楠木ともり、みんなと背中を護り合う、声優・アーティスト第2章へ! 『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2023「back to back」』レポート 2023/12/27
楠木ともり、みんなと背中を護り合う、声優・アーティスト第2章へ! 『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2023「back to back」』レポート
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声優・アーティスト楠木ともりが、恒例のリアルバースデーライブ『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2023「back to back」』を、12月22日(金)パシフィコ横浜にて開催した。

楠木ともりソロアーティスト活動最大規模となった本公演は年末の平日にも関わらず大盛況。海風で冷え込む横浜を見越した様なライブグッズ「モッズコート」を着込んだファンが詰め掛けた。

会場では内外ファン有志や関係各所からのフラワースタンドが出迎える。熱気で溢れる場内へ入ると、ステージのバンドメンバーポジションに楽器がスタンバイ。吊り提げられた縦長のモニターを囲う様に組まれた無骨な支柱には複数の照明が配されている。

開演となり、暗転した場内に幻想的な音色が反響、徐々にテンポアップし『ハミダシモノ』の前奏へ変化。歓声に呼び込まれる様に、楠木ともりがステージ上段に姿を見せる。モニターに映った花のイメージを背に、デニムパンツを履き、本公演のイメージカラーでもある赤と青2色を大胆に配したトレーナーを身に纏った楠木ともりは、自ら作詞を手がけた「ハミダシモノの声よ響け」という強いメッセージを発信する。
紫のスポットライトに照らされ、「いくぞ横浜!」と叫んだ楠木ともりは「正解」「時間」「才能」が「ない」というリフレインに少女の苛立ちを織り込んだ『熾火』を迸らせる。
「こんばんは、パシフィコ横浜来ましたーっ! 人が大勢いて、こんな景色は初めて見ます。楽しんでいってください」
と叫び、満員の場内から歓声を受けると『presence』へ。ライトアップされた眩いステージ上から、明るいメロディに「何度も縫いつけられた言葉」「存在証明」という刺激的な言葉を乗せ、「なんで?」「きっと」「僕でいいんだ」と言葉を紡ぐ。『StrangeX』ではmeiyoによるオノマトペを織り込んだ歌詞をテクノ調に歌いつつ、客席と手を左右に振り合い一体となる。「ドーナツ覗いたら君が笑う」というフレーズが印象的な『もうひとくち』では、大きな身振りでクラップを扇動して盛り上がり、喝采を浴びる。




楠木ともり冬の代名詞となった、1年振りの『narrow』では、モニターに窓越しの夜景が拡がり、暖色のスポットライトに包まれながら、歌い手の切ない心情を綴った。
楠木ともりは2023年を振り返り、待望の1stアルバム『PRESENCE / ABSENCE』を引っ提げての全国ツアーへの感慨にふける。各地方を呼び上げ遠征してきたファンを労いつつ、海外組の多さに眼を潤ませた。

「落ち着いた曲が続くので」と、着席を促した楠木ともりはカバーナンバー『Deep down』へ。マキマ役で出演したTVアニメ『チェンソーマン』EDを、青いスポットライトに照らされ、情感を籠めて披露。
続いてバンドメンバーと楠木ともりそれぞれをスポットライトで浮かび上がらせると、Cö shu Nieによる提供楽曲『BONE ASH』をしっとり響かせる。
ピアノ伴奏で始まる『バニラ』では、「あなたの声はバニラに溶けて 私に甘く残り続ける」という鮮烈なフレーズを熱唱、「白く馨る花を 沿えよう」と締めくくり、大きな拍手に包まれた。

楠木ともりはここで本公演と新曲共通のタイトル『back to back』に言及。
「前回のツアーで、“みんなの居場所を創り続けたい”と話しました。
ライブしたり、色々な経験を通して、自分を否定してしまう人に気付いて。私はそういう人に、『そんなことない』って思い続ける。ここには居ても良いなって思える場所を創る。そういう話をしました。

居場所ってなんだろうって考えて、私たち…あなたと私って、特別な関係だと思って。友達でも家族でもない。私たち、いつも違う景色を見て生きてる、って。

こうしてる間も、私はあなたのこと見てるけれど、あなたは私のこと見てるでしょ。あなたが頑張ってる時、どんな想いで生きて、ここに来てるか、知ることは出来ない。ずっと背中合わせで生きているんだな…って思って。

相容れないっていう意味じゃなく、背中って弱い部分で。隠して見せない部分を、背中合わせで護(まも)り合う。そういう意味で『back to back』と名付けました。

強そうとか楽しそうとか思ってくれてるかもしれないけど、私も悩んで生きてて、背中はあって。みんなに支えられて、ここに立っています。

私にとってあなたは、もの凄く頼もしいヒーローです。いつもありがとう。
だから私もみんなにとって、背中を護るヒーローでありたいです。側にいない時も、後ろで護ってもらってると感じて欲しい。感じてもらえる様に頑張る。

それが、今回のライブと、新曲『back to back』にこめた想いです。
今日が、お互いに背中を護り合う、あなたと私の新しい関係性を創り出す、アーティスト・楠木ともり第2章の始まりにしたいと思っています」
と熱い想いを吐露した。

