矢切の渡しちあきなおみ | ちあきなおみ | 石本美由起 | 船村徹 | | 「つれて逃げてよ…」 「ついておいでよ…」 夕ぐれの雨が降る 矢切りの渡し 親のこころに そむいてまでも 恋に生きたい 二人です 「見すてないでね…」 「捨てはしないよ…」 北風が泣いて吹く 矢切りの渡し 噂かなしい 柴又すてて 舟にまかせる さだめです 「どこへ行くのよ…」 「知らぬ土地だよ…」 揺れながら艪が咽ぶ 矢切りの渡し 息を殺して 身を寄せながら 明日へ漕ぎだす 別れです |
さだめ川ちあきなおみ | ちあきなおみ | 石本美由起 | 船村徹 | | 明日のゆくえ さがしても この眼に見えぬ さだめ川 あなたの愛の 流れるままに ゆるした夜は 雨でした 二人の恋を 憎むよな うわさが辛い さだめ川 故郷の町を 逃れる旅は いずこの山が また海か すべてを水に ながしては 生きて行けない さだめ川 あなたの愛に 次ぎの世までも ついて行きたい 私です |
酒場川ちあきなおみ | ちあきなおみ | 石本美由起 | 船村徹 | | あなたの憎くさと いとしさが からだのなかを 流れます 子犬のように 捨てられた 女の恋の みじめさを 酒と泣きたい 酒場川 男のこころも 読めないで おぼれるだけの 恋でした 死ぬより辛い 裏切りを 怨んでみても 無駄なのね 涙こぼれる 酒場川 私と暮らした アパートで あなたは誰と いるのでしょう グラスの酒に 酔いしれて 心の傷を 洗いたい ネオン悲しい 酒場川 |
ちあきの夢は夜ひらくちあきなおみ | ちあきなおみ | 西沢爽 | 曾根幸明 | 田辺信一 | 恋の遊びの 夜が明けて 白い車は 消えたけど 消えぬ あなたの おもかげに 夢は夜ひらく 来ないあなたと 知りながら 二つコーヒー とりました 雨の夜更けの 喫茶店 夢は夜ひらく 髪を染めても ただうつろ 爪を染めても ただうつろ 夜の鏡に 涙ぐむ 夢は夜ひらく 愛を知らない 女より たとえ泣いても 悔んでも ひとを愛した 思い出に 夢は夜ひらく きっとなれます しあわせに そんなカードの 占いの 嘘を信じて 待ちましょう 夢は夜ひらく 夢は夜ひらく |
アカシヤの雨がやむときちあきなおみ | ちあきなおみ | 水木かおる | 藤原秀行 | | アカシヤの雨に打たれて このまま死んでしまいたい 夜が明ける 日がのぼる 朝の光のその中で 冷たくなった私を見つけて あのひとは 涙を流してくれるでしょうか アカシヤの雨に泣いてる 切ない胸はわかるまい 想い出の ペンダント 白い真珠のこの肌で 淋しく今日も暖めてるのに あのひとは 冷たい眼をして何処かへ消えた アカシヤの雨がやむとき 青空さして鳩がとぶ むらさきの はねのいろ それはベンチの片隅で 冷たくなった私の脱けがら あのひとを 探して遙かに飛び立つ影よ |
星の流れにちあきなおみ | ちあきなおみ | 清水みのる | 利根一郎 | 高田弘 | 星の流れに 身を占って どこをねぐらの 今日の宿 すさむ心で 枯れはてた こんな女に 誰がした 煙草ふかして 口笛ふいて あてもない夜の さすらいに 人は見返る わが身は細る 町の灯影の わびしさよ こんな女に 誰がした 飢えて今ごろ 妹はどこに 一目逢いたい お母さん ルージュ哀しや 唇かめば 闇の夜風も 泣いて吹く こんな女に 誰がした |
