声優・アーティスト・愛美が、今夏リリースの初ハーフアルバム『A/CODE』を引っ提げ、東名阪を巡るスタンディングライブツアー『AIMI LIVE TOUR 2025 “NEW WORLD”』が11月1日(土)に神奈川・YOKOHAMA Bay Hallで開幕した。
今回はソールドアウトとなったツアー開幕の神奈川・YOKOHAMA Bay Hall公演の模様をレポートする。
前日から降り続いた雨が上がり、暖かな日差しが秋晴れとなった横浜。会場のYOKOHAMA Bay Hallには早くから幅広い年齢層の「こめつぶ(愛美ファンの呼称)」が集結。
「こめつぶ」有志と関係各所からのフラスタに出迎えられ入場すると、ステージ上にスピーカーとバンド機材が並べられ、前方にはレトロサイバーなブラウン管が複数台、左右にはお立ち台が据えられている。多層式のフロアは一段高い後方の女性エリアまでギッシリ満員となり、BGMにコールを入れて早くも盛り上がる。と、ノイズが流れ
「11月1日、YOKOHAMA Bay Hal。お集まりの皆様にご案内申し上げます。時は満ちました。狼煙を上げ、共に闘いましょう。皆で世界を変えるのです。Welcome To “NEW WORLD”」
と、声音を作った愛美によるレトロな口調の影ナレ。一瞬戸惑った場内は、愛美による「クスグリ」演出と気付いて和やかな雰囲気に。暗転し、ブラウン管に「砂嵐」とライブロゴが映り、バンドメンバーがスタンバイ、スモークにスポットライトが反射する。前奏が始まり、「こめつぶ」のペンライトが愛美のイメージカラー、赤と紫に点灯。コールに乗ってギターを携えた愛美が登場する。『A/CODE(初回限定盤)』ジャケットとシンクロする小さな王冠を斜に頭に乗せ、赤を基調にしたワンピースに黒のベール、ロングブーツというゴシック調コスチュームに身を包んだ愛美は、スタンドマイクに向かうとギターをかき鳴らしながら『A/CODE』1曲目収録の『NEO ELDOLADO』で開演。中村真悟によるヘヴィなメロディに、自ら作詞した「もう傷みさえ感じない Heaven あなたに今 祝福を 魂ごと奪わせて」という激しいメッセージを吐き出し、「Lovin' ... Cravin'... Burnin'...」とリフレイン、コールを浴びる。曲間に素早くコスチュームをトランスフォームさせるとステージ上は紫のライトに染まり『Noise in me』。ハードなリズムにEllieによるほとんど英語で構成された歌詞を乗せ大歓声を浴びる。
「愛美」コールに右手で応え
「“NEW WORLD”へお越しの皆様、こんばんは、愛美です」
と真顔で宣言。笑いと歓声の場内を、両手を広げたポーズで征すると
「本日はライブツアーの幕開けという、華やかで祝すべき日です。お集まりの皆様、どうぞ、その尊き手のひらとひらを幾度も重ね合わせ、賛美の音を奏でてくれませんか?(笑いと歓声、拍手が入り交じる)。さて、ここに来られた皆様は、とても光栄です。何故なら、新世界の幕開けを感じることができるのだから! (バンドの音と大歓声)聴こえます、あなた方のその魂の高鳴り。その熱を持って、共に“NEW WORLD”を創造しましょう」
とアジテーション。「愛美神」とも称される愛美が、それを宗教風に誇張した意図を汲み取った客席から笑顔で「愛美神! 」の声が飛ぶ。愛美はあくまでも真顔で
「今宵私は、新世界の神となる」
と宣言し『A/CODE』2曲目収録の『AthisCode』へ。スポットライトが明滅する中、SUPA LOVE・高橋涼による高BPMのメロディにギターを走らせ「平等不平等の崩壊 終わりへの狂奏」「最高速度で生まれ変われ」と退廃と希望をシャウト。場内は赤と紫のペンライトが揺れ、激しいコールとクラップが響く。デスメタルとアニソンが融合した難曲『MAGICAL DESTROYER』では「歌え」(歌え)「叫べ」(叫べ)「破壊」(破壊)とコース&レスポンスで一体となり、間奏では愉しそうにギターをかき鳴らす。演奏がフェードアウトすると、スタンドマイクを抱えた愛美は電話の呼び出し音をBGMに
「ノイズが多過ぎる…嘘に嘘を重ねる事で、瞬間ごとに産み出される…」
「そうだ、壊してしまおおう…破壊と再生。総てキャンセルして、造り替えてしまおう…」
と痛切な独白。そして歓声を浴びながら『A/CODE』5曲目収録『キャンセルさせて人生』へ。久保顕理によるラテン系の情熱的なメロディに「有象無象の ほら ホラ話 溢れてる」「燃え上がって いいねってんだろ」「バズってバズって それが命なんて馬鹿みたい」と時代へ痛烈なメッセージを叩きつける。ギターをチェンジして背負うとクラップを扇動、嘘とカメレオンの渡辺壮亮による『C'est la vie drive』で「叫び続ける私の歌に 吐ける嘘なんてある訳ないから」とシャウト。マイクを手に持ち替え、ピアノの音色をBGMに
