緑川伸一作曲の歌詞一覧リスト  58曲中 1-58曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
ごろごろ物思いゆるめるモ!ゆるめるモ!緑川伸一緑川伸一悲しい事 悔しい事 特に無かった 今日も1日 嬉しい事 楽しい事 なんも無かった 今日も今日とて  そんなはずは無いんだろうけど 今パッと出てこない つかなんか おなか減ったよね でも おふとん出るのおっくうだ 歯みがいちゃったし  はーあ 寝れるかな 寝れるかな 寝れるかな 明日もお仕事だもの 早く寝たい 早く寝たい 早く寝たい だりーな お仕事行きたくねー  孤独だなあ この世界で 私ひとりが生存者かね いやいやいや 私も実は 死んでるのかも はは なんてね  寝返りとため息のループが 永遠に続きそう つかやっぱ おなか減ったよね でも もうこんな時間じゃないの ブタになっちゃう  はーあ 寝れないな 寝れないな 寝れないな 明日もお仕事なのに 早く寝たい 早く寝たい 早く寝たい どうしよ 明日マジどうしましょ  もう あきらめた ダメだこりゃ 腹へった カップ麺 たしかあったはず おや 邪念きた 邪念です なんだこりゃ 落ち着け 深呼吸しましょ テレビつけ 眩しさに 目を細め どうしよ 明日マジどうしましょ 私は恋をしてるのかしら
あけましてミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一やだよ おみくじやらんって やっておいでよホラ ここで待ってるからさ  君は ひらひら駆け出す 僕は空を見る なんなんだこの時間  先月僕はフラれたんだ それなのにまた呼び出された 断れば良かったんだろうけど まあ そんな事できませんよ  待ってるよ いつまでも 君じゃなきゃダメなのよ 誰よりも君を好きなのは僕さ 待ってるよ いつまでも 苦しいが仕方ない こんなに近くにいるのにな あーあ  なによ なになになんです? 小吉 はあそう つうか近いって近い  昔の歌の世界みたい ダサすぎるのは承知の上 嫌いになれるもんならなりたい まあ そんな事できませんよ  待ってるよ とはいえね つまみ食いはあるだろう そりゃそうさ 僕も健全なヤング 待ってるよ いつまでも 奴隷でもなんでもいいさ こんなに好きなのに 好きなのに! 待ってるよ いつまでも 君じゃなきゃダメなのよ 誰よりも君を好きなのは僕さ いきましょか どこいこか? 帰ります? なんだよもう NO! こんなに近くにいるのにな あーあ  今年もヨロシクお願いします
のれんの向こうミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一あの黒いのれんの向こうには 俺たちの夢がつまっている 日常 虚しさ ぶっ飛ばして……  駅から吐き出される大勢の人ら 今日も1日おつかれさまです 左に行く人 右に行く人 俺はこっち 目指すはあの店  同僚たちは ネットでイイじゃんって言うけれど 俺は画質にこだわりたい そして 何より課金したいじゃない そのためにさ 働いてるんだもの  あの黒いのれんの向こうには 俺たちの夢がつまっている 日常 虚しさ ぶっ飛ばしておくれよ 優しく癒やしてくれる 桃色の世界へ飛び込もう 男に生まれて本当に良かったな  俺の故郷にふらっとやってきてた 正体不明の謎のガラクタ屋 怪しい品物が並ぶ中 それは 眩しすぎる程に輝いていた  パッケージも映像もなんとも質が悪く とても正規のものじゃない だけど 田舎の人間にとっては とてつもなくありがたかったよなあ  あの黒いのれんの向こうには 俺たちの夢がつまっている 忌まわしいモヤモヤ 忘れさせておくれよ 今夜はどんな出会いがあるだろうか 胸が高鳴る 大人の男の特権だ さあ行こう  黒いのれんの向こうには 俺たちの夢がつまっている 日常 虚しさ ぶっ飛ばしておくれよ 優しく癒やしてくれる 桃色の世界へ飛び込もう 男に生まれて本当に良かったな
ホームセンターミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一毎日といってもいいくらい ここに来てる 大好き めまいがする程広くって 何でもかんでも売ってる ベンチがたくさんあるから 何時間でもいられる あれもこれも どれもこれも欲しくなる  もし私のおうちに猫がいたら もし私に孫がいたら そんな事考えて 楽しむの 現実は出来るだけ 遠ざけて 思い出も出来るだけ  カートを押してる若い夫婦 そのそばに小さな女の子 私にもあんな時があった あの頃は当然だった日常 今みたいな小さな古い アパートなんかじゃなくて 広い庭も 車も 笑い声も あった頃  もしあの時あの人と出会わなかったら もっと私が聡明だったら なんて 詮ない回想はおしまい 帰りましょう もう夕方 また来ます  もし私のおうちに猫がいたら もし私に孫がいたら そんな事考えて 楽しむの 現実は出来るだけ 遠ざけて 思い出も出来るだけ 遠ざけて
観覧車ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一ゆっくりと空に近づく 街が遠ざかる 缶ビールもどき開けて 一気に半分飲んだ  広がるパノラマ あくびをしたら 涙で視界がゆらゆら はーあ  明日の朝には俺は空港 故郷に帰る飛行機へ 明日の朝には俺は空港 山と雪のあの街へ  「今の時代どこにいたって一緒だよ」なんて そんなの本心じゃない そりゃここがいい  ビールがないよ ビール飲みたいよ 惨めだ ったくよー 消えたい はーあ  明日の朝には俺は空港 故郷に帰る飛行機へ 明日の朝には俺は空港 最期を待つあの街へ 明日の朝には俺は空港 故郷に帰る飛行機へ 明日の朝には俺は空港 山と雪のあの街へ  ゆっくりと地上に近づく なんだもう終わりか 最後まで俺の片思いだったね はーあ じゃあね
もつやき 玄ちゃんミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一今日もおつかれさまでした 夕陽がなんだか沁みますよね 看板と暖簾を外に出し さあ開店 もつやき玄ちゃん  恋の悩みかお兄さん んなものサワーで飲み干しな やめろよ そんな暗い顔 またまたガールにふられるぜ ってあららら 彼女のご登場 あんた恋人いるんじゃないの  今日もおつかれさまでした やあいらっしゃい もつやき 玄ちゃん  今日もおつかれさまでした まったく嫌なニュースばかりです はいはい もつ煮とお新香ね OK了解 もつやき 玄ちゃん  見かけぬ顔だね親父さん 最近越して来たのかい? それとも誰かの葬式かい? つっても俺もヨソの人間 バイクで通勤してるのさ 川の向こうのあの街から  今日もおつかれさまでした やあいらっしゃい もつやき 玄ちゃん 今日もおつかれさまでした 毎度ありがとうございます もつやき 玄ちゃん
昼キャバミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一彼女のもうひとつのアルバイトって もしかして いつも大体眠たそうにしてるし もしかして 「飲食店」としか教えてくれないし もしかして ごっついマンションに住んでるっていうし もしかして  だとしても俺にはどうする事もできない 俺はただの友達 好きだという事さえできない  仮に俺の彼女になったとして そのぶんのマネーを 俺は彼女に与えられない 俺にはどうする事も むなしさに殺される むなしさが突き刺さる むなしさに むなしさが  彼女のもうひとつのアルバイトって もしかして 実家への仕送りは欠かさないっていうし もしかして アクセサリーがどんどん派手になっていくし もしかして あの写真…… やっぱりあの写真って もしかして  だとしても俺にはどうする事もできない 俺はただの友達 いやもしかしたらそれ以下かも  仮に俺の彼女になったとして そのぶんのマネーを 俺は彼女に与えられない 俺にはどうする事も むなしさに殺される むなしさが突き刺さる むなしさに むなしさが
今はまだ恋愛がわからずミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一誰かを好きになるという感情が わからない 親しみじゃなくて いわゆる恋というやつが もう少し大人になればわかるんだろうか つっても私 23歳 華の新入社員です  彼氏がいた事も なんか流れでね まああったけどさ どれもすぐに ああ 終わった  このまま独りで生きていくのかなあと ぼんやり ぼんやり思うけど なんだか 全然 寂しくはないんだよなあ 私は多趣味で 美人ですものね  調べたら 私みたいな人間って 多いみたい ほらこんなにもよ 案外コレが普通かも 「好き」がわからない 人だらけになって 各々の子孫は途絶えて マジ人類滅亡っすか?  でも近い将来 人間なんてさ もっと簡単に 作れるでしょう そうなるでしょう  このまま独りで死んでいくのかなあと ぼんやり ぼんやり思うけど それが何?何なの? 別にどうって事ないじゃん 私は一生 猫と暮らします あん お猫様  このまま独りで生きていくのかなあと ぼんやり ぼんやり思うけど なんだか 全然 寂しくはないんだよなあ さあ 休憩 終わりです 午後からもひとつ がんばりましょう
恋の都営新宿線ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一彼女はいつも菊川から乗ってくる 水色のイヤホンをして あまりにも真っ直ぐな前髪 見た目は学生さん なるべく近くにいれる位置を僕は陣取る 運が良い時は隣にいれる事もあって その時の幸せな気分と言ったらない そうして彼女は市ヶ谷で降りて行く  帰りは流石に一緒にはなれない だけど今日はなんと! 飲み会か何かの帰りらしい彼女に遭遇した いつもの水色のイヤホンはしていなくて 軽くうなだれて 前髪がそよそよと揺れて 泣いてるの?泣いてるのかい? うーん どうなんだろ…… そうして彼女は菊川で降りてった  彼女の夢はあんまり見ない 見たとしてもいつもそこは地下鉄の中 そこでも僕はそっと彼女の事を 盗み見るだけ  彼女はいつも菊川から乗ってくる あれあれ? どうした? あれ? 水色のイヤホンはそのままだったけど 金髪だ! 化粧も濃い! まっすぐ前を見る眼差しはとても鋭く この世の全て呪うとでも言いたげなオーラ どうしたの? どうしたのさ? 一体どうしたのさ…… 訊きたい訊きたい でも 訊けない訊けない どうした?どうした?おい君!どうしたのさ!?
