声優・アーティスト、ペイトン尚未がワンマンライブ『ペイトン尚未3rd LIVE「物語」』を9月23日(火祝)「ところざわサクラタウンジャパンパビリオン ホール A」において昼夜2部制にて行った。9月12日リリースの4th シングル『ねがいプロローグ』を引っ提げ、ソロアーティストとしては初の地元・埼玉凱旋となったライブから夜公演の模様をレポートする。
快晴となった祝日のところざわサクラタウン。内外からアニメ・ゲームファンが多数来場する中、ジャパンパビリオンホール A前には、ライブTシャツ姿の浪漫派(ペイトン尚未ファンの呼称)が集結。客席フロアでは、正面の大スクリーンにライブロゴが映し出され、ステージ上にはライトやスモークが並び、左右にボックス、キーボードが配されている。
暗転し、スクリーンにペイトンによる「物語」のプロローグが映し出される。これは「もしも、歌をみんなに届けられたら」という少女の想いで始まる「歌を愛する女の子がみんなに歌を届ける物語」で、本公演のテーマとなっている。
映像が終わると、パステル調のワンピースに身を包んだペイトンが登場。客席でピンクのペンライトとリングライトが点灯し、ライブの幕開けに相応しい4thシングル表題曲『ねがいプロローグ』で開演。アップテンポなメロディに乗って左手にマイクを握ったペイトンは、「確かな声で 紡いで鍵を開くよ 同じ未来を描こう これはキミとの物語」というライブとシンクロする歌詞を、透明感溢れる声でホールへ響かせる。客席と手を振り合わせ、「この世界を笑顔いっぱいにすること」「この世界から傷を減らしてゆくこと」という想いを伝える。続いて2nd LIVE『泡沫』以来の歌唱となる、ゴシックなテクノラップ『Unlock Story』へ。中空を禍々しくレーザーが走り、それに合わせた様にライトを赤く灯した浪漫派へ向け、ペイトンはステージを左右へ移動しながらキレのあるダンスで魅せる。
「ようこそ! 夜公演始まりましたね。
やっぱみんなの顔が見えると安心するんですよね。出る前は緊張しちゃうから。」
と挨拶すると、
「今聴いていただいた新曲『ねがいプロローグ』、キミとの物語という歌詞の通り、今回のライブタイトルも『物語』ですし、素敵な物語をみんなと一緒に紡いでいけたら良いなと思っております」
と本公演のテーマとこだわりを明かした。
「次の物語のページをめくる前に、あの曲でみんなと一緒に盛り上がっていきたいなと思います! 3rd LIVE『物語』、最後まで付いて来て下さい」
と『リコルド』へ。自らのリクエストで青いライトで染まった客席へ、コールを扇動したペイトンは、高BPMで転調を繰り返す難曲を、声優・アーティストならではの表現力で歌唱。
「良いね!」
と叫んでステージを移動し、浪漫派と隅々まで視線を交わす。暗転し軽やかなBGMが流れる中、ペイトンが舞台下手のボックスに座り本のページを括ると、スクリーンに映る本も開かれ、第1章「魔法の世界」が始まる。お姫様が登場する物語の世界感は欧州の童話やお伽噺をイメージしたような英文で、右側に日本語字幕が流れる。ライブの幕間映像を敢えてテキストで構成する為に、平易な文字や表現にこだわって書き下ろしたとのことで、ペイトンの活字と本への愛情、さらにはそれを愉しむ浪漫派との信頼関係も伝わってくる。
語り部として第1章を伝えたペイトンは『魔法』へ。「その一瞬で世界は変わっていく 共に行こうよ夢見たあの場所まで」と唄い出しからステージを左右へ移動し、明るくポジティブなメロディに乗って「独りで抱え込む事なんてないから 浪漫てぃっくな魔法をかけよう」と語りかける。、大歓声を浴びて最後は両手を胸元に寄せ可愛い決めポーズ。白いスポットライトを浴びたペイトンが微笑を浮かべると場内は静寂に包まれ、自身の誕生日を冠した、ライブだけの特別な1曲『7月1日』へ。初めて自らが作曲したメロディに浪漫派への熱い感謝を歌詞に込め、ハイトーンをホールに染み込ませる。