「あなたはこの時代で何を正義とし、何を悪とするのか…」
と呟いて『LIGHTS』へ。佐藤樹・Kon-Kによるスローなメロディに「限りある生命(いのち)を灯して 戦う僕らは 何より尊く美しい」と語りかける。
BAND SESSIONで盛り上がったステージへライブタオルを手にボーダーニットに着替えた愛美が復活。曲名を叫び、『A/CODE』3曲目に収録の『What's up FIRE!』。青木康平によるポップなリズムに乗って左右のお立ち台へ登りタオルを振り回してマイクを向け「wow oh」のコールで一体になる。間髪を入れず『A/CODE』4曲目の『STARS』へ。
「まだまだ声出せますか!」
とコールを扇動、場内に響き渡らせる。再度マイクスタンドに向かい『ザ・センセーション』で「歓声を 溢れる衝動 声に変えてやれ」とアグレッシブにシャウト。赤いスポットライトが明滅する『HELP』、「何光年も僕らは 同じ歴史繰り返し」「悪魔にだって何だって 縋りたくて」と畳みかける。マイクを手にした愛美は、ここまでの愛美神としての強張った顔からいつもの柔和な表情に戻り
「皆さんありがとうございます。はい、ということで、改めまして愛美です。皆さんお久しぶりです。通常の愛美です(場内爆笑)。こんにちは。こんばんは。イエーイ」
とこの日初めて見せる軽妙なトーク。これまで何度も立ったYOKOHAMA Bay Hallの想い出に触れ、
「私は最初の『皆さんどうもこんばんは』のくだりの時に、みんなが笑ってくれて凄い安心しました。愛美のお客さんも笑いが解る様になってきたんじゃないか(場内爆笑)。基本、ボケてツッコむ、の関係性でありたいから(場内笑)。
リハとか結構静かに厳かにやってて(場内笑)。今回、どう出るか。本気と、冗談とを、どのぐらいの塩梅でいこうかな…と思ってたけど…愉しいですか?(大歓声)良かった良かった。
今日皆さんどこから来たんですか?(一斉に地名連呼)ちょっと待って。日本の人?海外の人?(海外比率の高さに場内どよめき)凄い沢山、ありがとうございます。
私の生まれの関西から来た人?じゃあね、みんな関西弁でぜひツッコんでください。
これからもできるだけね、皆さんと交流しながらやりたいんですけど。ほんまにオープニングからここまでズラ…っとやってきて、初めてちゃんとね、喋るんですけれども。
今回新しい感じでライブ構成させてもらいまして、どうでしたか? (肯定の大歓声)良かった」
とステージに配したブラウン管の苦労話を語った愛美は
「さあ、ということでね、お送りしてきたライブですけども、あの、終わります」
と突然の告知で場内騒然。
「なんかさ(笑)、コンセプチュアルにやったらさ、ライブあっという間に感じてさ。なんか一瞬に感じるもんな(もっと見たいの声)。そうやねん、そやねん。このスタイル、私もだから気に入ったんで、またやりたいな…と思うんですけど。
ほな、最後のパートいきますか。よしよし。スタンディングしんどくないですか?(大丈夫の声)ありがとうございます。それではですね、最後、3曲続けていきたいと思いますので。よろしければ聴いてくだ…(場内暗転)さい(再点灯して場内笑)。ごめんなさい、キッカケ台詞がちょっと似た様な言葉だったんで、今(スタッフを)惑わせてしまったんですけど(笑)最後まで愉しんで聴いてください」
と再び暗転。マイクを手にスポットライトに照らされ
「明日が来ても来なくても…明日という日が、あなたと私にとって、最高の日であることを願って」
と独白から『will』へ。ここまでの愛美神としてのヘヴィな楽曲と一転してのポップナンバーに「ねえ、これが人生最後の 歌になるかもしれない」と痛切な言葉と「これが最後だったとしても 思い残さないように」という前向きなメッセージを乗せる。青と白のスポットライトが明滅する『ドレス』ではラップ調の歌詞が混じり転調を繰り返す難曲を熱唱。
「今日は本当にありがとうございました。最後の曲を聴いてください」
と『A/CODE』のラストナンバーでもある『CROWNED』へ。柳川陽香・uno blaqloによる疾走感溢れるメロディに自ら手がけた「打ち砕いた幻想 孤独の果ては 悪夢でしょう」「赦さないわ こんな世界を 赦さないで こんな私を」という熱いメッセージを伝えると、大歓声を浴びて深々と謝意を示し、愛美はステージを下りた。
