母恋三味線大月みやこ | 大月みやこ | たなかゆきを | 川上英一 | | いつの間にやら ネオンの町に 泪いろした 雨が降る 娘ざかりを さすらいの 三味にまかせた 身の上よりも 聞いて下さい 流し唄 どこか知らない 遠くの空で 母が呼ぶよな 声がする 縋(すが)りつくよに 振りむけば つなぎ止めてた 希みの糸が なぜか情(つれ)なく また切れる 愛想笑いも 上べの仕草 心もとない ひとり旅 たとえ私は 濡れたとて せめて三味だけ 濡れないように そっとかばった 露地の裏 |
潮来舟大月みやこ | 大月みやこ | たなかゆきを | 川上英一 | | こんな悲しい 涙の恋を 知っているやら 利根の月 真菰(まこも)がくれに 人目をさけて 今日も棹(さお)さす 潮来舟 うわさばかりで 帰らぬ人を 待てば十九の 春がくる 呼んでみましょか 水竿(みざお)を止めて あやめ祭りの あの夜を 潮来お前は 十二の橋を もっていながら 何を泣く わたしゃひとつの 思い出さえも 消えてはかない 捨て小舟(おぶね) |
ひなげし小唄大月みやこ | 大月みやこ | 夢虹二 | 坂口ふみ緒 | | 赤いひなげし 咲いたとて 花の咲かない この私 ここはこの世の 行きどまり 弱い女の 泣くところ 知らぬ他国に 降る雨は なぜか心に 沁みるもの まして日暮れは なおさらに 遠いふるさと 恋しくて 風よ伝えて 父さんに 雲よ伝えて 母さんに どうかお体 大切に 帰るその日を 待っててと 赤いひなげし 咲くように いつか花咲く ときが来る 望み捨てずに 待ちましょう 明日の幸せ 呼びながら |
大阪夜霧大月みやこ | 大月みやこ | 秋田泰治 | 川上英一 | | 好きになっては いけないと 誰も教えて くれなんだ ひとり歩きの 御堂筋 なんで今夜も 霧が降る 「千日前の人混みの中をあの人に寄り添う て歩いてるだけでうちはしあわせやった。 このしあわせが いつまでもつづきます ようにゆうて 指切りしてくれたん嘘や ったなんて… うちには信じられへん。」 なまじ来る気じゃ なかったに 赤いネオンに 誘われた 恋の難波の 人波に もしや もしやの 空だのみ 「道頓堀 心斎橋… なにもかも もう 夢や 思い出の中に ぼんやりと灯と もしてるだけやけど…うちも浪花っ子 や もう泣かへんもう泣かへんで…」 せめて泣くだけ 泣いたなら はれてくるそな この胸も 霧で溶かした 思い出を 夜の大阪 どこで消そ |
別れてひとり大月みやこ | 大月みやこ | 白鳥園枝 | 市川昭介 | | 別れはすませた はずでした 悔やみはしない はずでした 女の命を かけた人 愛してる 愛してる 心が燃える あなたにも一度 逢わせてほしい 想いは残さぬ はずでした ひとりに慣れた はずでした 飲めないお酒に 泣いた夜は すがりたい すがりたい あなたの胸に 別れて三年 どうしているの 気強く生きてく はずでした 弱音はいわぬ はずでした 女の涙を わかってほしい 信じてる 信じてる 逢える日だけを 私は一人じゃ 生きられません |
大阪ごころ大月みやこ | 大月みやこ | 秋田泰治 | 聖川湧 | | 泣けばあなたが 帰るなら 涙涸(か)れても 悔いはない 一人きました 御堂筋 すがりたいのよ もう一度 あー雨が、雨が 雨が思い出つれてくる…大阪ごころ 誰に話せば 消えるのか 女ごころの 泣きぼくろ 夜が流れる 北新地 細い小指に からみつく あー雨が、雨が 雨があなたを呼ぶような…大阪ごころ あても頼りも 無いけれど 両手合わせる 法善寺 なさけ難波(なんば)の 恋灯り いつかあなたに めぐり逢う あー夢を、夢を 夢を見ました今日もまた…大阪ごころ |
大阪ふたりづれ大月みやこ | 大月みやこ | 芦原みづほ | 伊藤雪彦 | | あなたに寄り添い 傘さしかけりゃ 路地の灯りが にじんでゆれる 小雨そぼふる 宗右衛門町よ いまは人目も 気にしない 愛合傘(あいあいがさ)で 愛合傘で 大阪ふたりづれ キタからミナミへ 移って二年 たえてきました 浮きぐさ暮らし やっと掴んだ 幸福だもの この手この指 離さない 愛合傘で 愛合傘で 大阪ふたりづれ 覚えたばかりの 恋うたひとつ うたうあなたの 優しさが好き まわり道して 帰りましょうか 雨も小降りの 御堂筋 愛合傘で 愛合傘で 大阪ふたりづれ |