笑ってあなたにグッド・バイミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一この子ももう6年生 あなたのその畜生ぶりは 充分理解しています 顔も見たくないとの事です 私も今まで耐えに耐えて 耐えてきましたけど さすがに もういいでしょう この子のためにも さようなら さようなら 惨めな私たち  笑って俺について来い 笑っていたら大丈夫だとか あなたはよく仰ってましたね この子がまだ小さかった頃 笑えと言われたって あんなのどうやってどのように 笑えば良かったのでしょう まだ間に合うはず さようなら さようなら 惨めな私たち  これからこの子男の人を 好きになれる気がしないって それは私も同じですけど この子はあまりにかわいそすぎる では あとは弁護士さんとどうぞ 大丈夫 笑っていたら あはは 何とかなるんでしょ? 笑ってあなたに さようなら さようなら 惨めな私たち 最大限の憎しみを込めて
帰路ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一東銀座駅に向かう地下道 地べたにうなだれてるの寝てるの 死んでるようにしか見えない人もいて そんな人らを僕らは極当たり前に やり過ごす やり過ごす 全く見えてないという風に すたすた歩く  そうさ 見ず知らずの他人の命なんかより 出来るだけ早く地下鉄に乗る事の方が大事 そうやって生きてきた そうやって生きている 明日も仕事だ 早く風呂に入って ビールが飲みたい  なんか ムカつくあの野郎の顔が頭の中から消えないよ 消えてくれ オンオフ上手くなりたい ガラスに映る俺の顔 案外悪くない 明日も仕事だ あと2日で休み  なんで俺はここにいるんだろうか なんで君らはここにいるんだろね まあ色々あるさね なんとなく生きている なんとなく生きていこう 明日も仕事だ 早く風呂に入って ビールが飲みたい
夢なんてゆるめるモ!ゆるめるモ!緑川伸一緑川伸一ハシダカズマ(箱庭の室内楽)夢なんてひとつもないよ 何が悪いの? 今がすべてだもん  なんとなく 毎日が過ぎ とはいえそれなりに必死でさ 朝っぱら 電車に乗って 学校に行くだけでも 一大事 ヘットヘトよ なんて世界だろ ヘットへトよ 今を乗り切るので精一杯だ  夢なんてひとつもないよ 強いて言うなら お金持ちの奥さん ゴロゴロして なーんにもしない 家政婦さんが全部やるんだもん  なんでだろ なんで生きてる? そんな事考えても 時間の無駄 楽しいとか 美味しいとかを 集めましょ 辛いこと 全部無視 とはいえ ヘットヘトだ なんて世界だろ ヘットへトだ 大人になれば楽になるかな  夢なんてひとつもないよ 強いて言うなら お金持ちの奥さん お父さんとお母さんに 立派なお家 建ててあげるんだもん  こんなに私まだ若いのに 頭がこんがらかりたくないよ 人生とかなんとか 語ってんじゃねー お寒いよ お寒いってば  夢なんてひとつもないよ 何が悪いの? 何が? 何が? 夢 夢 夢 うるせーなもう 恋はしてるもん それでもう充分じゃん さあやりましょ 目の前の事 まずはお昼寝 今がすべてだもん
トーキョーミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一我関せずな この空気感 性に合ってる 最近思う トーキョー 地下鉄の中 眼鏡はしない 手には読み物 ひとりの世界 トーキョー  歩き煙草は 条例違反 恥を知りなさい ここはみんなの トーキョー  お酒を飲んで ラーメン食べて 夜の公園 二人で大笑い トーキョー
エッチばっかミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一会ったらエッチばっかりするの 遠距離恋愛ってこんなものなのかしら だってさ だってだってだってだって 離ればなれなんだもん しょーがないじゃない 私本来は こんなにお盛んな女じゃない 彼のせいだわ 彼がどスケベだからなの といってもカラダ目当てでは無いはず だって初めての時 彼できなかったもの 私 チョー落ち込んだもの  会ったらエッチばかりするの 猿じゃあるまいしって我ながら呆れてる まったく 若くないんだからさ 腰がもたんわよ えへへのへ 一緒になっても こんなにかまってくれるかしら まあ大丈夫よ 彼はどスケベ野郎だもの といってもカラダ目当てでは無いはず だって初めての時 彼できなかったもの 私 チョー落ち込んだもの 死ぬまで言ってやる 勃たなかったもの ふざけんな お前 勃たなかっただろ
すごいきらいミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一ムカつくとか 死んでほしいとか いつも思う いつもいつも バカにすんな 何様のつもり? いつも思う いつもいつも あいつのデカい手 右だけ長い爪 あいつのクセっ毛 こびりついて消えてくれない きらいきらい すごいきらい なんであんな男なんか きらいきらい もうこりごり さよならしたい 早く  もう若くない 遊んでられない いつもつらい 夜になると そんな余裕 ある訳ないじゃない 今夜も飲む 飲むよ 飲むの それでもやっぱり 喋ると笑っちゃう 甘えているのは もしかして私なのかな きらいきらい すごいきらい なんであんなクソガキと きらいきらい もううんざり さよならさせてお願い  ケータイ見ちゃったから 知らんぷりはできない いやだいやだ もう無理です 私の中から早く消えて いやだいやだ こんな現実 もうたえられない  きらいきらい すごいきらい ホントだもん ホントだもん きらいきらい ウソじゃないもん これ以上泣かせないで きらいきらい すごいきらい なんであんな男なんか きらいきらい もう限界 さよならできるのかな 私
花火大会ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一去年もこうして自転車またがり お前と二人 川っぺりの公園へ 暑さはそれほど厳しくはなく 人の流れに くっついて進んだっけ ビニールシート マズい広島焼き ビールを片手に その時を待って待って 次々と打ち上がる 猛り狂う火の花 寄り添い見上げた 優しい記憶 はらはらと舞い落ちる 幸せの火の花 二人で見上げた 最高の夏  今年もこうして自転車またがり のこのこ一人 川っぺりの公園へ なんで来たんだよ なんで来てんだよ 自分に問い掛け 引きつった自嘲笑い ガードレールに 軽く寄りかかり ビールを片手に その時を待って待って 次々と打ち上がる 猛り狂う火の花 一人で見上げる 辛い現実 いつまでも終わらないで 幸せの火の花 一人で見上げる にじんで揺れる  次々と打ち上がる 猛り狂う火の花 一人で見上げる 辛い現実 いつまでも終わらないで 幸せの火の花 一人で見上げる にじんで揺れる ただただ綺麗で 最低の夏
戻れないから 仕方ないからミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一戻れないからここにいる 仕方ないからここにいる ここで会ったが運の尽き どうぞよろしくマイダーリン  全部投げ捨ててやってきたけど 毎日けらけら笑って楽しいけど 私は欲張りなのかなあ ルルルルー 時々 こんなはずじゃ なんて思ってしまう でも 戻れないからここにいる 仕方ないからここにいる ここで会ったが運の尽き どうぞよろしくマイダーリン  わからなくなるよ あの人の事が 毎日ゴロゴロ 何もしないんだもん 預金残高に溜息 ルルルルー 時々なんだこいつは なんて思ってしまう でも 戻れないからここにいる 仕方ないからここにいる ここで会ったが運の尽き そうよそうよねそうなのよ 戻れないからここにいる 仕方ないからここにいる ドンルッバックで突き進め どうぞよろしくマイダーリン 早くお嫁にしてください