暗転した場内に「愛美」「アンコール」の声が鳴り止まず、バンドメンバーがスタンバイ。鼓動のSEをバックにライブTシャツに着替えギターを手にした愛美が再登場し『不完全ドリーマー』。Elements Garden上松範康らしい高BPMで転調が繰り返されるメロディに「ここでやめんのは 悔しいじゃないか」「誰が決めたんだ 撃ち返せよ」「ガムシャラ這いつくばって 掴みとってやる」「物語ははじまったばかりなんだよ」と熱い想いを迸らせる
「アンコールありがとうございます。ということで、あっという間にアンコールでございまして、皆さん、今来たばっかり! だとは思いますが…もうすぐ帰っていただくことになります(笑いと嘆きの声)ねー。そうなんですよ。
今回は結構コンセプチュアルにやったもんで、あの、なんていうの?曲調とかも(セットリストに反映させて)結構厳選に厳選を重ねて…なので、聴きたかった曲とかいっぱいあると思うんですけど、結構削らせていただきました(嘆きの声)。まあまあまあまあ、“NEW WORLD”だし。あ、そう『Noise in me』が初披露でしたね(大歓声)。それもあの、『D4DJ』でね、劇的な振り付けをやってくださっている先生に振り付けを頼みまして。バーンってなって、手拍子がピピピピってなる感じが『D4DJ』現場っぽくないですか?(賛同の声)これはね、各地方で味のあるダンスが見られると思うので。今日はここをうまくできたなとか、今日はここはあれやったなとか、趣深い愛美が見られると思います。
今日からツアーということなんで、地方毎の色を作るために質問募集でもしようかな」
と、場内から質問募集した愛美は、『不完全ドリーマー』をアンコールに入れた意図を解答し、大阪公演の模様が来年2月 CS 衛星劇場で放送されることを告知。
「映り込みたい人は是非お越しください(笑)バックステージの模様も併せて放送するんですよ。あの、ゲネプロ(通しリハーサル)の様子とか撮ってもらいました。未完成の状態の衣装とか、おもろい映像になってますんで、是非是非、2026年2月衛星劇場でお会いしましょう」
と告げると、バンドメンバーのドラム・森田龍之助、ベース・加納誠人、ギター・有馬孝幸、自ら『ANIMAX MUSIX』出演時に依頼したというバンマス&キーボード・JOEを紹介、謝意を伝える。
「ということで、残り1曲です(嘆きの声)。もっと長いライブをやれる様に頑張りますね。そんなわけで、最後に1番騒げる曲持ってきましたので、みんなで歌って踊りたいと思います」
とクラップに乗って『メリトクラシー』へ。左右のお立ち台で
「せーの」
とコールを扇動、最後はステージで飛び跳ね
「みんなで、せーのっ」
と一体となってジャンプ。バンドメンバーを感謝の歓声と拍手で送り出すと、
「投げるの危険だから配るわ」
と、自らギターピックを手渡し。後方へも
「暴動だけ起きひんように、いきますよ」
と弧を描いて投げると、スタンディングで密集しているにも関わらず、こめつぶが譲り合うマナーの良さが見られた。愛美は
「みなさんありがとうございました、愛美の“NEW WORLD”へお越し下さって嬉しいです。ほなまた大阪で、バイバイ」
と手を振りながら名残惜しそうに締めくくった。
声優ユニットでのアイドル活動、バンドでのギター&ボーカルという多忙な中でのソロアーティスト活動には、愛美の、こめつぶとの信頼関係がある自分のフィールドだからこその表現が溢れ出ていた。
観る者に最大限の笑いと感動を与えずには居られない、愛美のエンターテイナー性の高さを改めて感じた横浜の夜となった。
ライター:こもとめいこ♂
写真:Takashi Konuma
◎愛美「AIMI LIVE TOUR 2025 “NEW WORLD”」神奈川公演セットリスト
M01.NEO ELDOLADO
M02.Noise in me
M03.AthisCode
M04.MAGICAL DESTROYER
M05.キャンセルさせて人生
M06.C'est la vie drive
M07.LIGHTS
<BAND SESSION>
M08.What's up FIRE!
M09.STARS
M10.ザ・センセーション
M11.HELP
M12.will
M13.ドレス
M14.CROWNED
EN1.不完全ドリーマー
EN2.メリトクラシー
■愛美 Official Web Site
https://aimi.info/■愛美 Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/@aimin_official■愛美のファンコミュニティOKOMAISON(おこめぞん)
https://fanicon.net/fancommunities/5037<<アニメ歌ネットトップへ戻る>>