一本道ふと後をふり返ると そこには夕焼けがありました 本当に何年ぶりのこと そこには夕焼けがありました あれからどの位たったのか あれからどの位たったのか ひとつ足を踏み出すごとに 影は後に伸びていきます 悲しい毒ははるかな海を染め 今日も一日が終ろうとしています しんせい一箱分の一日を 指でひねってごみ箱の中 僕は今 阿佐ヶ谷の駅に立ち 電車を待っているところ 何もなかった事にしましょうと 今日も日が暮れました あヽ中央線よ空を飛んで あの娘の胸に突き刺され どこへ行くのかこの一本道 西も東もわからない 行けども行けども見知らぬ街で これが東京というものかしら たずねてみても誰も答えちゃくれない だから僕ももう聞かないよ お銚子のすき間からのぞいてみると そこには幸せがありました 幸せはホッペタを寄せあって 二人お酒をのんでました その時月が話しかけます もうすぐ夜が明けますよ | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | ふと後をふり返ると そこには夕焼けがありました 本当に何年ぶりのこと そこには夕焼けがありました あれからどの位たったのか あれからどの位たったのか ひとつ足を踏み出すごとに 影は後に伸びていきます 悲しい毒ははるかな海を染め 今日も一日が終ろうとしています しんせい一箱分の一日を 指でひねってごみ箱の中 僕は今 阿佐ヶ谷の駅に立ち 電車を待っているところ 何もなかった事にしましょうと 今日も日が暮れました あヽ中央線よ空を飛んで あの娘の胸に突き刺され どこへ行くのかこの一本道 西も東もわからない 行けども行けども見知らぬ街で これが東京というものかしら たずねてみても誰も答えちゃくれない だから僕ももう聞かないよ お銚子のすき間からのぞいてみると そこには幸せがありました 幸せはホッペタを寄せあって 二人お酒をのんでました その時月が話しかけます もうすぐ夜が明けますよ |
大阪へやって来た南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ それはほんのささいなことで 僕は酔っぱらっていたのかも知れないんだけど 僕がやって来た夜 御堂筋はレース場で 心斎橋はこの世の人だまり その中を真夜中にうろつく僕には今 何の地位も将来も約束されてはいない 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ スポーツ新聞はいつも阪神のことばかりかきたてている おおげさな競馬の報道は貧乏人をくいものにするし うたいたかったけどそんな場所もなくて 僕はいつも求人広告を持ち歩いたんだ でも行ってみるといつもだまされてしまう 尼ガ崎の鉄工所へ行った時なんか たった千円しかくれないし その上命の保障もないんだ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 友だちもいつか名前だけになってしまうことを知っている いつのまにか手をとり合うだけのエゴイズムと すり変わってしまうんだ 長髪を風になびかせる自称ヒッピーたちでさえ 新しいコートがなかなか肌になじまないこと知っている ものすごくたくさんの広告がいろんなスタイルを要求するけど でも家をでることだけが自由じゃないと思うんだ あれはいけない これがいいのさ でももう結構 僕は誰が素敵な奴かを知っている 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 何もかも関係なくなればいいと思うことがある とても眠たい朝 僕は大阪駅に立たずんでいたんだ そうさ 誰もがあせりすぎているんだ 走って行く人 ころぶ人 くつを忘れた人 かかとがかけてしまって歩けない人 朝から晩までラッシュアワーだ まるで恋をする勇気もないまま 僕もあんたもうらみ合いをくり返している 夜にはひま人が金と麻薬を持ち歩く もし君が宿なしなら夜中にうろつかない方がいいよ ましてやポケットに百円ももってないなら へたするとやくざとおまわりの思いのままになってしまうよ 誰かが言ってたっけ? お前は気楽に暮らしてていいって じょうだんじゃないや 何が気楽なもんか いつまでたったって落ちつくあてもなく まるでいくじがないまま まだフラフラしている 一年中わびしくてやりきれない町 それが大阪 でもそれがいいのかもしれないなと思う時がある クリスマスにあの娘に赤ちゃんが生まれるんだって とても小さな女の子でみんなでかけたんだ 顔のぞきこんで 男か女か 今じゃその娘タバコもラリることもやめたんだ みんなでおいわいしてあげたいんだけど その娘大阪の女の子なんだよ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ それはほんのささいなことで 僕は酔っぱらっていたのかも知れないんだけど 僕がやって来た夜 御堂筋はレース場で 心斎橋はこの世の人だまり その中を真夜中にうろつく僕には今 何の地位も将来も約束されてはいない 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ スポーツ新聞はいつも阪神のことばかりかきたてている おおげさな競馬の報道は貧乏人をくいものにするし うたいたかったけどそんな場所もなくて 僕はいつも求人広告を持ち歩いたんだ でも行ってみるといつもだまされてしまう 尼ガ崎の鉄工所へ行った時なんか たった千円しかくれないし