とまり木の花大月みやこ | 大月みやこ | たかたかし | 小林亜星 | 池多孝春 | あなただけよと 躰をよせて 咲いてみたけど 散らされた 雨よ降れ降れ おんなの涙 にくみきれない あの人だから 酒におぼれる とまり木の花 浮いて流れて 夜の川 しょせん私は 浮草よ 雨よ降れ降れ おんなの涙 恋のみれんを流しておくれ 酔って泣いてる とまり木の花 夜の化粧で酒をつぐ そんな生活が似合ってる 雨よ降れ降れ おんなの涙 夢をください 消えない夢を 泣いて紅ひく とまり木の花 |
乱れ花大月みやこ | 大月みやこ | 松本礼児 | 幸耕平 | | 額(ひたい)の髪を 掻(かき)あげながら 鏡にむかえば 泣けてくる 愛する気持とおなじだけ ニクい気持がつのります 乱れて咲いても花は花 生命に限りはあるけれど 好きだから あなたひとりが好きだから せめてこころだけでも 置いていってね ダメでもいいわ 叶わなくても 望みはしないわ これ以上 私はいいのよこのままで バカを承知で惚れたから 乱れて咲いても花は花 あなたの気のむくままでいい 好きだから あなたひとりが好きだから 泣いてみるわ今夜も 涙かれるまで 煙草のけむり 目で追いながら ため息ばかりを くり返す 冷たい躰を重ねても いつか別れが待っている 乱れて咲いても花は花 私の心が見えますか 好きだから あなたひとりが好きだから どうぞ忘れないでね 離れていても |
豊予海峡大月みやこ | 大月みやこ | 星野哲郎 | 船村徹 | | 女に去られた 男がひとり 男に去られた 女がひとり 群(む)れる鴎を 振り切るように 伊予路(いよじ)へ向う 船の上 あんたもかい… 私もよ… 傷を見せあう 豊予海峡 ひとりがいいよと 強がる男 気楽でいいねと 粋がる女 知らぬ同志が 酒くみかわす 潮路は暮れる 佐田岬 泣かないで… 泣かないわ… 交す目と目に 宿(やど)る灯(ともしび) 死ぬのはやめたと 男が叫ぶ 私もやめたと 女がわらう 生きるのぞみを みつけた二人 やさしく照らす 瀬戸の月 がんばろうね… ふたりでね… 影がより添う 豊予海峡 |
命の花大月みやこ | 大月みやこ | 斉藤夕紀 | 船村徹 | | このままおそばにおいて下さい 冷(つ)めたすぎます夜の風 尽(つく)す事さえ許されず たとえこの世で添えぬとも ついて行きたい あなたとならば わかっていました今日(きょう)の別れは 心残りの宵化粧(よいげしょう) 義理に裂かれた二人でも 揺れる心を道づれに 生きて見せます 力の限り も一度だけでも 巡(めぐ)り逢(あ)えたら ともに手を取り暮らしたい 春の湯島(ゆしま)に散る梅の 香り届かぬはかなさを 泣けば枯れます 命(いのち)の花(はな)が |
花宴大月みやこ | 大月みやこ | 水木れいじ | 浜圭介 | | いろんな事が あったわ 騙(だま)されたことも あった 泣きたいときは いつも そっと溜(た)め息 ついたわ もっと愚(おろ)かに なれたら いっそ淫(もだ)らに 酔えたら いやな苦労も みないで 甘い生活(くらし)も できたわ 夢ちりぢり 道さまざま 女(ひと)それぞれ 艶(いろ)とりどり 恋は 花宴(はなまつり)…… 咲く 花散る花 燃える花 泣く花 待つ花 私は揺(ゆ)れる花 眠りつけない 夜更(よふ)けは すこしお酒を 飲みましょ そして街(まち)の灯(ひ) みつめて 明日(あす)の幸せ 祈(いの)るの どんな冷たい 雨でも 季節はずれの 嵐も 今日(いま)を素敵に 生きれば むかし話に 変わるわ 星かがやき 風きらめき 男(ひと)ゆきかい 胸ときめき 恋は花宴(はなまつり)… 咲く花 散る花 燃える花 泣く花 待つ花 私は揺(ゆ)れる花 夢ちりぢり 道さまざま 女(ひと)それぞれ 艶(いろ)とりどり 恋は 花宴(はなまつり)…… 咲く 花散る花 燃える花 泣く花 待つ花 私は揺(ゆ)れる花 |
女の港大月みやこ | 大月みやこ | 星野哲郎 | 船村徹 | | 口紅(くちべに)が 濃(こ)すぎたかしら 着物にすれば よかったかしら 二ヶ月(ふたつき)前に 函館で はぐれた人を 長崎へ 追えば一夜(ひとよ)が 死ぬほど長い 私は港の 通(か)よい妻 信じても ひとりになると ぷつんと切れる ふたりの絆(きずな) たしかめあった 横浜の 桟橋(さんばし)はなれ 塩釜(しおがま)へ 向うあなたが もう気にかかる いつまでたっても 恋女(こいおんな) 海猫の 声ききながら 港の宿で あなたを待てば たずねる船は 青森にゃ 寄らずに 佐渡へ行くという つらい知らせは 馴れっこだから 夜汽車でマフラー 編(あ)むのです |