ソロアーティストデビュー5周年を迎えたこの夏、LIVE HOUSE TOUR「とびらの先 ~海/空~」で全国を駆け巡った、声優・アーティスト斉藤朱夏。5周年の夏を締めくくる『5th ANNIVERSARY 朱演2024「天使と悪魔のささやき」』を、地元・埼玉の東武動物公園イベントステージHOLA!にて行った。会場最寄りの東武動物公園駅には、朱夏人(斉藤朱夏ファン)有志から、5周年と、8月16日の誕生日を祝うメッセージボードが掲示され、8月17、18日の2Days公演を祝福。
今回、ソロアーティストとしては初の野外公演・2日目の模様をレポートする。
東武動物公園入場券とアトラクション乗り放題がセットになった特別な公演とあって、斉藤朱夏が事前に手書きのコメントとイラストを添えた園内MAPをSNSにアップ。猛暑の中、朱夏人は早くから来場し、フード付きタオルやハンディファンなど夏のレジャーにピッタリなライブグッズを身に着け、乗り物や斉藤朱夏が大好きなホワイトタイガー、フードなどを堪能して大賑わい。
開場となり、屋外ステージながら屋根の日陰で多少涼しい場内へ朱夏人が集合、バンドセットが組まれたシンプルな構成のステージが出迎える。開演となり、クラップが響く中、お馴染み朱夏バンドのメンバーが登場、会場の通路奥にはワンマンライブでは初めてとなるバックダンサー「ギャルズ」8人がスタンバイ。鐘が鳴り響き、ゴスペル調の音楽と共に天使を思わせる純白の衣装を纏った斉藤朱夏が顔にベールを垂らし、ステージへ厳かに登場。ゴシック調の衣装に身を包んだ「ギャルズ」の2人がベールをめくると、斉藤朱夏のお馴染みの笑顔がはじけ、3rdミニアルバム表題曲『愛してしまえば』でライブスタート。昼の野外公演で太陽の陽を浴びる、斉藤朱夏らしいステージで「もうひとりぼっちじゃダメなんだ」「とっておきのフレーズ用意して 今すぐ君に伝えよう」と、ライブへの想いを象徴するフレーズをほとばしらせ、朱夏人と「愛してしまえば」のコール&レスポンスで早くも会場は一体に。『パパパ』ではステージを移動して左右のお立ち台へ上り、左手に持ったマイクで「君がいなくちゃ枯れてしまうこと それだけ分かってるんだ」と語りかけ、涼しげなスモークが吹き出すステージで「パ パ パ」のコールを受け止める。ピンクと紫のライトに照らされての『ぴぴぴ』では「ぴぴぴ アンテナ 君にアンテナ」「君をもっと知りたいよ」「伸ばすんだ どんな小さなことも」と普遍的な淡い恋心へ自身と朱夏人を重ね合わせた。7月にリリースした5周年記念ミニアルバム『555』収録、ラップ調の『ぷぷぷ』では、「限界かも 喧嘩やめたい 会いたいの」「泣きたくなる 君はどうですか? ぷぷぷって笑おう」という切ない乙女心を軽やかに響かせる。
ようやく一息付いた斉藤朱夏は、
「ようこそ~熱いですか?」
と問いかけ、大きな賛同を得る。5周年と誕生日に大きな「おめでとう」の声を受け、
「初の野外ライブ、メチャメチャテンション上がりますねぇ!」
と絶叫。
「本当にノンストップでいくから、皆さんも自分の体調と相談しながら、遊んでください。水は各自各々飲んでください」
と言いつつ、
「私も水飲むから、みんな飲もう」
と、斉藤朱夏らしい気遣いを見せ、朱夏人も一緒に水分補給。恒例の年齢コ-ナ-で、20~30代の男女を中心に、10代~60代以上まで幅広い年齢層が集っていることを確認。斉藤朱夏は用意された椅子に座ってスタンドにマイクを付けると
「みんな座って良いよ。まずはさ、ゆったりさ、唄おうよ。これから凄いんだぞ」
と予告。初めての参加者を気遣うと
「セミも一緒に唄ってくれてますよ」
と、笑いを誘い『秘密道具』へ。朱夏バンドのアコースティックなギターとタンバリンの演奏に自らもハーモニカを吹き、「君に会いたいよ こんなありふれた たった7文字ぽっちの 想いがこんなに苦しいんだね」と優しい風を吹かせる。『555』収録の『こころ』では鍵盤ハーモニカに持ち替え、「君の背中が今は遠いよ 飛びたかった理由すら忘れて 今日も空回り」と想いを朱夏人の心に染み込ませた。先行配信後『555』に収録された『離れないで』は703号室による「心の奥ツン、と キュッと笑ってみせた」という独特の擬音を用いた歌詞、「ドレミレド」という印象的なリフレインを聴かせる。
斉藤朱夏が静かにステージから下り、朱いスポットライトに照らされた朱夏バンドによるインストゥルメンタルのパフォーマンスで朱夏人が盛り上がる。
