アーティスト、スピラ・スピカ 幹葉が、誕生日前日の6月13日(金)、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて『幹葉生誕祭~はじめての、みきはっぴーばーすでー!(前夜祭)~』を行った。幹葉にとって初となるバースデーライブをレポートする。
梅雨入りしぐずつき気味だった6月第2週の渋谷は、生誕祭を祝う様に雨が上がった。平日夕方にも関わらず、会場には、ピンク地にケーキの着ぐるみ姿の幹葉がバックプリントされたライブTシャツに身を包んだファンが集結。入り口横に並んだ関係各所とファン有志からのフラワースタンドに迎えられ入場すると、上方にスクリーンが据えられたステージは二層式で、レッドカーペットが敷かれた中央の階段で繋がっている。階段を挟んで左右にキーボードとドラムセット、バンド機材が据えられたシンプルな構成。コラボドリンクを受け取り終えた頃合いに暗転となり、物語のページをめくるSEに続いて幹葉の生い立ちを自らのナレーションで紹介。
「徳島県板野郡松茂町出身、幹葉。歌を唄うのが大好きな4人家族。家の周りは自然があふれ、小さい頃からよく唄っていました。ふと、空を見上げる癖が続いたのもこの頃から。徳島の空は星が綺麗に見えるけん。あっ、一番星見つけた」
ピアノの音色と共にステージは暖色のライトに包まれ、階段上にプリーツの入った水色のシャツ、ビビッドなチェック柄のパンツでキメた幹葉が登場。
本公演はセットリストを幹葉の過ごしてきた土地で3つに区切って構成されており、最初のブロック『徳島時代』は1曲目『一番星、みつけたっ』で開演。バラード調のメロディにスピラ・スピカの由来である星と、幹葉の音楽の源泉たる家族・故郷をテーマにした「かけてくれる言葉たちは ただただあたたかく」「いつかは誰かの希望も 照らしたい」というメッセージをアコーステックの音色に乗せ、笑顔を上方へ向ける。階段からステージへ降りると、ポップなメロディの『夏のキセキ』で客席とクラップを鳴らし「空港道路を駆け抜けて」「勝った日のアイスの味 負けた後の帰り道」と自身に重なる青春ワードを唄い上げる。軽やかなマーチ風のメロディに合わせ客席でフラッグが振られる『未知の設計図』ではステージを左右に移動して大きなモーションで手を振り合わせるミラーで一体となり、「今 一歩踏み出そう」のフレーズでステージから大きく身を乗り出す。
「遊びに来てくれてありがとうございます。生誕祭ライブは初めてなんですが、平日にも関わらず集まってくれて本当に嬉しいです(場内大歓声)。
今日は生誕祭ライブということで、幹葉とスピラ・スピカの歩みをより分かってもらえたら良いな、という思いでセットリストを組んでみました。
もしかしたら『初めてのライブが生誕祭でちょっと気まずいな。そんなに知らんけど、祝いに来ても良いんかな?』みたいな方もおると思うんですけども、ライブを全部愉しんでいただいた後には『幹葉?知っとる知っとる』という、そういう気持ちになっていただけると思います(笑)。」
そして、徳島で友達とバンドを組んで文化祭で3年間カバーしていたという、aikoの『ボーイフレンド』を披露。続いて、自ら振りのお手本を見せ、徳島県民ならではの阿波踊りを生かしたダンスの入ったライブ定番曲『イヤヨイヤヨモスキノウチ!』へ。「イヤイヤイヤイヤ」「ダメダメダメダメ」「どんどんどんどん」「ほらほらほらほら」という印象的なリフレインで客席と手を振り合う。
「阿波踊りタイム!」
の掛け声で「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ」(損損!)と愉し過ぎるコール&レスポンスで狂喜乱舞する。
そして春から「阿波徳島観光大使」に任命された事を改めて報告。そして、スペシャルゲストとステージに村上耕司徳島県副知事を呼び込むと、委嘱(いしょく)状交付式へ。委嘱状と幹葉の名入り提灯等を手渡され拍手と共にステージをあとにする。
暗転した場内に再びナレーションで、大学進学の為に徳島から大阪へ高速バスで向かった想い出が語られ、白い上衣で衣装チェンジをした幹葉が再登場。
「ほらだって、小さな勇気なら手の中に」