ババアは嫌いさミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一昨夜 君を抱いた 楽しい思い出が 頭から 離れなくて 仕事にならないよ 昨夜 君は言った 「あなたが最後の人」 「綺麗だよ」 耳元で 僕は囁いたのさ 死ぬまで 僕は君を抱いていたい ジジイになっても 僕は君を抱きたいよ でもそうすると君も 同じようにババアだね ババアは嫌いさ ババアは嫌いさ  やっと お昼休み ケータイ握りしめ んふふふ んふふふ ニヤニヤ噛み殺す しかし みんなブスだ ったくよーどいつもこいつも それに比べ なんて君は 可愛いのかしらねえ 死ぬまで 僕は君を抱いていたい ジジイになっても 僕は君を抱きたいよ でもそうすると君も 同じようにババアだね いやいや そんなはずない! 君は永久にガールさ ババアは嫌いさ ババアは嫌いさ
むなしいミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一ああ 貧乏は嫌だなあ 破れた網戸 みすぼらしい ムカつく ああ 貧乏は辛いなあ 金さえあれば全てケリがつくのに なんでなんで うちは貧乏なんだろう 父ちゃん母ちゃん あんなに働きっぱなしなのに 不公平にも程がある 銀行強盗とか マジで考えてしまうのさ今日も 怖いよ怖いよ そんな自分が貧乏が みんな言うけど 「金で愛は買えない」なんて 金持ちのたわごとじゃねえか 買えるよ買えるよ 俺の愛ならなんぼでも  なんでなんで 俺なんか生まれたんだろう 父ちゃん母ちゃん 3人もいらんだろうにまったく 冷たい笑いこみ上げる 銀行強盗とか マジで考えてしまうのさ今日も 怖いよ怖いよ そんな自分が貧乏が みんな言うけど 「金で愛は買えない」なんて 金持ちのたわごとじゃねえか 買えるよ買えるよ 俺の愛ならなんぼでも どうせこの先 いくら頑張ったって 高が知れてる 高が知れてるっつーの アホらし むなしい むなしい
旧江戸川ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一学校をさぼった いつもの道を左にそれて なんとなくここまでやって来た 土手を降りてみると 犬の散歩をしてるジジイ いぶかしげにこっちを見てるけど 知るか 傾斜に寝転ぶ 空が青い 草の匂い 水の音 ウケる ウケる あーあ この年で現実叩きつけられるかね しかし 舌打ち混じり 「クズが」とつぶやく 何度も何度も クズが クズが  親父のリストラで うちん中がおかしくなった お袋がパートに出はじめた 引っ越しするようだ 昨日そんな話をしてた マンションのローンが払えなくなったらしい 何処へ行くにも お先真っ暗 この川ともさよならか ウケる ウケる あーあ この年で現実叩きつけられるかね しかし 舌打ち混じり 「クズが」とつぶやく 何度も何度も クズが クズが 立ち上がり 歩き出す あてもなく 俺はお前らとは違う 俺は俺の道を行く 俺はお前らとは違う  あーあ この年で現実叩きつけられるかね しかし 舌打ち混じり 「クズが」とつぶやく 何度も何度も クズが クズが
人間応援歌ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一悲しくないのに悲しいふりをしなきゃいけない 怒ってないのに怒ってるふりをしなきゃいけない 嬉しくないのに嬉しいふりをしなきゃいけない 面白くないのに面白いふりをしなきゃいけない 目をつむる事 耳をふさぐ事 捨てる事 忘れる事 それだけが生きるという事 大丈夫だって なんとかなるって 思うしかないよね 言うしかない 自分に 大丈夫 俺は なんとかなる 俺は まだまだやれるさ 人生これから  具合悪いのに愉快なふりをしなきゃいけない 楽しくないのに愉快なふりをしなきゃいけない 死んじまいたいのに愉快なふりをしなきゃいけない ふりふりふりふりで ホントの自分がもうわからん 目をつむる事 耳をふさぐ事 捨てる事 忘れる事 それがなかなか至難の業 大丈夫だって なんとかなるって 思うしかないよね 言うしかない 自分に 大丈夫 俺は なんとかなる 俺は まだまだやれるさ 人生これから  大丈夫だって なんとかなるって 思うしかないよね 言うしかない 自分に 大丈夫 俺は なんとかなる 俺は まだまだやれるさ 人生これから メタボに負けるな 人生これから
スカイツリーミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一毎日大きな橋を渡って 駅まで十分歩きます 呆れる程に見晴らしが良くて 正直田舎くさいです スカイツリーが見えるのは少し いやだいぶ嬉しかった 二人で一緒に見に行ったのは 九月の暑い日でした たくさんの人を裏切って たくさんの人を失望させて 流れ流れて この街に来ました 全てを一から やり直すために 今は一人だけど いつか いつか いつか あなたと一緒になりたいです なりたい  電車はいつも空いてます 読書と昼寝がすすみます どこへ行くにしても大体 一時間くらいかかるんで スカイツリーは近いはずです 路線図で見てもなんとなく そりゃそうだ こっから見えるんだもん 今日も真っ直ぐに立ってます たくさんの物を失って たくさんの傷を心に負って どうにかこうにか この街に来ました 一からあなたとやり直すために 泣いてみたいけど 出ない 涙 出ない でっかい川の流れ 日は沈む 晩メシは何にしよう 今は一人だけど いつか いつか いつか あなたと一緒になりたいです なりたい 幸せになりたい
グッドモーニングミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一同じ制服 同じような背格好 バスの中 私だけ誰とも喋らない いじめられてる訳じゃないんだけど 友達はほぼいない みんな馬鹿だから  お日様が脳天直撃 今日も暑くなりそうだ バス停で最後に降りると 先生がいた 私の恋人  背中に体当たり よろける先生 怖い顔で私を睨む 眼鏡がずれてるよ スカート翻し 私は小走り 先生!先生!先生! 今日も大好き  同じ制服 同じような背格好 教室で 私だけ明らかに浮いてる 孤立しないよう みんな必死なんだ こんな狭い世界なのに ご苦労な事です  窓際でひとり考え事 早く卒業したいなあ いつの間にチャイム鳴ったんだろ 先生が来た 私の恋人  あんな不細工の どこがいいんだろ? 私基本面食いなんだよ それなのに何なの? 名前を呼ばれて 元気にお返事 先生!先生!先生! 今日も大好き  一緒に暮らすんだ 来年の春に パパやママに反対されても 私は負けません 若気の至りなんて 絶対言わせない 先生!先生!先生!ずっと大好き
銭湯の思い出ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一湯船で僕らが騒いでいると いつもおじさんに怒鳴られた 「うるせーなガキども!」坊主頭でプロレスラーみたいだったおじさん  おじさんのでっかい背中には綺麗なカッコいい絵が書いてあって それはお尻にまで届く程の 大きな大きなものだったんだ  ある時「おじさんの背中綺麗だね」と言ったら 「バカヤロー綺麗なもんか」と照れるように背中を隠した それが刺青というものだったという事を 知るのはだいぶ後になって  おじさんには娘さんがいて いつも一人外で待っていた 僕らは湯上がりの体を冷ましつつ 女の子の様子を観察した おじさんが出て来ると女の子は コーラを一気に飲み干して おじさんのぶっとい腕に掴った 母子家庭の僕は羨むばかり  あんなお父さんがいたらなあ 二人を見ながらいつも思った 女の子の手を引きながらダミ声で歌ってた歌が 「人生を語らず」という歌だったという事を 知るのはだいぶ後になって  中学生になって僕らは 銭湯に行かなくなってしまった そしてあの女の子と同じ学校になるとは まさか思ってなかった そもそも同い年だったとは 何だか大人っぽく見えたから テレビに出て来る女優さんのような 彼女に僕は夢中になった  僕は想いを打ち明けて 運よく付き合う事が出来た 「あんなお父さんがいたらなあ」というあの頃の夢が 23になる春に叶うんだっていう事を 知るのはだいぶ後になって  今でもお義父さんとはたまに 銭湯に行く事がある 背中の絵は少し萎んでしまったが やさしい笑顔とダミ声ははあの頃のまま