朱と紫のスポットライトが明滅し、『ベイビーテルミー』の前奏と共に斉藤朱夏が再登場。悪魔のイメージで黒を基調に赤いリボンを配した大胆な衣装の斉藤朱夏は「アダムとイブの時代から変わらない 見えない心 知りたいもっと 悩めるお年頃」と挑発的に視線を送ると間奏でステージを飛び出してダッシュ。後方の機材が据えられた櫓へ駆け上り、バズーカを手に朱夏人へ水を噴射する。記者席の前を駆け抜け、朱夏人と満面の笑みで視線を交わし、客席の中とステージ左右でもバズーカを手に水を噴射する納涼パフォーマンスで盛り上がる。
放水でクールダウンした朱夏人へ、不穏な音と笑い声のSEでヒヤッとさせたかと思うと、『月で星で太陽だ!』から始まるアッパーチューン激熱メドレー開始。お立ち台を渡り歩き、「Moonlight」「Starlight」「Sunshine」のコールから「We are happy!!」の絶叫。『ゼンシンゼンレイ』では「oh yeah 全身全霊で遊ぼうぜ エンジン全開で遊ぼうぜ wow say」「wow」とコール&レスポンス。『イッパイアッテナ』では「いざ試行錯誤のコミュ二ケーション」「こんがらがってまたコンプリケーション」「それでもぶつかってコミニュケーション」とハイテンションに韻を踏む。再び客席へ降りた斉藤朱夏は狭い通路を駆け巡って朱夏人とハイタッチ、次曲の『僕らはジーニアス』へ。「ヘイ」「行きたいほうに行こうぜ」「ヘイ」「なりたいもんになろうぜ」と掛け合いで盛り上がる。ギャルズが再び登場し、斉藤朱夏は、
「みなさんまだまだ声出ますか?」
と問いかけ、賛同を得て「S・H・U・K・A 朱夏」のコールを扇動、5連発から『だらけ。』へ。「綺麗事さ、馬鹿じゃね? 悪魔が耳元 囁きながらあたしのナミダ味見した」「天使のつぶやく声が 本当にそれでいいの?放っておけないでしょ?」と、ライブタイトルに重なる歌詞を熱唱する。斉藤朱夏がライブタオルを掲げると、ギャルズも朱夏人もタオルを手に『しゅしゅしゅ』へ。「しゅ しゅ しゅ シューティングスターに乗っかって」「て て て テイクオフ 飛んでいけ」の声に合わせタオルを振り回す。ここで前日とは変わった前奏にどよめきが起き、『セカイノハテ』へ。斉藤朱夏が「0と1じゃ測れない 僕らだけの景色があるのなら」「何もかもが嫌になったって 急がなくたって平気」「君が君を信じたそのときがはじまり」「大丈夫 神様よりも自分を信じて」と熱く語りかけると、朱夏人も「Wow Wow」のコールで返す。斉藤朱夏が笑顔でステージを降り、朱夏バンドの静かなインストゥルメンタルを聴きながら水分補給で熱を抑える。
ライブTシャツを大胆にカットした斉藤朱夏が登場、前日にはなかった『もう無理、でも走る』の前奏で朱夏人は一気にヒートアップ、大きなクラップが響き渡る。朱と白のスポットライトを背に、お立ち台へ上った斉藤朱夏は「簡単じゃないから 私は願うんだよ 流した涙に きっと意味があったと 信じたい 信じたい 信じたいだけ」と熱く語りかける。「もう終わりだなんて言うなよ まだ始まってもいないだろう そうだ 何メートル 何マイル 何百光年の道だって それでも それでも 走るよ」と指先で虚空に狙いを定めた斉藤朱夏に合わせ、朱夏人も一緒にポーズ、「弱気」を一斉に撃ち抜く。一転してバラード調の『くつひも』は淡いライティングに照らされて、「もっと近付きたいよ こんなこと 君以外にありえない」「この靴紐の喋々結びのように 手と手 繋いでほしいんだ」と歌い継ぐ。「朱夏」の大歓声を浴びた斉藤朱夏は、
「初の野外ライブどうですか?(最高! )5周年ということなので、5年間でやってきたものを詰め込んで…色々新しいことに挑戦したり、水の演出を使ったり…初日より、皆にかかる様にと思って色々なところに行きました。いつかやってみたかったハイタッチも。みんなの押す力がめっちゃ強くって、前に進まない、でももうちょっとで行かないと! って、それもライブの醍醐味だと思いますけど。こういうタイミングで、自分の地元埼玉でライブが出来るって、本当にありがたい事だなって思います。47道府県まで…あと23?自分の脚で、自分の音楽を届けるっていう気持ちを忘れずに、 これからも、皆さんの地元に行って、音楽を届けられたらいいなって、毎回思いながらやっています。ライブって、本当にこの今というこの一瞬、1分、1秒しかないし、総てがギュッと凝縮されてるから、アッと言う間じゃない?その度にみんなと楽しいことやりたいなと考えてたら、詰め込み過ぎちゃったんだよね(笑)。私がこうしてライブで走ったりできるのも、ここにいる皆さんのお陰だなって毎回毎回、思います。本当にありがとうございます」