と告げ、セットリスト2ブロック目『大阪時代』を、2nd Single『小さな勇気』から開始。ピアノ伴奏に乗せ「いつもとは違う列車を待ってる」「見慣れた街にさよならしたら」「これからの日々が 未来へと繋がるように」と郷愁を誘うハイトーンを響かせ、ドラム・ギターが加わってテンポアップ。「離れて気付く 大切なものは いつもすぐ側にあって」と故郷を旅立つ普遍的なテーマを唄い上げると「交わっていく誰かの未来を」「幸せにできますように」のリフレインで締めくくる。大阪のインディーズ時代に初めて作詞した『星降る夜に』では、青いライトで照らされた場内にミラーボールで星空が現出、「たくさんはいらないよ 本当に欲しいものはただひとつ」「『楽しいは』ここに」と青春の迷いと気付きを唄う。
「この一週間、よくぞ乗り越えて、来て下さいました。一緒に楽しい想像で乗り越えていきましょう」
と、インディーズ時代から歌い続けている『想い描いたら』へ。就職し、満員電車に揺られていた時の辛い経験から生まれた想いを「嫌々時が経つのを待つくらいなら 時が過ぎるのが惜しいくらいの想像を」と語りかけ、
「今日も頑張った、私達、偉い」
と締めくくり拳を突き上げる。
「大学で軽音サークルに入ろうと思っとったんですけど、定員オーバーで入れません…って言われちゃったんです(笑)。それでも唄いたいなと思って、メンバー募集サイトでバンドを結成しました。」
と、大阪、奈良でのインディーズ活動時代を振り返る。
「大阪時代の曲をお届けしたということで、スペシャルゲスト、同じ事務所の関西出身のピン芸人の方をお呼びしようと思います」
と、SMAのNEET PROJEC所属のピン芸人、ちぇく田を呼び込む。蝶ネクタイの正装で登場したちぇく田が、
「ゲストが副知事とちぇく田って何なんですか(笑)副知事に丁重に挨拶されましたよ(笑)」
と湧かせると、幹葉は
「今日は、私の『好き』を、是非みんなにも知ってほしい、好きになってもらいたいという思いで…」
と、ゲスト招聘の理由を説明。ちぇく田恒例の持ちネタ「短い話で笑わせる」コーナーへ。スクリーンに映ったたくさんのお題の一覧から「ドッジ弾平」「おかんのネタ」「老人ホームの営業」などその場でリクエストを募り、ちぇく田がそれにまつわるエピソードでテンポ良く笑いを巻き起こす。まだまだネタを披露してほしかったが、時間も迫ってきたということで、幹葉がちぇく田と客席に次に歌う楽曲の振りをレクチャー。
「急にこんなん言われても出来んわ! っていう方は、棒立ちでもOKです」
と、スピラ・スピカwithちぇく田で『ピラミッド大逆転』へ。軽快なテーマに乗ってちぇく田と共にステージを左右へ移動、「ピラミッド ぐるりんと ひっくり返してやるんだ!」と客席ちぇく田と一緒に踊った。
大きな拍手を受けてちぇく田と幹葉がステージを下り暗転。大阪編と東京編を繋ぐ映像では改名(スノーマン→スピラ・スピカ)発表時の模様も交えてナレーションが流れる。
「学業、ピザーラでのアルバイト、ライブ活動にCD制作、あっという間の大学4年間でした。その後、オーディションやコンテストを積極的に受け始め、どんなに暗い道でも希望の光で導く、そんな想いを込めてバンド名を改名。右も左も分からないけど東京に行ってみよう、歌を唄うことを諦めたくないから」
ナレーションが終わると階段上にはスピカカラーの青と白の衣装に着替えた幹葉が登場。
「さあ、スタートダッシュ決めるよ! 」
の掛け声と共に、セットリスト3つ目のブロック『東京時代』はメジャーデビュー曲『スタートダッシュ』から。アコースティックギターの激しいストロークと客席のクラップに乗って
「世界中の空が見たくて 気がついたら駆け出していたんだ」と、文字通りスタートダッシュを飾った熱い決意を改めて紡ぐ。
「東京に来てからも本当に沢山の出会いがあって、今日サポートしてくれとるみんなも、東京で出会いました」
と、メジャーデビューする前のライブからサポートをしてくれているドラマー・岡本啓佑、デビュー前から楽曲制作で関わり、ライブには2019年から参加しているキーボード・重永亮介、同じく楽曲制作に関わっているギター・Sakuを出会った順に紹介して大きな拍手を受ける。