片想われミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一アーケードの入り口 いつもの通学路 今朝も彼女は立っていた 恥ずかしそうに立っていた 目が合うとぶるっと震えてた  ひとつ年下で バレー部の彼女 いったい帰宅部の俺のどこに惚れたというのだろう すれ違う時なんか言ってたが 聞こえないフリをした  やりたいときに好きなだけ やれる関係でいいなら 考えたっていいけど 付き合ってもいいけど やりたいときに好きなだけ やれる関係がいいけど… そんな都合のいい話 ある訳ないよな わかってる  手紙もメールも ずっと全部無視 かれこれもう一年だな よくもまあ懲りないもんで 修行かな さてはドMかな  乳は結構あると思われる 平凡なルックスだけど なんか可愛く見えてくる それでもやはり 俺はどうしても 好きにはなれないのだよ  やりたいときに好きなだけ やれる関係でいいなら 考えたっていいけど 付き合ってもいいけど やりたいときに好きなだけ やれる関係がいいけど… そんな都合のいい話 ある訳ないよな わかってる  もうすぐ卒業だから こいつらともおさらばだ 昼休みの喧騒 抜け出して廊下に出ると 彼女が立ってたんだ 思い詰めた表情  図書室に連れて行かれて 面と向かって言われた 彼女の告白に俺は 慌ててつい口が滑った  「やりたいときに、好きなだけやれる関係でいいなら、 考えたっていいけど、付き合ってもいいけど」 「それでも私構いません。先輩のそばにいたいです」 彼女はそう答えたのだ なんて最低なんだろ俺  彼女がホッとしたように 微笑んだ とりあえず放課後うちに来てもらう約束をした
こちょばしっこミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一同じたんぽぽ組のノッポで 目が細い明るい女の子だった 僕は彼女といつも2人で こちょばし こちょばされ キャーキャー遊んだ  たまにお尻や太ももに触れてしまうときがあり そんな時はいつも甘い目眩が  彼女は顔を真っ赤にして笑っていた 子供には似つかわしくない淫靡な笑いだった 僕も同じような顔をしていた事だろう  疲れた僕らは遊戯室の隅 並んで座ってみんなを眺めた しばらくすると彼女は復活 こちょばし こちょばされ ゴロゴロ転がった  エスカレートして気がつくと彼女の白いタイツの 中に僕はいつも手を入れていた  彼女は顔を真っ赤にして笑っていた 子供には似つかわしくない淫靡な笑いだった 僕も同じような顔をしていた事だろう  今考えると何故先生が 止めに来なかったのか 不思議でしょうがない  彼女は顔を真っ赤にして笑っていた 子供には似つかわしくない淫靡な笑いだった 僕も同じような顔をしていた あの時から 僕の好色な人生の道筋は決まってた 3度の離婚を繰り返し えらく貧乏だ 隣で20も下の俺の女が眠ってる
はじめての合コンミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一明日合コンに行く事になった 一人面子が足らなくなったとかで 急遽私に白羽の矢が立てられた 頗る憂鬱だ だったら断れば良い なのに私は承諾してしまった 学生の分際で合コンにも出た事がないなんて 田舎の両親に申し訳ないと思ったからだ ……というのは嘘で 彼女が出席すると知ったからだ  一年程前から 私は密かに 彼女への想いを滾らせている だけど彼女を我が物にしたいとか そんな事はちくとも思っていない 彼女は彼女 誰の物でもないのだ 一緒にプールやお風呂に入りたいなとかは思うが あんな清楚でおしとやかな彼女が合コンだと!? きっと誰かに騙されたに違いない 何かの間違いだ  私がこの手で守ってあげなくては そんな思いから 決意を固めたのだ だけど早速後悔しまくってる 頗る憂鬱だ マジ断れば良かった 何故なら私はべらぼうな酒飲み 一旦飲み始めたら自制できなくなるのだ そうして歌うのだ 浜田省吾を歌ってしまうのだ お嬢様な彼女の前で赤ら顔のロックンロール 全ておしまいだ  彼女を守るどころの話じゃない 危害を加えてしまうかもしれない 今からでも遅くはないと思うのだ 断りのメールを打つべく携帯開く  「Eメール受信 1件」と表示されていた ヘッドフォンでSHOGOを聴いていたから気付かなかった ……なんだあいつか 体を重ね合うためだけの女 「明日暇か?」と訊かれたので「忙しい」と返信した やっぱり私は合コンへ行く こんなふしだらな生活から抜け出すためにも 合コンへ行く 合コンへ行く
I am not a motherミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一心当たりは確かにあって できても当然な暮らしな訳で 育てていく自信は無いけど おろすなんてありえない 彼はどうせ逃げるだろうし どうしよう どうしよう こない こない アレがこない  誰かに相談できる訳ない 私一人で抱え込むしかない 気付けばお腹 擦ってる自分 検査薬は買ったけど 怖くて まだ開けてもいない どうしよう どうしよう こない こない アレがこない  説明書を何度も読み返す 私はどうやらmotherじゃないらしい 安堵のため息が漏れ同時にどうしようもない寂しさが私を襲った ほんの少し幸せだったから  いつもと同じ朝 揺れるバスの中 無理に軽い調子で彼に打ち明けた 「何だよ早く言えば良かったのに」そう彼は笑うけど 絶対ウソ 絶対逃げるくせに 女って孤独だ  校門の前で彼と 手を振って別れる 遠ざかる彼の背中 いなかったね二人のbaby 一時限目は英語だな
熱海ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一君は蜜柑の皮をむき 丸ごと一つ俺に手渡した 窓の外は山と 空汽車は走る 体震わせて 車内アナウンス そろそろ着く頃か バッグを肩にかけて 君が立ち上がる  全部何もかも忘れよう やり直せるさ 誰も俺たちを 知らないこの街なら 全部何もかも忘れよう 俺がついてる 何よりも温泉がある  君は海へ行こうと言う いいね 俺もそのつもりだぜ 10分くらい歩いたら 波の音と潮の香りが 沈んでゆく陽は 俺らを赤く染め バッグを海に投げて 君がしゃがみこむ  全部何もかも忘れよう 波に流そう 好きなだけ泣きなよ 俺はここにいるさ この世で一番美しい 君が死ぬなんて 断じて間違ってる  そうさ何もかも忘れよう やり直せるさ 誰も俺たちを 知らないこの街なら 全部何もかも忘れよう 俺がついてる 何よりも温泉がある 湯あたりには気をつけろ 俺の愛にはのぼせろよ
母さんミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一母さん あなたは僕を今でも本当に愛してくれていますか 母さん あなたを僕は苦しめ悩ませたくさん泣かせたんだろう 母さん とうとう来週の水曜日だよ 母さん とうとう法律に僕消される  母さん あの日はとても頭が痛くて仕方が無かったんだよ だから 母さん あの日の事は何にも覚えてないんだ ほんとに本当 母さん 親戚のみんなは何て言ってるの 母さん 近所の人にいじめられてないかい  母さん こうして手紙を書くのって初めてだよね 最初で最後の手紙になっちゃったけど 母さん あの日に僕がやった事は僕の意思じゃない 誰かが僕の脳ミソいじくったんだ 母さん あなたは僕を産んだ事 後悔してませんか 後悔してないのなら嬉しいです 母さん あなたの息子に生まれて僕は幸せでした この僕を産んでくれて本当にありがとう  母さん さよなら お元気で 向こうでいつも見てるから 母さん 母さん 母さん