場内暗転し、不穏なBGMが流れる中ペイトンが再び本を開くと、第2章「ひとりぼっちの世界」が映し出される。
魔法の世界を出た女の子が、ギリシャ神話の義憤の女神の名を冠した「ネメシス」と出逢うストーリーから、ステージ上がビビッドなライティングで幻想的な色合いに染まり2ndシングル『Nemesis』リード曲『ネメシス』へ。紅く染まった客席へ、独特の世界感に彩られた「君はいつだって清楚な人形 仄暗い啓示 観測したって 物言わず眺めるだけ」「為す術無く麻痺っていく感性」という刺激的な歌詞を紡ぐ。一転してライトグリーンのスポットライトが降り注ぎ、客席のライトも青く変化。4thシングル収録『水想』へ。澄んだ唄声と親和性の高い、ゆったりしたメロディに「追いかけても 追いかけても」「問いかけても 問いかけても」という印象的なリフレインを乗せ、ステージを広く使ったアクティングで何かを追い求めて見せる。白いスポットライトに照らされ、客席のペンライトも白く変わると『Shine on you』へ。中毒性あるダンサブルなメロディに乗り、
「物語はまだまだ途中です、最後まで一緒に声、聴かせてください! 行くよ shine on you!」
と声をかけると、場内が歓声とクラップで一体となる。
「みんなたくさん声出してくれたり、クラップしてくださったり、本当にありがとうございます。」
と声をかけたペイトンは
「『Shine on you』の後のMCでする話じゃないのは解ってるんだけど」
と前置きし、昼公演に引き続き埼玉西部のソウルフード「焼き団子」と「武蔵野うどん」を紹介。続くMCでは、この日がライブ初披露となる楽曲『水想』に言及。
「一人ぼっちになりたい時とか、もう今は何も考えたくない! っていう時に『水想』を聴くと、寄り添ってくれるみたいな感覚になれる。そんな力のある楽曲…静かな力持ちな楽曲です。」
と楽曲の魅力を伝える。
「物語のページをめくる前に、この曲を皆さんに聴いていただきたいなと思います」
と前置きし、『アリア』へ。オルゴールを連想させる音や、レトロモダンなサウンドに合わせてマリオネットの様な動きを織り交ぜながら、ムーディーな歌声を響かせ、客席では赤いライトが揺れる。
暗転し、素朴なストリングスの響きと共にペイトンが本を開くと、第3章「星空の世界」へ。女の子と妖精の旅は宇宙へと拡がり、新たにコスモというキャラクターも登場、その物語とシンクロする様に『コスモノーツ』へ。「走り出す僕ら 世界はまだ夢を隠してる 何回だって夜を越えて」というフレーズから始まるアッパーチューンにステージと客席が群青に染まり、ペイトンが右の拳を掲げてコールを扇動。「世界が明日滅ぶなら 君と連れ立って 星の終わりを見に行こう」「息が詰まるような日々 君は始まりを僕にくれた」と痛切な蒼い迸りをハイテンションに滾らせる。
暗転して静寂に包まれる中、キーボードへと歩み寄ると、スポットライトに包まれながら自ら作詞作曲を手がけた『浪漫てぃっく!』の弾き語りをサプライズ披露。幼少期に3年程習っていたピアノを、今回のライブに向け改めて猛特訓したというペイトンは、「ねぇ君の世界を教えて」「それでも憧れは手放せない なりたいだれかのヒーローに」と弾き語り、ピンクのライトを灯した浪漫派を魅了する。ペイトンが魅せた新しい引き出しに浪漫派から称賛の拍手が送られ、続く2番は立ち上がってステージ中央へ。打って変わってアップテンポに「だって春はすぐそこ」「だから何度でも立ち上がってこれたよ」
と熱唱、歓声を受けてスカートを翻し悦びを爆発させると、続けて自らが作詞・作曲した『だから』へ。「何度立ち止まったとしても また歌うよ」「諦めない誓うよ 自分に」と浪漫派へ感謝の気持ちを響かせる。
ペイトンが本を手に取ると、女の子と妖精の物語はエピローグへ。余韻に浸る浪漫派へ深々とお辞儀をし、手を振りながら静かにステージを後にした。
万雷の拍手がホールに響き、鳴り止むどころか大きくなり、大「尚未」コールへと変化する。浪漫派の声に応えて『ボイ』OPが流れる中、ライブTシャツに着替えたペイトンが