「さっきお届けしたメジャーデビュー曲のカップリングで入っている曲で、なんなら『スタートダッシュ』よりもライブでやってるんじゃないかっていうライブの定番曲がございます。
今日初めて来てくださって『阿波踊りしたり、ピラミッドダンスを覚えろって言われて付いていけないよ』と思った皆さんも次は軽い気持ちで参加していただけると思います。誰もがやったことのあるだろうじゃんけんです!」
と『じゃんけんキング』へ。ハイテンションのメロディに歌声を響かせてお立ち台を移動し、
「さぁ、みんないくよ じゃんけんぽん!」
とサビの最後に客席とシンプルにじゃんけんで盛り上がる。
「全部勝った人?おるー」
と問いかけ、2人程の猛者に視線を贈ると間髪入れず『ポップ・ステップ・ジャンプ!』へ。ダンサブルなメロディに合わせ客席と一体でジャンプ、
「みんなでクラップクラップ!」
と扇動、音を大きく育て、
「君がいるから」(今日も)「楽しくなるよ」(明日も)「いつもホントにホントにありがとーっ」「僕らずっと!」(ずっと)「これからも一緒だーっ」
とライブアレンジのコール&レスポンスに幹葉は楽しそうにピョンピョンとステージで跳びはね
「最後高く飛ぶぞー」
とジャンプ。
「みんなのおかげで最高のバースデーライブになった、ありがとーっ」
と絶叫し『燦々デイズ』へ。黄色と青のライトが明滅するステージを左右へ移動し「恋々 キミと一緒にいられる奇跡 忘れないから そう! この日を」
と熱唱、大歓声を浴びる。
「初めての生誕祭ライブ、みんな愉しんでいただけましたか?(大きな賛同の声)
これもやりたい、あれもやりたいをギチギチに詰め込んでお届けしてしまったんですけど、少しでも楽しんでもらえたり、明日からも頑張ろう~って思ってもらえるような時間になっていたらとっても嬉しいです。」
8月6日の10thシングル『アオとキラメキ』リリースとそれを記念したワンマンライブ開催を発表。
「幹葉の、スピラ・スピカの、みんなとの物語は、これからも続いていきます。もっと沢山の楽しいとワクワクをお届けできるように、物語を絶対に終わらせません。みんなこれからも一緒にスピラ・スピカと走ってくれますか?」
と告げ『私の物語』へ。こみあげる物を耐える様に上を向き、眼を瞑って歌い出す。
「どんなに暗い道でも 生きている限り 明日はやってくるから」と、徳島の大自然の中で始まり、学生、就職、インディーズ、メジャーデビューを経てソロプロジェクトとなったスピラ・スピカの、幹葉の物語であり、同時に夢を追う全ての人への普遍的な応援歌、道標となるメッセージを唄い終える。
「みんなからもらったパワーで、新しい年も一所懸命走り続けようと思います。本当にありがとうございました!」
と感謝を伝え初の生誕祭ライブを締めくくった。
今春からEテレ『The Wakey Show』のDJウェイキーの声優&スーツアクターとしても活動を開始したことが頷ける、幹葉の、全身を使って楽しいを表現するパフォーマンスに魅せられた。
幹葉によって、悩み、涙、笑い、そして感動が押し寄せるエモーショナルな空間に誘われ、一篇のミュージカルを観た様な多幸感に包まれ日常への元気をもらえた、渋谷の夜となった。
ライター:こもとめいこ♂
◎『幹葉生誕祭~はじめての、みきはっぴーばーすでー!(前夜祭)~』セットリスト
・徳島時代
M1.一番星、みつけたっ
M2.夏のキセキ
M3.未知の設計図
M4.ボーイフレンド(カバー)
M5.イヤヨイヤヨモスキノウチ!
・大阪時代
M6.小さな勇気
M7.星降る夜に
M8.想い描いたら
M9.ピラミッド大逆転
・東京時代
M10.スタートダッシュ
M11.じゃんけんキング
M12.ポップ・ステップ・ジャンプ!
M13.燦々デイズ
M14.私の物語
セレモニー.最響未来ファンファーレ
■スピラ・スピカ公式サイト
https://spiraspica.com/■公式YouTubeチャンネル スピラ・スピカ Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/@spiraspica■SMA NEET PROJECT ちぇく田 公式プロフィール
https://sma-owarai.com/s/beachv/artist/n037?ima=3500<<アニメ歌ネットトップへ戻る>>