昨日ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一昨日 俺は夜の海へと車飛ばした 独りになりたかった  昨日 俺は千葉の女に海で誘われ そのままホテルに行った  俺の隣にはいつも 女の匂いがしてる 毎日違う女が近づいてきやがる  俺はいつまでこんなこと続けて行くんだろう 花に 草に 生まれたかった 愚かな人類よ 己の欲望の炎で自滅すればいい  俺の身体を貪る 女の顔を見てると 悲しくて悲しすぎて とてもやりきれない  だけど俺は女たちが仕掛ける誘惑の 言葉 視線 無視なんかできない 俺にはそんな度胸 生まれつき無いよ 最低だ 地獄だ もういやだ  俺はいつまでこんなこと続けて行くんだろう 花に 草に 生まれたかった 愚かな人類よ 己の欲望の炎で自滅すればいい  滅亡すればいいんだ  今日も俺はキューバの女と酒を飲んでる この後 女の家に行く
上京十年目 神にすがるミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一どうして俺は ここにいるんだろう 一日中 電話の前 雑居ビルの3階  田舎の家族 元気でいるかな 今の俺の姿を 見たら泣くだろうな  知らない人達に 電話をかけまくる 「もしもし母さん? 俺だよ俺 実はさぁ…」  罪悪感 胸の奥 押し潰して 嘘八百並べ立てるのさ こんなことするためにわざわざ 東京に出てきたわけじゃないのに  どうして俺は まだ生きてるんだろう 神様は俺のこと 怒ってないのかな  俺みたいな奴は 生きてても仕方ない 周りの人達を 悲しませるだけだもの  残酷なお方です あなたは 早く俺を殺してください 駄目ですか そんな暇ないですか 神様 あなただけは 俺のこと 見捨てないで 見捨てないで  罪悪感 胸の奥 押し潰して 嘘八百並べ立てるのさ こんなことするためにわざわざ 東京に出てきたわけじゃないのに  残酷なお方です あなたは 早く俺を殺してください 駄目ですか そんな暇ないですか 神様 あなただけは 俺のこと 見捨てないで 見捨てないで
恋に生きる人ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一恋に生きる人にはなれない 子供の僕は恋に生きていた 恋が僕の全てだった 今思えばそんな気がする 恋に生きる人にはなれない なりたくもないんだね不思議と 今はそれどころじゃねぇのよ 女の子は大好きだけどね  恋に生きる人を知ってる その人は高校生 背の小さい女の子 とっても可愛い女の子 金髪が似合う十七歳  恋に生きる人にはなれない そもそも男なんてものは 恋に生きる資格なんかない 資格というか権利がないんだ  この高校生と話すとなんだか知らないけど いい気分になれるのは僕がこの子を好きだからか? 狂わない程度に好きだからか?  恋に生きる人にはなれない 子供の僕は恋に生きていた 恋が僕の全てだった 今思えばそんな気がする  恋に生きる人は綺麗だ なんせ恋にしか生きてないんだから 恋に生きる人にはなれない 恋に生きる人にはなれない
遺言ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一愛する人よ 僕はあなたを愛していたんです あなたは今どこにいますか? それともいませんか? あぁ こんな事になるなら 言っておけば良かった  この想いは この国と共に消えるのか 終わりは何かの始まり 消えてたまるもんか  でっかい夢が僕にはあった いや今でもあるさ あなたは鼻で笑うでしょう でも本当です あぁ こんな事になるなら やっておけば良かった  この願いは この国と共に消えるのか 終わりは何かの始まり 消えてたまるもんか  もしも僕のこの魂が どんな形であれ残っているなら 愛する人の魂のそばで ずっと一緒にいたいものだ もしも神様がいるのなら 僕のでっかい夢の一部始終を 全部覚えていて下さい 忘れないでいて下さい  この想いは この国と共に消えるのか 終わりは何かの始まり 消えてたまるもんか 終わりが何かの始まり 絶対消さねえぞ
OH! Gメンミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一じゃあ お母さん 住所教えて あとご主人の連絡先と… あ、ご主人いないの? そっか亡くなったのね それは失礼  じゃあ お母さん 誰でもいいわ 迎えに来れる人いないかな? そっか じゃあ警察の人に来てもらわないとね  当たり前じゃん だってこれ 立派な犯罪だよ 泣いても駄目よ 何?ご主人いるの? どうして嘘つくの!!  犯人は54歳の主婦 豆腐とティーバッグと白髪染めと キャットフードを万引きして店を出たところ Gメンに捕らえられた Oh! Gメン Oh! Gメン  じゃあ お嬢さん 住所教えて あと生徒手帳持ってたりする? 持ってるの 偉いね 一応学校のほうにも 連絡しなきゃ  じゃあ お嬢さん お家の誰か 迎えに来れる人いないかな? そっかじゃあ お母さんに来てもらいましょうね  それにしても さっきからあなた落ち着いてるわ 普通だったら そんなに涼しい顔でいられないものだけど  犯人は16歳の娘 これで28回目の犯行 コスメグッズを万引きして店を出たところ Gメンに捕らえられた Oh! Gメン Oh! Gメン  犯人は心の深い闇を 晴らすべく今日もGメンは行く たとえどんなに熟練された巧妙な手口も Gメンは見逃さない Oh! Gメン Oh! Gメン
恍惚の人ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一そろそろ朝刊が来たかな? ポストの中に手を伸ばした いつもと同じ 気分が暗くなる ニュースばかりだ  そろそろ朝餉の時間だな ヨウコさんがやっと起きてきた マサシも寝ぼけ顔 ネクタイを締めてる 早く座りなさい 腹が減った  ばあさんは まだ寝てるのですか ヨウコさん ヨウコさん まあいいか お先にいただきましょう ほら ケンちゃん ジジと一緒に食べよう  そろそろ朝刊が来たかな? ポストの中に手を伸ばした ポストの中は何故かしら空っぽ 今日は休刊日か  そろそろ朝餉の時間だな ヨウコさん腹が減りましたよ 「さっき食べたでしょ お腹を壊すわよ」とヨウコさん知らん振り 腹が減った  ばあさんは まだ起きないですか ヨウコさん ヨウコさん この仏壇の写真の人は誰ですか ばあさんですか そうですか  やめなさい 離しなさい 会社に遅刻するじゃないか 馬鹿なことを言うな 私の息子はまだ6歳なんだぞ  お寺の鐘が鳴ってる 黒い猫が走って逃げた 私の手を引く この人は誰だろう 泣いているみたいだ 腹が減った  お上がりなさい お客さんだよ ヨウコさん ヨウコさん なんだ2人は知り合いですか まさしさん? ウチの息子もまさしです  さっきからここに座ってる この子は一体どこの子だろう ヨウコさん ちょっと この子は誰ですか? ケンちゃんですか はじめまして
ドライブミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一腰の曲がったおばあちゃんを さっき僕らは轢き逃げした 「どうしよう」「捕まりたくないな」「捕まる訳無いじゃないの」 「逃げよう」 あの娘はそう言った 僕は小さく頷いた それからひたすら走った 僕らは何処へ行くのだろう?  小さな旅館で一泊することにした なんだかとっても素敵な夜だった  何が正しくて何が悪いなんて 誰もそんな事教えてくれなかった 誰も悪くない 解っていたんだ 生まれた時から僕は悪魔だった  次の日 三人の男が僕らの前に現れた あの娘は車に乗せられた 眼鏡男が何か言ってる  これからずっと あの娘に会えないのかな? 離れていても 好きでいてくれるかな?  独りでいるのも結構落ち着く 割とみなさん、いい人たちだよ こんな息子でごめんなさいママ 心配しないで僕は元気だから  何が正しくて何が悪いなんて 誰もそんな事教えてくれなかった 誰も悪くない 解っていたんだ 生まれた時から僕は悪魔だった
ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一私が整形手術をしたのは5年前の夏 それからというもの私の人生は 大きく変わった 現金な男たちは急に私の元へやって来て 見え透いた愛の言葉を恥ずかしげもなく 囁いた  誰一人 私に愛の意味を教えてくれなかった だらしのないあいつらを 私はボロボロにして捨ててやった  幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの この美貌を手に入れても 私の心は昔より寒いわ 幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの どなたかどうか教えてくださいませんか お願い  昔の友達にはあの夏以来ずっと会ってない 会いたいけどどうしても会いに行けない みんな元気かしら? 両親の 私を見る目は未だになんかよそよそしい 「ごめんなさい」 と言いたいけど 何かが邪魔して 言えないの  何故でしょう 全てがうまく行くと思っていたのに こんな事になるなら 前の顔のままでいたほうが良かった  幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの この美貌が邪魔をして 私の心を誰も見てくれない 幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの どなたかどうか助けてくださいませんか お願い  幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの この美貌を手に入れても 私の心は昔より寒いわ 幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの どなたかどうか教えてくださいませんか お願い  幸せとは何でございましょう 私にはもうわからないの どなたかどうか助けてくださいませんか (お願い)
ももミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一犬を飼いたいと 娘が言うので 「ママに聞いてみな」と 俺は水割り  「パパに聞きなって ママが言ったもん」 娘は懸命に懇願する  また俺か いつも俺じゃんか 自転車の時だって 俺が決めたのに  日曜朝9時 娘に起こされ 妻に見送られ 車に乗り込む  国道沿いにある 大きなペットショップ 車を降りると 娘はダッシュ  「この子がいい」 娘が指差す その先に 不細工な顔のパグがいた 「やめとけよ もっと可愛い顔のがいるじゃない」 「絶対この子がいいの!」 娘は譲らず  不細工に見えた この顔がくせになり 今日もフガフガと 俺達のアイドル 「ももちゃん ごはんよ ももちゃん」
許さない忘れないミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一これはさすがにやばい 殺されると思い 私は逃げて来た あの人が出かけた隙に  ふるさとへ向かう 新幹線に乗っている 顔中 痣だらけだから サングラスと帽子を 深く 深く かぶって  もうあの人には二度と会う事は無いだろうけど 私は一生 許さない 許さない 忘れない 忘れない  若気の至りで すぐ結婚しちゃったけど やっぱり駄目だった 当然の結果だな  外では温厚で 優しい人ってことに なってるみたいだけど 最悪の腐れ外道だった まだ震えが止まらない  もうあの人には二度と会う事は無いだろうけど 私は一生 許さない 許さない 忘れない 忘れない  もうあの人には二度と会う事は無いだろうけど 私は一生 許さない 許さない 忘れない 忘れない  もし万が一 どっかで会ったなら どうにかして どうにかして 殺してやりたい
メシ喰えよ!ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一あなた またあの子がダイエットをすると 言っているのよ 困ったわ ちっとも太ってないのに むしろ痩せてるほうよね? 好きな子でもいるのかしら?  夕食も少ししか食べてくれなかったの 成長期の大事な時期なのに だから私言ったの 「ちゃんと食べないと オッパイ小さくなるわよ」って あの子は鼻で笑って部屋に入ったきり  あんな事 繰り返し 繰り返し 繰り返ししてたら そのうちに 取り返しのつかない事になっちゃう そんな事 やめなさい やめなさいと あなたも言ってよ 私じゃもう駄目みたい  心の病なら お医者さんに診てもらわないと いけないわよね 私 明日本屋に行って 専門書探して買ってくるわ ちょっとあなた 聞いてるの? 真面目に聞いてよ  だいたいね いつもそう いつもそう いつもそうあなたは 家族の事なんかどうだっていいんでしょう あなたの その冷徹な 冷酷な 冷血な態度のせいで あの子があんな風になったのよ  あんな事 繰り返し 繰り返し 繰り返ししてたら そのうちに 取り返しのつかない事になっちゃう そんな事 やめなさい やめなさいと あなたも言ってよ 私じゃもう駄目みたい
豆電球の灯りの中でミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一豆電球がそこいら中を 橙色に染めている 僕はおしっこがしたくなって 目を覚ましてしまった  でも一人で行くのは怖いなぁ どうしようかなぁ しょうがない お父さんについて来てもらおう  寝てるお父さんを起こすのは可哀想だけど あれ? お父さん何やってるんだろ? 裸んぼだ  お母さんの上に乗っかってるぞ お母さんも裸だなぁ 何か二人とも苦しそうな顔に見えるな  いやそれよりも僕はおしっこがしたいんだ もれそうだ 「お父さん」と声をかけると 二人の動きが止まった  お父さんはパンツ一丁で 僕をトイレまで 連れて行ってくれた 戻って来ると お母さんは 布団を首までかけて 目をつぶっていたんだ 僕も布団に入って 無理矢理目をつぶった  お父さんに何やってたの?って聞きたかったけど 何だか怖くて聞けなかった
I am a motherミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一この頃 酸っぱい果物 やたら食べる 気づけば食べている オレンジ グレープフルーツ 喫茶店では もちろんレモンスカッシュ もしかして これってアレじゃないのかな そういえば心当たりはあるぞ  近所の産婦人科のドアを勇んで 私は開けて保険証を出し ベンチで文庫本開いた 名前を呼ばれて中に入り 私は予想通りの言葉を聞いた そうか そうか ついに I am a mother  帰りにデパートへ寄って おもちゃ売り場 子供服売り場を ぼんやり眺めて歩いた 何もかもがキラキラ輝いてた あの人は喜んでくれるかしら どうだろう 仕事人間だから  夕食の支度を終わらせて 一息つこうとソファーに横になって 時計見たらもう7時だ あの人今日も残業かしら この頃残業続きだから心配 体壊さないといいけど  あの人が帰って来た いつものように疲れた顔で 私は何気ない風を装って 背広を脱がせてあげながら言った  「へぇ そうなんだ 良かったじゃんか」 あの人は私のお腹に手を当てて 照れ臭そうに笑った 私もつられて 笑いながら 嬉しくて ありがたくて 涙が出たの 頑張らなきゃ そうよ I am a mother