その上命の保障もないんだ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 友だちもいつか名前だけになってしまうことを知っている いつのまにか手をとり合うだけのエゴイズムと すり変わってしまうんだ 長髪を風になびかせる自称ヒッピーたちでさえ 新しいコートがなかなか肌になじまないこと知っている ものすごくたくさんの広告がいろんなスタイルを要求するけど でも家をでることだけが自由じゃないと思うんだ あれはいけない これがいいのさ でももう結構 僕は誰が素敵な奴かを知っている 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ 何もかも関係なくなればいいと思うことがある とても眠たい朝 僕は大阪駅に立たずんでいたんだ そうさ 誰もがあせりすぎているんだ 走って行く人 ころぶ人 くつを忘れた人 かかとがかけてしまって歩けない人 朝から晩までラッシュアワーだ まるで恋をする勇気もないまま 僕もあんたもうらみ合いをくり返している 夜にはひま人が金と麻薬を持ち歩く もし君が宿なしなら夜中にうろつかない方がいいよ ましてやポケットに百円ももってないなら へたするとやくざとおまわりの思いのままになってしまうよ 誰かが言ってたっけ? お前は気楽に暮らしてていいって じょうだんじゃないや 何が気楽なもんか いつまでたったって落ちつくあてもなく まるでいくじがないまま まだフラフラしている 一年中わびしくてやりきれない町 それが大阪 でもそれがいいのかもしれないなと思う時がある クリスマスにあの娘に赤ちゃんが生まれるんだって とても小さな女の子でみんなでかけたんだ 顔のぞきこんで 男か女か 今じゃその娘タバコもラリることもやめたんだ みんなでおいわいしてあげたいんだけど その娘大阪の女の子なんだよ 南へ下る道路には避難民があふれ 僕は10トントラックで大阪へやって来た インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい だから僕はやせながらぬれて立つ |
気球に乗ってありったけの手持ちのゆとりや ポケットの中のぬくもりを ひずみきった国々に ポツンと落としてやるのさ 要なしの人間なんているわけはないと 神様はいつも僕に言うけど 本当のところは口をつぐんで 誰も言おうとしないけど 気球に乗って ほこりになってゆられたい 今ひとつこの気球が昇っていかないのは 僕をおどらせる俗物どもが 足元にしがみついているからさ 胸いっぱい風を集めよう 名もなき同胞が抹殺されて 価値あるブルジョアが生き残るとするなら 真先に死ぬのはこの僕なのさ 僕こそ不必要なものだから 気球に乗って ほこりになってゆられたい 気流に乗って ほこりを捨ててゆられたい | 友部正人 | 宮沢和史 | 宮沢和史 | | ありったけの手持ちのゆとりや ポケットの中のぬくもりを ひずみきった国々に ポツンと落としてやるのさ 要なしの人間なんているわけはないと 神様はいつも僕に言うけど 本当のところは口をつぐんで 誰も言おうとしないけど 気球に乗って ほこりになってゆられたい 今ひとつこの気球が昇っていかないのは 僕をおどらせる俗物どもが 足元にしがみついているからさ 胸いっぱい風を集めよう 名もなき同胞が抹殺されて 価値あるブルジョアが生き残るとするなら 真先に死ぬのはこの僕なのさ 僕こそ不必要なものだから 気球に乗って ほこりになってゆられたい 気流に乗って ほこりを捨ててゆられたい |
夜よ、明けるなだが 君は帰って来ない 夜道をぼくは帰ってきたのに 君の窓明かりは消えたままさ 月はあんなに明るいのに 町は居留守を使ってる 呼んでも君は答えない 疑問は頭から抜け出して 路上でぼくの影になる 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 女たちが笑ってる 胸をはだけた夏の夜 ぼくは静かにたたずんでいる 君がどこにもいないので ぼくが持ってる一番高価なものを 君の笑顔と取りかえたい 日々はぼくの大好きな君の笑顔を 波の彼方に置き忘れたようなのだ だが やがて朝が来る 君が飛ばなかったことを知り 夜の列車には乗らなかったことを知り ぼくの汽笛はこう繰り返す 悲しみを石に変えてくれ 海の底に沈めたいから 海の底で揺れる美しい藻は いいかげんな言葉をまだ知らない 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 夜よ 明けるな 君のために | 友部正人 | 友部正人 | 友部正人 | | だが 君は帰って来ない 夜道をぼくは帰ってきたのに 君の窓明かりは消えたままさ 月はあんなに明るいのに 町は居留守を使ってる 呼んでも君は答えない 疑問は頭から抜け出して 路上でぼくの影になる 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 女たちが笑ってる 胸をはだけた夏の夜 ぼくは静かにたたずんでいる 君がどこにもいないので ぼくが持ってる一番高価なものを 君の笑顔と取りかえたい 日々はぼくの大好きな君の笑顔を 波の彼方に置き忘れたようなのだ だが やがて朝が来る 君が飛ばなかったことを知り 夜の列車には乗らなかったことを知り ぼくの汽笛はこう繰り返す 悲しみを石に変えてくれ 海の底に沈めたいから 海の底で揺れる美しい藻は いいかげんな言葉をまだ知らない 翼もないのに飛ぶこと覚え 夜の物干し台にたたずんでいる 命がけで飛ぶつもりなら 夜よ 明けるな 君のために 夜よ 明けるな 君のために |