「すいません、おいモンブラン1つください。え?売り切れ?そんなあー」
とサクラタウン内を訪れた時のエピソードをなぞって笑いを誘いつつ再登場。4th シングル収録の『ボイ』は、事前に自身のYouTubeチャンネルに応援動画を公開済み。ステージを所狭しと移動しながら、コールを事前に予習してきた浪漫派とのコール&レスポンスで盛り上がり、場内一体が熱気に包まれる。
「みんな予習してきてくださってましたね。ありがとう! このノリね、あんまりペイの楽曲ではやったことがなくて、新鮮な景色でした。」
と感謝を伝える。
「今まで曲数が少なかったからカバー楽曲も多かったんですけど、今回は全部オリジナル曲で開催することができました。
自分の曲だけでライブできるのって…浪漫派のあなたが、次の曲も愉しみにしてます、と待っていてくれたことが繋がっていってるんだな…って、本当にたくさんたくさん思いました。一つの夢だったので…全部の曲を自分のオリジナル楽曲でっていうのが。ありがとうございました。」
と話すと、
「みんなに愉しかった?って訊こうとしたんだけど、みんなの笑顔が答え合わせでした。みんなもありがとう。みんな自分に拍手! (場内大きな拍手)。」
と、公演を共にした会場全体に拍手が響いた。
「この物語のラストを飾る素敵な楽曲を、心を込めて歌わせてください」
と再び『ねがいプロローグ』へ。物語のエンディングを迎えた事で、次へのプロローグという新しい色合いを見せる歌詞を、ステージを端から端まで移動して浪漫派へ手を振り「まぁ我儘だけど付き合ってね! これはキミとの物語」と響かせる。
「ありがとーうっ」
と絶叫したペイトンは再び客席の隅々まで視線を送り、
「みなさん、本日は沢山の願い事を叶えてくださり、本当にありがとうございました。ペイトン尚未でした、また逢いましょーっ」
と謝意を示し両手を振りながら3rd LIVE『物語』を締めくくった。
今回のライブに向けて書き下ろしたという『物語』を始め、自身含む新進のクリエイターによる蒼い表現を唄いこなす同時代性、弾き語り、そしてユニットやグループでなく、ソロのホール公演だからこそ改めて気付かされた透明感溢れる唄声など、ペイトン尚未のアーティスト性の高さを再確認することが出来た。今年はさらに『リスアニ!LIVE TAIPEI 2025』への出演、ソウルでの『Say U Fan vol.10 ペイトン尚未 FAN MEETING』、大阪での『浪漫派みーてぃんぐ2025』の開催と、ソロの声優・アーティストとしての公演が決まっている。
声優・アーティスト、ペイトン尚未によって今後紡がれる物語への期待が膨らむ所沢の夜となった。
ライター:こもとめいこ♂
◎ペイトン尚未 3rd LIVE「物語」」セットリスト
―Film:プロローグー
M01.ねがいプロローグ
M02.Unlock Story
M03.リコルド
―Film:第1章「魔法の世界」―
M04.魔法
M05.7月1日
―Film:第2章「ひとりぼっちの世界」―
M06.ネメシス
M07.水想
M08.Shine on you
M09.アリア
―Film:第3章「星空の世界」―
M10.コスモノーツ
M11.浪漫てぃっく!
M12.だから
―Film:エピローグー
EN1.ボイ
EN2.ねがいプロローグ
■ペイトン尚未公式サイト「ペヰトン浪漫」
https://smavoice.jp/s/sma03/artist/27?ima=1043■ペイトン尚未公式YouTube
https://www.youtube.com/@NaomiPayton_official■『ペイトン尚未の「クリエイト倶楽部」第43回「ペイトン尚未 3rd LIVE『物語』」最速感想放送!
https://nicochannel.jp/paytoncreate/video/sm7Vp6McR8sYt4v7cpubtTzx<<アニメ歌ネットトップへ戻る>>