Glass workminus(-) | minus(-) | 石川智晶 | 藤井麻輝 | | ガラスの馬は同じ場所で 輝きさえも失ったけど ただの輝く馬でなくなって嬉しい 背中の曲線も欠けずに すべて運が良かったことに 片付けられるのは嫌だろう? モノゴトは答えを聞かずに動いてしまう 退屈すぎて首を上下にふる馬のようだ 内なる力が僕の皿の上に まだ輪郭を持っているならば 鳴いて聴かせてよ 今すぐに 美しいものなら守らねばならない 毎夜の君との語らいの中で すべて運が良かったことに 片付けられるのは嫌だろう? まだ輪郭を持っているならば 鳴いて聴かせてよ 今すぐに |
ツバメminus(-) | minus(-) | 石川智晶 | 藤井麻輝 | | 数えきれない渡りの中で 記憶に残るヒトは 私の青い体を抜けた後ろの 寒空を見ているのだよ おぼろげな姿傾け 消えていく灯を受け止めた 清然とした瞳の色だ 白い花のようなんだ 曇り空ならこの羽ゆるめて 低空飛行 無邪気に飛ぶよ あなたが許してきたものを 束の間の空 話してください 私はあなたの記憶の断片を 運んでいくのさ |
内側に向かうminus(-) | minus(-) | 石川智晶 | 藤井麻輝 | | 乾いた葉の上を互いに折り合っては 小さな水滴を集めようとする 霧が立ちのぼる場所のそんな善意の中で あの子の両腕は静かに冷やされてく 私の庭にどうせならば雨を降らせて下さい 君のどの部分が外に繋がってたのか 足首をどこまでもまとう泥水に立ち 生きるものならば当然の姿だと言えるだろうか 私の手の中 何ひとつ真新しいものは存在しない あの橋を渡っていく君の足元に 燃え光る言葉をどうぞ教えて 心掻き乱した日々の結晶 私に散りもやらずに高く昇っていくのか なぜ最高のものを私から持ち去ってしまう |
この話の続きを聞きたいかminus(-) | minus(-) | 石川智晶 | 藤井麻輝 | | 鷲の頭と翼 獅子の体 本棚に座るグリフィン ハレルヤの終わりの部分て こんな感じだったかと 小声で歌って 咳き込んだベッドの中 人と話すのは危険だよと 錆びた部分の数だけ欲しがる 表紙のない古本を枕にしてその香りで 私の姿を物語にするから 話の続きを聞きたいか 聞きたいか |
ヨハネインザダークminus(-) | minus(-) | 石川智晶 | 藤井麻輝 | | 怖いもの知らずのジョバンニが手を置いて 人生は独り言の数とその質にある 惑星を動かすのは限られた者 月夜に薄い皮膚をさらしても 早熟な種だけ摘み取られ続けた あなたの痛点は許しを得られずにいるよ 恐れるな これは私が編んだ世界だ 怖いもの知らずのジョバンニがあなたに告げる 君はこれ以上何も学ぶな 沈黙と忘却に身を投じ 冷たい床にばらまかれたナッツ 薄汚れた靴 報われないことを報われないままに 思う存分ただ嘆くのだ 恐れるな これはわたしが編んだ世界だ これはわたしが編んだ世界だ これはわたしが編んだ世界だ |