券を手にした青山吉能は、昼公演でのティッシュ2個という結果から一転、液晶テレビ、iPad、うまい棒詰め合わせの豪華Xmasプレゼントをゲット。時間が押していることを聞き、
「全部のBPM、190で歌います」
と発言、爆笑のうちにトークパートが終わった。







再びバンドメンバーが登場し、『Sweetly Lullaby』からライブパート開始。
「リズム合わせ踊るよ ta ra ta ta ta」とジャズ調でメロディを刻む青山吉能の歌声に、ファンも静かに聴き入る。『あやめ色の夏に』では、バラード調のメロディに乗せ「思い出はあやめ色 終わらないで ただ そっと呟く」と、淡い青春への郷愁を呼び起こす。

自身の名を冠した初めてのツアーで、楽曲を歌い込むことで表現が深化するという想いを吐露した青山吉能は、不意にストローを吸い上げる。青山吉能が
「信じられないタイミングでの水分補給」
と自嘲気味に話した瞬間場内から発せられた
「お水美味しい?」
のお約束の問いに
「お水じゃないです、これ」
と強めに切り返し、場内は割れんばかりの拍手と笑い声。
「オタク君は私達声優が自虐的なこと言ったらすぐ、(そんなこと無いよ! )って、言ってくれるもんだと思ってたんですけど、私もいよいよ年をとってきたんだな…」
と語ると、すかさず「そんなこと無いよ」の合唱で大いに盛り上がる。

青山吉能が曲を紹介すると着席、一転して静まりかえった場内へ向け、紫のスポットライトに照らされながら『Mandala』へ。「失っても 導かれたくて 何度だって求める」という扇情的なフレーズを、「Sha li lala…」のリフレインと共に染み渡らせる。
続いて夜の部だけの1曲、『たび』へ。「さよならの代わりを探す度に いつまでも変わらない願いを知る」「あてのない旅路を共にゆこう」と、「たび」という言葉に様々な意味を込めた、自らYoshino Aoyama名義で作詞を手がけたフレーズを、1人1人の心に響き渡らせる。
「旅を一緒に歩んでくれてありがとうという気持ちを籠めて歌わせていただきました。これはもう、2021年の私の気持ちなので、新鮮な私の気持ちを皆様に返せないかな…と思って出来上がった曲がありますので、1フレーズだけ歌わせてください」
と前置きし、タイトル未定のままの真新しい想いを溢れさせ、大きな拍手を浴びる。
「みんなのことを思えば思うほど、深みにハマッていくというか…一緒に地獄に堕ちようよ! という曲を今から歌いたいと思います」
と、衝撃的な曲紹介から『透明人間』へ。「肯定も否定もしないで 何者かになるよ だから今は黙って」という、青山吉能の、ファンへの想いを代弁する様な、切ないラブバラードを白いライトが瞬く客席へ向け熱唱する。







大きな称賛の拍手に間を置かず、かき鳴らされるギターの音色に被せる様に、壮大なスケール感が溢れるリズムの『Page』へ。青山吉能として手がけた、「真っ白なページ 今日を忘れず進め 未完成のままでいい 愛おしい日々を往け」という鮮烈なフレーズを歌い上げる。自身にとって、とってもとっても大切な曲、という2曲に続いて、
「最後の曲になります」
と告げる。
多くの声優・アーティストのライブであれば、お約束で「えー」という声があがるところだが、以前
「ステージに立って四方から大勢で、えーって言われると、強く否定された気がしてとても悲しい」
と訴えたため、青山吉能のライブでは、客席は静かに受け止めるのがお約束。
「えーって言いたいですか?みなさんひょっとして。そうでもない?」
と問いかけた青山吉能に、女性ファンからすかさず
「そんなこと無いよ」
の声があがり、一斉に大笑い。
「皆さん、これからも、私を否定していってください。何かあった時は私もかけつけますので…何か私がネガティブになる時は、そんなこと無いよー! って言ってくださいね」
と語りかけ、ツアー開始直前に配信を開始した新曲『空飛ぶペンギン』へ。
「君」「まだ」という短い言葉を伸びやかなメロディーに編み込み、「世界のどっか遠くに 必ずあるの」という印象的なフレーズをスポットライトを浴びて歌い上げる。
万雷の拍手に心なしか感極まった自分を解きほぐすかの様に、
「終わりまーす」「終わっちゃうのかあ」
と、笑いながら、青山吉能はステージを後にした。

拍手がクラップになり、「アンコール」の声が響き、青山吉能が再び登場。声援を浴びるも、
「私はアンコールを求められたから還ってきたのではありません!」
と宣言、さしもの民度の高いファンからも「えーっ」の声があがる。
めげない青山吉能は、謎のおじさんこと、ギター・バンマスの木原良輔、キーボードの杉直樹を紹介、拍手を浴びる。
「よぴ(青山吉能)の曲っていうのは、アッパーチューンが極端に少なくて声優ソング界では煙たがられているという…」
にすかさず「そんなこと無いよ!」の大合唱で爆笑が沸き上がる。総立ちとなった場内へ
「まだまだ盛り上がっていけますかー」
と問いかけ、大きな賛同を得、盛り上がりのままに、
「手拍子でみんなで盛り上がれる曲」
『STEP&CLAP』へ。大声が苦手な青山吉能に丁度良い、クラップがリズミカルに鳴り響き、
「時は止められやしないけど Step&Clap 輝かせて見せましょう」「Step&Clap!! 止まないでMUSIC」のフレーズで軽やかに一体となる。最後は大きな一本締めで盛り上がると、青山吉能から
「皆さんと共に、私の音楽は成り立っておりますので、今後とも青山吉能、81プロュース、テイチクエンタテインメントの応援をよろしくお願いいたします。ありがとうございました」
の声で、ツアーが締めくくられた。




声優アーティスト・アニソンが大好きで、オタクを良く知る青山吉能だからこそ可能な、こんなに声を出して笑ったことはないと思えるトークパートと、その面白さと通底したアーティスト性を感じるライブパートの2本立て、2部制という濃密なツアーファイナルは、大盛況の内に幕を閉じた。
不条理や生き辛さを溜め込みがちな、不器用さを持つ「オタク」気質の青山吉能は「作品で人生が変わった」と自嘲気味に語っていた。しかしトーク&ライブを見て、作品もまた青山吉能という大きなピースを得たことで完成し、大きな飛躍に繋がったということを実感した。
2024年以後、もっと大きな舞台に独り立つであろう青山吉能を確信した、渋谷の夜となった。


ライター:こもとめいこ♂
photo:スエヨシリョウタ


『青山吉能トーク&ライブツアー2023 「こぼればな(し)」』夜の部セットリスト
0.Sunday
1.Sweetly Lullaby
2.あやめ色の夏に
3.Mandala
4.たび
5.新曲・(仮)ワンコーラス(2024年春に配信リリース予定)
6.透明人間
7.Page
8.空飛ぶペンギン
EN.STEP&CLAP


■テイチクレコード ソロアーティスト・青山吉能公式サイト
https://www.teichiku.co.jp/artist/aoyama-yoshino/
■公式YouTube「声優 / アーティスト・青山吉能オフィシャルYouTubeチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCzzJMl1tE4qZOWG355Ji0dQ?sub_confirmation=1
■オフィシャルFC「よぴぴん家DX」
https://yopipinchidx.fanpla.jp/


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