カスバの女ちあきなおみ | ちあきなおみ | 大高ひさを | 久我山明 | 高田弘 | 涙じゃないのよ 浮気な雨に ちょっぴり この頬 ぬらしただけさ ここは地の果て アルジェリア どうせカスバの夜に咲く 酒場の女の うす情け 唄ってあげましょ わたしでよけりゃ セーヌのたそがれ まぶたの都 花はマロニエ シャンゼリゼ 赤い風車の 踊り子の 今更かえらぬ 身の上を あなたもわたしも 買われた命 恋してみたとて 一夜の火花 明日はチュニスか モロッコか 泣いて手を振る うしろかげ 外人部隊の 白い服 |
夜霧よ今夜も有難うちあきなおみ | ちあきなおみ | 浜口庫之助 | 浜口庫之助 | | しのび会う恋を つつむ夜霧よ 知っているのか ふたりの仲を 晴れて会える その日まで かくしておくれ 夜霧 夜霧 僕等はいつも そっと云うのさ 夜霧よ今夜も有難う 夜更けの街に うるむ夜霧よ 知っているのか 別れのつらさ いつか二人で つかむ幸せ 祈っておくれ 夜霧 夜霧 僕等はいつも そっと云うのさ 夜霧よ今夜も有難う 夜霧よ今夜も有難う |
愛の旅路をちあきなおみ | ちあきなおみ | 山口あかり | 藤本卓也 | 森岡賢一郎 | 死ぬも生きるも あなたひとりと 恋に賭けたい 命ひとすじ 砂を噛むよに暮した 悲しい過去を いとしその手で 暖めてほしい だから待つの 愛の旅路を あなたとあなたと歩く とげにさされて 傷に哭(な)いても なんで捨てよう 愛のこの夢 たとえ戯れの恋でも 信じていたい 抜けがらのあなたを 抱きしめてつよく いまはいいの 愛の旅路を あなたとあなたと歩く 暗い夜空に 星がまたたく 朝がくるまで 愛をともして いつかわたしの胸にも あなたが燃えて 星空あおいで 幸せを唄う 夢をみるの 愛の旅路を あなたとあなたと歩く |
花と蝶ちあきなおみ | ちあきなおみ | 川内康範 | 彩木雅夫 | 森岡賢一郎 | 花が女か 男が蝶か 蝶のくちづけ うけながら 花が散るとき 蝶が死ぬ そんな恋する 女になりたい 花が咲くとき 蝶が飛ぶ 蝶が死ぬとき 花が散る 春を競って あでやかに どちらも どちらも 命を賭ける 花のいのちは 短いけれど 蝶のいのちも はかなくて 花が散るとき 蝶が死ぬ そんな恋する 二人になりたい |
逢わずに愛してちあきなおみ | ちあきなおみ | 川内康範 | 彩木雅夫 | 森岡賢一郎 | 涙枯れても 夢よ枯れるな 二度と咲かない 花だけど 夢の 夢のかけらを せめて せめてこころに あゝ永久に ちりばめ 逢わずに愛して いついつまでも 逢えば別れが つらくて泣ける 恋のねぐらは どこにある 鳥に 鳥になりたい そっと そっとこころで あゝ 紅の命を 逢わずに愛して いついつまでも はなればなれの 運命におかれ 愛がなおさら つよくなる 何が 何があっても すがり すがり生きぬく あゝ 死にはしないわ 逢わずに愛して いついつまでも |
別れたあとでちあきなおみ | ちあきなおみ | 白鳥朝詠 | 鈴木淳 | | 「あそびにしよう」と あなたが言った 「そうね」と私も 笑って別れた それで終った 恋なのに なんで今更 涙が出るの 愛していると わかったことが 遅すぎたのね 別れたあとじゃ 「浮気でいいね」と あなたが言った 「いいわ」と私は 抱かれて燃えた それで終った 夜なのに なんで今更 悩んで泣くの 死ぬほど好きと わかったことが 遅すぎたのね 別れたあとじゃ 「逢うのはよそう」と あなたが言った だまって私は 涙を拭いた それで終った 朝なのに なんで今更 あきらめないの 命をかけて 愛することが 遅すぎたのね 別れたあとじゃ |