彼は昔の彼ならずミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一頑母堂夕べはちょいと飲みすぎた 目を覚ますともう夕暮れ時 仕事場があるマンションへ 俺はのろのろ出かけるぜ ドアを開けるとアシスタントの 小僧どもがカリカリやっている 俺は自分のデスクに座り とりあえずまずは一服だ 灰皿の横に手紙が一通 送り主を見ると見覚えある名前 どっかのホステスだろうか 首をかしげて封を切る  -手紙- ミドリカワさんお久しぶりです。 いやもう先生と呼ぶべきですね。 お姿いつもテレビや雑誌で拝見させていただいてます。 私のこと覚えてますか? 昔となりに住んでたガールです。 住所が変わったようなので、こちらにお手紙書いてます。 あの頃はまさか先生がこんな偉い漫画家さんに なってしまうなんて…  しゃらくせえ なんなんだこの女は 俺を誰だと思ってんだ 「諸君あとは頼んだ 俺は出かけるぞ しっかり働けよ サボると承知しねえぞ」 アシスタント達に俺は叫んで 夜の街へと繰り出した
リンゴガールミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一頑母堂隣に住んでるガールは大学に通っていて 朝は9時頃家を出て 帰ってくるのは6時くらい どうやらバイトはしてないみたいだ  毎週土日は大概 彼氏が泊まりに来る 時々聞こえる笑い声 夜になればロマンポルノ 男の声がいつも余計なんだよ  最近僕も連載を持つようになってきたけど 大学生と同じアパートに住んでいるのです  いつもの調子で仕事を片づけていたら 誰かがチャイムを押してる あらま お隣のガールだ どうしたんだろうか なんか怖いな  実家からたくさんリンゴが送られてきたので お裾分けにきたんだと 全く可愛い娘じゃないの もう少し僕も若かったらな  「上がってきなよ」なんてひとこと言えるんだろうな あーなんてこった こうしてみると最高に可愛いじゃないか  それから半年が過ぎ めでたく僕も引っ越しすることになりましたよ  「お別れですね」半笑いの僕はガールに言った 「えー、寂しいな」本気で寂しそうな顔のガール 電話番号をお互い自然に教え合ったあと ガールは僕の引っ越しの手伝いをしてくれたんだ  「辛いことがあったら電話しなさい」  なんてね
真っ赤な太陽ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通さあ これから僕は自慢話をするよ そう あの娘と僕は海に出かけたんだよ  車は走る 僕は助手席 夢にまで見た裸のヴィーナス…  真っ赤な太陽 プニプニの身体 サラサラの砂の上で僕らは カラダを重ねた 誰もいないから ダラダラ流れる汗が気持ち良い な  静かな波だ なんて鳥だろ?肩にもたれるエロエロヴィーナス  真っ赤な太陽 プニプニの身体 サラサラの砂の上で僕らは カラダを重ねた またまた重ねた ギュッて抱きしめた 生きてて良かった  真っ赤な太陽 プニプニの身体 サラサラの砂の上で僕らは カラダを重ねた またまたまた重ねた ギュッて抱きしめた 生きてて良かった  …なぁどうだい? これが僕らの夏の思い出 そう 確かに僕ら海に出かけたんだよ
笑って俺について来いミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通だるい顔でドアを開ける 朝の光がお前を突き刺す 小さい背中 見送るだけで 俺はまたしても蒲団に戻る  オレンジの夕日が窓に射し込む頃には お前は帰ってきて俺とバトンタッチ  今日もまた俺は行く 居酒屋に働きに 新しい家族が一人増える  眩しい 眩しい 朝は馬鹿だ さてと帰るか 帰って寝るとするか… 道に転がる石を蹴飛ばし 一人ニヤける やっと家に着いた  目の前の現実に俺らはいつも怯えていたけれど 心配ない 俺について来い!  お前なら 俺らなら 二人なら大丈夫だ わかるだろ?どんな時も笑ってろ  今日もまた 俺は行く 居酒屋に働きに 新しい家族が一人増える 笑ってろ 笑ってろ 笑ってろ 大丈夫だ わかるだろ?笑ってろ 笑ってろ…
私には星が見えるミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通私には星が見える 一番輝く星が 私には星が見える 大好きなあなたの星 毎日あなたを見てる 淋しくなんかない あなたは私を見てる? ほら 髪切ったんだ  私には星が見える 一番輝く星が 私には星が見える 大好きなあなたの星 ずっとあなたは私の旦那様だからね 浮気なんかしてないもん 子供欲しかったなぁ 私には星が見える 私もそっちに行きたい でもあなたに怒られちゃうから まだ私はここにいよう 私には星が見える
居るんだミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一松浦晃久君が居なくなってから この部屋も随分汚くなった 煙草の煙が部屋いっぱいに広がっている  君が居なくなってから ビールがなんだか不味くなった この苦い酒が一人の僕のいい薬だ  仕事から帰って来たって 誰も待ってない ネクタイほどいてテレビをつけた  戻りたい 僕が馬鹿だった やり直したい もう一度君を抱きしめていたい 今でも君が僕の中に 居るんだ 居るんだ 居るんだ  君が居なくなってから あいつの電話も急に途絶えた 僕のほうからも電話は最近してないんだ  アルバムの中の二人 恋する二人 二つの枕は今もそのまま  殴りたい あの時の僕を 忘れられないあの時の君の大粒の涙 今でも君が僕の中で 笑って 怒って 目を瞑っている  戻りたい 僕が馬鹿だった やり直したい もう一度君を抱きしめていたい 今でも君が僕の中に 居るんだ 居るんだ 居るんだ
ユミコミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通手を挙げたのはまずかった ユミコは隅っこで涙 けど悪いのはユミコなんだ 僕を裏切った 僕は失望した  そのまま家を飛び出して 雨の中を独り歩いた ユミコはノコノコ付いてきた 僕の眼を見た 僕の手を握った  許せない何もかも 馬鹿らしいこんなにも 思ってんのに届かない わからないもう嫌だ  嫌がる僕にしがみついて ユミコは何回も謝った 「ゴメン、もうしないから。許してよ、お願い」  振り向いて家に引き返した 雨に馬鹿にされてる気がした 家についてもまだユミコは泣きやまなかった  許さない絶対に同じことしてやろう 信じてた 心から 信じてた馬鹿野郎  ベッドの中で長い間 ユミコに背を向けて考えた これからどうしようか 他の女って言ったってなぁ  急にユミコが僕の身体 乱暴なくらい抱きしめた 負けずにパジャマを脱がした乱暴に  ユミコは僕の腕の中で 何もなかったように眠ってる 仕方ない僕はこの 馬鹿な女が好きなんだ
チューをしようミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通チューで全てが解決するんじゃないか 何もかも何もかもだよ いがみ合うことなんか無い 血を流し合ってる暇があったら 暇があったら  テレビを見ててそう思ったのさ 夫婦が口喧嘩してたんだ いい年をしてみっともないな 僕たちも気を付けたいもんだね 気をつけようね  チューをしよう 相手なんか 誰でもいいじゃないか チューをしよう それだけで 案外何とかなるもんだ  チューで全ては解決できる! 言ったもん勝ちさ 知ったこっちゃねぇよ 文句を言うな ノータリン まず子供を大事にするのが先だろう ほら泣いてるよ  チューをしよう 相手なんか すぐそばにいるじゃないか チューをしよう その後も 優しい男でいなさいね  喋りが過ぎる 女の口も 熱いチューで塞いでやろうぜ  チューをしよう こっちを向け 全くいつまで怒ってるんだ チュチュチュチュしてるだけで どうでも良いやって思えるのよ  チューで全てが解決するんじゃないか 何もかも 何もかもだよ いがみ合うことなんか無い 血を流し合ってる暇があったら  チューをしよう チューをしよう チューをしよう チューをしよう
