惑星PIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 田島貴男 | | 夜はぼくらをひどく悲しくする ごらん、世界は眠っている 旧い青銅や大理石の神々たち 遠い天国 ぼくに答えておくれ 愛はなぜ消えてしまう きみといるのにひどく悲しくなる 夜はぼくらを青く染める きみの泉にくちづける 遠い天国 それは素敵なスリル 愛によく似ている感覚 ごらん、夜空に何か光っている ぼくは何かを見失う |
誘惑についてPIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 田島貴男 | | すてきさ 天使がぼくらを誘惑する 手の中で花が蘇る ぼくらは奇蹟を愛し合う 真夜中のオアシスで ぼくらはひそかにくちづける ゆっくりと溶け出して 夜空に流れてゆくエロス 溢れる涙と ソウル・ミュージック 天使がヴ・レ・ヴと囁くよ 瞳の中で虹が甦る ぼくらは秘密を愛し合う 真夜中の地下室で ぼくらはひそかに愛し合う ゆっくりと昇りつめる ゆっくりと祈るぼくら 溢れる涙を止められない それは奇蹟 天使がぼくらに微笑む夏 あざやかに夢が甦る ぼくらはたがいに愛し合う ごらんよ 太陽が 月にかくれてゆくよ はるかな雷鳴 ごらんよ コマ落としで 雲が渦巻くよ ぼくらの夏の 奇蹟 |
聖三角形PIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 田島貴男 | | やわらかい あなたのはだかの胸に くちづけてはじまる 三角形のロマンス うつくしいあなたと ぼくたちふたりは たがいに愛しあう 三角形は恋のかたちさ ふるえるような 甘く、罪ふかき遊び ほんのすこし 夢中になりすぎただけさ みだらな あなたの背中のあざは あのひとがつくった 三角形の恋のかたちさ めまいのような 甘く、罪ふかき遊び 嫌われるなら それもひそかな悦び そっとささやいて 嘘をささやいて ひどく熱くなった耳たぶが 凍りつくような はかないくらい 甘く、罪ふかき遊び 顔も見たくないほど 愛してしまった それは ふるえるような めまいのような |
ワールド・スタンダードPIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 高浪慶太郎 | | 悲しいのに悲しみを忘れている人々に 悲しすぎて泣くことも忘れている人々に 世界中の悲しみを知らぬ恋人に ほら 耳を塞いでみて 悪いしらせ 何もかも聴こえぬように ほら 時が止まる 世界地図の上の何処かの街で出逢ったぼくら 世界地図の上に赤く描かれたしるし 悲しいのに泣くことも忘れている人々に 世界中の悲しみを知らぬ恋人に きみの手で そっと ぼくを目かくしして 何もかも見えないように そびえたつ壁の 世界地図の青い海に抱きあって沈むぼくら 世界地図の歪んだ大陸 きみになら こころ ひらける くちづけして 何もかも忘れるような そばにいておくれ 世界地図の上の何処かの街ですれ違うぼくら 世界地図の上の白く消された何か |
カップルズPIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 高浪慶太郎 | | ほんの少しだけ 話がしたかった きみとはしばらく 逢えなくなるし なのに言葉は すぐ途切れてしまう そして恋人たちの 美しい夏の日は終わり ただそれだけ もうあと少しだけ ここにいておくれ きみとはどうして さよならしたのかな 夢から醒めるたび 忘れてしまう 二人きり過ごした あの美しい夏の終わりさえ 何もかも いつの間にか外は 雨が降り出す そして恋人たちの 美しい夏がいま終わる もう永遠に |
日曜日の印象PIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 小西康陽 | | ぼくの 何もかもが 嫌になった 日曜の午後二時半過ぎ ひどく時間をかけて バスルームで ひげを剃っていた 年をとって ずるい顔になって ただひどく くたびれている 鏡の中のありふれた男 ありふれた話 ありふれた日曜の午後 すべて あきらめたら 暇になった 日曜の午後五時半過ぎ ぼくは外野席で 退屈な試合を見ていた 恋するたびに 恋の終わりのことを考えた きみにとっては 記念すべき日 ありふれた二人 ありふれた話 ありふれた日曜の午後 バスルームに 鍵をかけたままで もう誰もぼくに逢えない これでさようなら ひげを剃り終えた ありふれた男 ありふれた話 ありふれた日曜の午後 ひどくつまらない男 ありふれた話 ありふれた日曜の午後 |
水泳PIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 高浪慶太郎 | | いつでも 愛は手応えがない ふたりは 顔も見合わせずに 微笑む ふたりきり 夜の静かなプールに ただ浮かんでいるだけ それでも 愛は終わりがなくて うまい言い訳 思いつかずに 微笑む ふたりきり 夜の冷たいプールで 今にも溺れてゆく 誰もたすけてくれない 何もこたえてくれない 沈んでしまうよ けれども 愛は前兆もなく ふたりを ただ置き去りにして 消えるよ ふたりきり 夜の冷たいプールで 今にも溺れてゆく 誰もたすけてくれない 何もこたえてくれない 沈んでしまうよ |
セヴンティーンPIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 田島貴男 | 田島貴男 | | つめたく 髪の毛を指で とかした どこかで見たような そんなお前の そのくせ 思い出せなかった 破り棄てた フォトグラフ そして セヴンティーン セヴンティーン お前の姿 セヴンティーン セヴンティーン 歪んだとき どこか 少しうつろな お前のその眼は どこかで見たはずさ たしか ずいぶん昔に 思い出せなかった あのときのお前が つまり セヴンティーン セヴンティーン お前の姿 セヴンティーン セヴンティーン 歪んだとき 二度と会いたくなかった つめたい 髪の毛を指で とかしながら 立ち去った セヴンティーン |
これは恋ではないPIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 小西康陽 | | これは恋ではなくて ただの痛み 抱きあうたび ひどく痺れるような 夜のドライブは いつもふたりきり ラジオから流れている 「いとしのエリー」 ふたり まるで恋人みたいなふたり そして とても疲れているふたり ベイビー、ベイビー 愛しているとひと言だけ 愛しているともう一度だけ きみは天使じゃなくて ただの娘 バックシートで すこし眠るといいさ 夜のドライブは たぶんこれっきり たぶん二時過ぎには きみの家さ ふたり 何も話すことのないふたり そして きみは泣きだしてしまう ベイビー、ベイビー 愛しているとひと言だけ 愛しているともう一度だけ 愛していると言えないなんて これは恋ではなくて痛み きみは天使じゃなくて痛み そして夜のドライブは これでおしまい |
神の御業PIZZICATO FIVE | PIZZICATO FIVE | 小西康陽 | 小西康陽 | | いつかふたりが 愛を失くして はなればなれに なるとしたら 悲しいことだけど それは神の御業 どうにもならないこと それは神の御業 そしてぼくらは 愛しあえずに はなればなれに なってしまう 悲しいことだけど それは神の御業 どうにもならないこと それは神の御業 |