ゴンドラの唄ちあきなおみ | ちあきなおみ | 吉井勇 | 中山晋平 | 佐伯亮 | いのち短し 恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の明日は 無いものを いのち短し 恋せよ乙女 いざ手をとりて かの船に いざ燃ゆる頬を 君が頬に ここには誰も 来ぬものを いのち短し 恋せよ乙女 黒髪の色 あせぬ間に 心の炎 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを |
北帰行ちあきなおみ | ちあきなおみ | 宇多博 | 宇多博 | 栗田俊夫 | 窓は 夜露に濡れて 都 すでに遠のく 北へ帰る 旅人ひとり 涙 流れてやまず 夢は むなしく消えて 今日も 闇をさすろう 遠き想い はかなき希望(のぞみ) 恩愛(おんあい) 我を去りぬ 今は黙(もく)して行かん なにを 又語るべき さらば祖国 愛(いと)しき人よ 明日は いずこの町か |
惜別の唄ちあきなおみ | ちあきなおみ | 島崎藤村 | 藤江英輔 | 栗田俊夫 | 遠き別れに たえかねて この高殿に 登るかな 悲しむなかれ 我が友よ 旅の衣を ととのえよ 別れといえば 昔より この人の世の 常なるを 流るる水を 眺むれば 夢恥かしき 涙かな 君がさやけき 瞳(め)のいろも 君紅(くれない)の 唇も 君が緑の 黒髪も またいつか見ん この別れ |
新宿情話ちあきなおみ | ちあきなおみ | 猪又良 | 船村徹 | 船村徹 | 新宿は 西口の 間口五尺の ぽん太の店が とうとうつぶれて 泣いてるヒロ子 三畳一間で よかったら ついておいでよ ぼくんちに 東京は 広いから 親も故郷も 知らない人が ヒロ子の他にも いっぱいいるさ 泣くのはいいけど 泣いたなら ぼくの笑顔が 見えなかろ これからは どうなるの 赤いランプの 最終電車 しょんぼり見送る ヒロ子の涙 風呂敷包を 中にして つなぐ手と手に 霧がふる |
柿の木坂の家ちあきなおみ | ちあきなおみ | 石本美由起 | 船村徹 | 船村徹 | 春には 柿の花が咲き 秋には 柿の実が熟れる 柿の木坂は 駅まで三里 思いだすなァ ふる里のヨ 乗合バスの 悲しい別れ 春には 青いめじろ追い 秋には 赤いとんぼとり 柿の木坂で 遊んだ昔 懐しいなア しみじみとヨ こころに返る 幼い夢が 春くりゃ 偲ぶ馬の市 秋くりゃ 恋し村祭り 柿の木坂の あの娘の家よ 逢ってみたいなァ 今も尚ヨ 機織りながら 暮していてか |
王将ちあきなおみ | ちあきなおみ | 西條八十 | 船村徹 | 船村徹 | 吹けば飛ぶよな 将棋の駒に 賭けた命を 笑わば笑え うまれ浪花の 八百八橋 月も知ってる 俺らの意気地 あの手この手の 思案を胸に やぶれ長屋で 今年も暮れた 愚痴も言わずに 女房の小春 つくる笑顔が いじらしい 明日は東京に 出て行くからは なにがなんでも 勝たねばならぬ 空に灯がつく 通天閣に おれの闘志が また燃える |
別れの一本杉ちあきなおみ | ちあきなおみ | 高野公男 | 船村徹 | 船村徹 | 泣けた 泣けた こらえきれずに 泣けたっけ あの娘と別れた 哀しさに 山のかけすも 鳴いていた 一本杉の 石の地蔵さんのよ 村はずれ 遠い 遠い 想い出しても 遠い空 必ず東京へ ついたなら 便りおくれと 云った娘 りんごのような 赤い頬っぺたのよ あの泪 呼んで 呼んで そっと月夜にゃ 呼んでみた 嫁にもゆかずに この俺の 帰りひたすら 待っている あの娘はいくつ とうに二十はよ 過ぎたろに |