だまって俺がついて行くミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通働かずに生きて行きたい そう願いながら俺は生きてきた この歳になってやっと出会えた 働き者の美人なあなたと  朝は早く起きて あなたを送り出して 一服してお次は洗濯だぜ  バスタオル畳んで 大きな窓を開けて 今日は図書館にでも行こうかな  七時頃あなたが帰ってくる その前に買い物に行かなくちゃ ディナーは何にしたらいいかしら あらやべぇ お風呂掃除やってなかった  しかしまぁ俺って幸せモンだぜ 今日も元気だ タバコがうまいね  テーブルを挟んで 二人は肉を食べる おいしいおいしいってあなたは笑う  ソファーで美人な人が新聞を読んでいる 俺は皿を洗うあなたの為に 俺はついて行くぜ だまって笑って あなただけに
保健室の先生ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通アタシは保健室の先生 休み時間は 仮病の生徒とおしゃべりする 絶対 男子しか来ない 何かを期待してる アタシとの何か  かわいい顔の生徒には 電話番号を教えてあげる 放課後 必ずその子は 電話してくる 妙に低い声で アタシは保健室の先生 若い男の体に 触れるのが生き甲斐  アタシは保健室の先生 通勤には毎日 すしづめ 井の頭線 痴漢は いつでもアタシの この体に群がる だいたいサラリーマン  かわいい顔の男には 好きにさせてる 抵抗しない 汚い顔の男には 安全ピンを メッタ刺し してやる アタシは保健室の先生 彼氏は今 二人だけ アイドルと弁護士  アタシは保健室の先生 学校中の女に ボロクソ嫌われてる アタシは吉祥寺の女 駅から徒歩七分の マンションに住んでる 今夜は二年の生徒が 泊まりに来る
馬鹿兄弟ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一伊藤ミキオ甘ったれたクソガキがだらしなく 戯言を紙にタラタラ書いた それから冬の夜の闇へと 逃げるようにクソガキは消えた  ガキにはあちこちに借金があった それは恐ろしい額になってた 取り立てのチンピラに脅されてた 命の危険を感じ始めた  クソガキのアパートにやって来た母親 ゴミ屋敷のような部屋の中 小汚い文字でタラタラ書かれた 醜い遺書があった  母親はすぐ捜索願を出した 警察の人は割と親切だった その頃ガキは死ぬ勇気なんかなく 友達の家を転々と彷徨っていた ニヤニヤしながら  廻りにあるのは 偽物の友情だけだった ごまかしだけだった  クソガキの兄貴は東京にいて 金にならない歌を歌ってた 弟が失踪したと聞いて ただ情けなくて腹が立った  弟よりむしろ母親のことが 心配で心配で仕方なく 電話から漏れる母親の声は 悲しく震えてた  三年後の秋 兄貴の所に 招待状が来た ガキの結婚式の 東京のヤツは チョコチョコ売れてきた時期で 招待状の中に “一曲唄ってよ”って 昔と同じ懐かしい汚い文字が  死んじまえ 卑怯者 みんなに心配かけやがって いい気なもんだ みんな忙しいんだ お前なんかに構ってられるか 死んじまえ 卑怯者 死んだ方が よっぽどましだ あのとき そこまで 考えた兄貴は  招待状を嫁に黙って渡して 手帳を開いて日付に丸をした 自分の歌を歌うのは 恥ずかしいので カラオケで いつも歌う ハマショーの歌を 唄うことにした 結果が 「もうひとつの土曜日」  兄貴はニヤニヤ 仕事に出かけた クソガキの嫁は すこぶる美人だ
雄と雌の日々ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一伊藤ミキオ目の前の白い壁を ずっと見ていた 忙しそうに小走りで 行き交う看護婦さん 俺が長椅子に座り 待ってるあいだに 命を消す手術を あいつは受けてた 若すぎる俺たちには まだ 親になる勇気がなかった  もしも俺たちが ガキじゃなくて 自立していたなら 幻じゃなくて 今 俺のそばに子供がいたのかな  その日の何日か前 あいつの親父と 話をした 少しだけ あいつの家で 無口な男二人は お互い俯いて 親父さんは一言 「まぁ しょうがねぇな」 俺に似た人だと思った もの凄く怒ってたんだろうな  何故か あの頃の俺たちには 罪の意識なんか全く無く それからも懲りもせずに 雄と雌の日々は続いた 若さって 今思うと もの凄く残酷なんだよな あいつとは別れたけど ひでぇ女だった 七人とやってた  俺の子供じゃ なかったかもなぁ 俺 騙されてたのかも しんないなぁ 俺の子供じゃ なかったかもなぁ 俺 騙されてたのかも しんないなぁ Oh oh oh Ah ah Ah ah ah...
顔2005ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一山下隆通変わりたい どうして私は こんな顔なんだろう ママに全然 似てないんだもん 悲しい 好きな人は 私のことなんか 見向きもしないし 友達には みんな彼氏がいる 悲しい  アイドルみたいに チヤホヤされたい 鏡を見てると 涙が いつも溢れ出る  明日こそは ママに打ち明けよう 私 整形手術がしたいの 私もう こんな顔 嫌なの 恋がしたい 恋がしたい 恋がしたいの  ママが言うことだって 私も理解しているわ だけど ママは綺麗だから 絶対わからないわ  女になりたい 男を感じたい もう耐えられない 助けて ねぇ お願いママ  パパには まだ 言わないでおいてね 明日 私が自分で言うから そんなに悲しい顔しないで ママって泣き顔も綺麗だよね  それに比べて 私の顔は… いや もう言わない もう言わないわ 私もママに負けない程の 恋がしたい 恋がしたい 恋をしてやる  パパには まだ 言わないでおいてね 明日 私が自分で言うから そんなに悲しい顔しないで ママって泣き顔も綺麗だよね  それに比べて 私の顔は… いや もう言わない もう言わないわ 私もママに負けない程の 恋がしたい 恋がしたい 恋をしてやる
それぞれに真実がある(Single Version)ミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一パパはママと別れることになった もう二人の間に愛はない パパには好きな人が居るし お前だって知ってるだろう この前紹介した人だよ あの時は友達って言ったけど ママとは正反対の大人しい内気な人なんだ 今まで嘘ついてきてゴメンな ママがパパのこと 何て言ってるか知らないけど パパはママと 離れていたほうが お前と仲良くなれると思うんだ  何を言ったって無駄かもしれないけど お前には俺の血が流れてんだ ママと別れたって俺たちは親子だから 一生俺はお前のパパだからな  ママの言っている事は全部嘘じゃないけど パパはおまえのことが本当に大好きなんだよ 笑っちゃうかい?だけどね これがパパの真実だから 何で泣くんだよ? 初めてお前に手をあげた時でも泣かなかったじゃん パパみたいのと付き合っちゃダメだよ お前は綺麗だから心配だなぁ  何を言ったって無駄かもしれないけど お前には俺の血が流れてんだ ママと別れたって俺たちは親子だから 一生俺はお前のパパだからな
続・それぞれに真実があるミドリカワ書房ミドリカワ書房緑川伸一緑川伸一最近のママはなんだか 少し若返ったようだ パートに出るようになって 友達も増えたみたいだ  パパが居なくなって もうすぐ一年になる 私はこの一年で 随分汚れたなあ  友達に連れられ 夜の街に出ては 低脳な男達に 抱かれまくった こんな私見たら パパはどう思うだろう? 関係無いわ あの人のせいだもん  たまにあの人から メールが来る事がある 私は完全無視で 読んだらすぐに消す  名字が変わってから 何もかも狂った 前の名字の方が かっこ良かった なんで私ばかり こんな目に遭うんだろ? 復讐のために 私は今日も  友達と一緒に 夜の街に出るの 低脳な男達に 抱かれまくるの こんな私見たら パパはどう思うだろう? 関係無いわ 関係無いもん 全部が全部 あの人のせいだもん
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