「これから歌う曲に、そんな想いをこめて、声を聴かせて欲しいんだけど良いかな?馬鹿みたいに真面目になって、歌ってもらっても良いですか?」
との問いかけに大きな賛同の拍手が巻き起こる。楠木ともりは立ち上がったファンに背中を見せる様にリクエスト。力強い背中を見た楠木ともりは頷くと、
「私の背中を護ってくれる?いくぞ」
と叫び、『back to back』へ。

アップテンポなロックナンバーに、赤と青のライトが明滅、ビビッドに衣装と重なる。「ここにいてほしいんだ 無力なんかじゃないさ 君の背中がいい」と前のめりで絶唱。
勢いのままに、赤と青に染め抜かれたタオルを手に取ると『僕の見る世界、君の見る世界』へ。キラーチューンのタオル曲に、客席でもタオルが乱舞、「僕にしか出来ない旅をしよう きみと」と拳を突き上げると、明るくなった場内へ向けメッセージ入りの銀テープが発射され宙に舞う。
「みんな最高! 次の曲で最後になります」
へ、
「えーっ」
の大合唱に対し、
「また来てよ!居場所創って、待ってるので」
と伝え、大きな賛同の声を受け『タルヒ』へ。

暖色の光が溢れるステージから大きく手を振り、興奮を落ち着かせるバラードに「寒さを知らなければ 誰かをあたためられないでしょう」との優しいメッセージを籠める。
「ありがとうございました」
とステージを下りた楠木ともりへ拍手が鳴り止まず、クラップと「アンコール」の声で会場が一体になる。

そのヒーロー達の熱い想いに応え、楠木ともりが再登場。出演したTVアニメ『ひきこまり吸血姫の悶々』ED『眠れない feat.楠木ともり』をサプライズ披露。MIMiNARIの手による、劇中の世界観を投影した楽曲へ情感を籠めて響かせる。

続く『よりみち』の途中には、バンドメンバーが音頭を取り「Happy Birthday」のサプライズ。場内一体となっての合唱で賑々しく祝われた楠木ともりは驚きの表情から破顔一笑
「ありがとう、最高の誕生日です」
と、声をうわずらせる。

ベース・宮本將行、ドラム・高尾俊之、キーボード・幡宮航太、ギター&バンマス・菊池真義のバンドメンバーに続いて、自身がアイテム選定やデザインに関わったこだわりのライブグッズの紹介へ。恒例となったシューレースを通した靴やグッズのお披露目もあり、場内は大いに盛り上がる。2024年夏のライブも発表、念願の日比谷野音と大阪城野音、屋外ライブ初進出となることも伝えられる。楠木ともりは
「みんなの背中を見ることができて本当に嬉しかった。
アーティストデビューして3年経って、『どんなアーティストになりたい』っていうのが決まった気がして。
これから、みんなとの出会いや別れでも変わっていくのかもしれないけど…みんなの背中、私が護ってます。だから、私が弱ってるかもな…って思ったら、背中に『ぴと』ってしてくれたら嬉しいです。

自分がどんな人、どんな声優・アーティストになっていくか、怖いけれど、楽しみでもあって。みんなも色々なものを抱えて、離れての日々が続きますけど、またここへ、笑顔を見せにきてください。嫌なことを吹き飛ばして、素敵な思い出を創りましょう。1人で頑張っているあなたへ、この曲を歌って最後にしたいと思います」
と語りかけ、ハルカトミユキによる提供楽曲『それを僕は強さと呼びたい』へ。「悲しいとか悔しいとか 簡単な言葉にしないのは 流され続ける僕らの僅かな抵抗だ」と、抗うヒーロー達へ寄り添うメッセージを発し、会場の隅々まで視線を贈り、「それを僕は強さと呼びたい」と歌い上げた。最後は一斉にジャンプし、マイクオフで
「本当にありがとうございました」
と絶叫、24歳の始まりの日の記念すべきライブを締めくくった。






自身がシンガーソングライターとして多数の曲を手がけ、想いを通じた作家による楽曲と合わせたセットリストを、声優として培った表現力で伝える楠木ともり。
タイトルに籠めたテーマ、ライティングやモニターでの表現、グッズの選定やデザインも含めて構築された空間には、楠木ともりでなければ産まれなかったアーティスト性が詰まっていた。

着実に成長し続ける楠木ともりの創る居場所が、夏の野音、その先へさらに広がっていく確信を得た、横浜の夜となった。


ライター:こもとめいこ♂
カメラマン:西槇太一


『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2023「back to back」』セットリスト

セットプレイリスト
https://kusunokitomori.lnk.to/backtoback_setlist

M1.ハミダシモノ
M2.熾火
M3.presence
M4.StrangeX
M5.もうひとくち
M6.narrow
M7.Deep down(cover)
M8.BONE ASH
M9.バニラ
M10.back to back
M11.僕の見る世界、君の見る世界
M12.タルヒ

EN1.眠れない/MIMiNARI feat.楠木ともり
EN2.よりみち
EN3.それを僕は強さと呼びたい


■公式サイト「楠木ともり Offiial Websaite」
https://www.kusunokitomori.com/
■公式YouTube「楠木ともり Official YouTube Channel」
https://www.youtube.com/channel/UCYU-61cZHXE0P48ZCxvs4cQ


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