深々と謝意を示し、万雷の拍手にこみ上げるものを堪えた表情の斉藤朱夏は
「最後に、今、私が思っていることを詰め込んだこの楽曲を皆さんに届けたいなと思っています。皆さんは、独りじゃありません。私が居ます。どんなに辛いことがあっても、苦しいことがあっても、遠く離れたとしても、私の音楽が絶対に側に居るので。皆さん、大丈夫だと思いながら、毎日毎日、一緒に歩いて行きましょう」
と想いを伝えると、『みかたっ』へ。白いライトを背に「針が進む度に 過去になっていくんだ」と唄いだした斉藤朱夏は、「モノクロだった世界に色づく 朱い光の先で待ってる キミだけの色 逢いたいなあ」
と、時折瞳を潤ませながら想いを伝える。そして朱夏バンドのドラム・今村舞、ベース・伊藤千明、メドレーのアレンジもしたギター・ひぐちけい、キーボード&バンマス・西野恵未に続いて、
「今日も一緒に遊んでくれました、キミ~」
と朱夏人を称え、
「ヒロインよりもヒーローになりたいと言って、靴紐を結んで走ってきたこの5年間でした…」
と言葉を詰まらせる。歓声を受け、
「まだ、ヒーローにはなれてないかもしれないけど、今、私がキミの味方ってことは絶対に言えます。どんなに遠くに離れていても、大丈夫です。スタートはどのタイミングでも良いんです、今日、今この場所にいるっていうだけで、私たちはもう仲間なんです。この仲間達と一緒に、もっと最高の景色を見に行きませんか?最高の場所に、絶対に連れて行くので、これからもどうぞ付いて来てください。本当にありがとうございました」
と熱く言葉を紡ぎ大きな拍手を浴びる。
そして日本工学院専門学校ダンスパフォーマンス科のメンバーで編成されたギャルズのはな、みく、ゆうい、さわ、じゅり、ひめり、さやか、かえを紹介。マイクオフで
「本当にありがとうございました」
と謝意を示し、
「また一緒にライブを創って、一緒に音楽を創っていきましょう。ありがとうございました」
と想いを吐露し、万雷の拍手の中、地元凱旋の記念すべきライブを締めくくった。
個人的には2022年末以来の体験となった斉藤朱夏の朱演。『555』での新しいクリエイターとの出逢い、ダンサーズ、ギャルズの参加という新しい要素を盛り込みつつ、同じメンバーによる朱夏バンド、ハヤシケイによる多くの詞から、初心を違わずに「ヒーロー」を目指す、斉藤朱夏のアーティスト性はより深みを増していると感じた。
今回、SNSで事前に喉の不調を朱夏人へ伝えた斉藤朱夏だが、それを微塵も感じさせないパフォーマンスに圧倒された。公演前に完治したかと思われたが、終演後、やはり完全な状態ではなかったと聞き、改めて驚かされた。
弱みを見せる強さを感じると同時に、それをカバーしてみせる精神力と技術力が備わっていることも合わせて思い知らされた。『もう無理、でも走る』が、まさしく斉藤朱夏という存在そのものを象徴した楽曲であると感じた。
斉藤朱夏のトレードマークの元気印は、『555』の楽曲に籠めた様々な想いを含んでいるからこそ、底抜けの明るさを感じる、力強さがある。
斉藤朱夏が一緒に連れて行ってくれるだろう「最高の場所」への期待が益々膨らんだ、地元凱旋ライブとなった。
ライター:こもとめいこ♂
カメラマン :江藤はんな[SHERPA+]
◎斉藤朱夏 5th ANNIVERSARY 朱演 2024 「天使と悪魔のささやき」セットリスト
01.愛してしまえば
02.パパパ
03.ぴぴぴ
04.ぷぷぷ
05.秘密道具
06.こころ
07.離れないで
08.ベイビーテルミー
Medley (09~12)
09.月で星で太陽だ!
10.ゼンシンゼンレイ
11.イッパイアッテナ
12.僕らはジーニアス
13.だらけ。
14.しゅしゅしゅ
15.セカイノハテ
16.もう無理、でも走る
17.くつひも
18.みかたっ
■斉藤朱夏公式サイト
https://www.saitoshuka.jp/■公式YouTubeチャンネル 斉藤朱夏 Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/@ShukaSaitoSMEJ<<アニメ歌ネットトップへ戻る>>