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SWAY ライヴレポート

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【SWAY ライヴレポート】 『LIVE SHOWCASE 2018 UNCHAINED』 2018年12月12日 at 新木場STUDIO COAST

2018年12月12日@

取材:池田スカオ和宏

2018.12.15

友人、クルー、あの頃の自分、そして集まってくれたオーディエンス...。タイトルこそ“UNCHAINED”ではあったが、非常に結び付きやつながり、信頼や絆を感じさせてくれた一夜であった。と同時にそれは、彼がこの日このステージに立てたのは、常に弛まない歩を進め続けてきた結果と、朋友たちが居続けてくれたからこそであることを立証。それらは逆に、“非常に力強いCHAINED”の様相を魅せた。

SWAYが初のワンマンライヴを12月12日に新木場STUDIO COASTにて行ない、満場の中、大成功を収めた。このライヴは今夏発売された彼のメジャー1stアルバム『UNCHAINED』のリリース公演。同盤からのチューンはもちろん、彼をこれまで形成してきた過去の曲等も次々と現れ、集まった観客を熱狂させると同時に、信じ、諦めずに進めば、夢を自分のもとに手繰り寄せることができる...そんなことを信じさせてくれるものがあった。

ラッパーとして役者として、ここ数年で頭角を表してきた感があるので、ポッと出の印象があるかもしれないが、SWAYは今年32歳。意外に苦労人だったりする。彼がラッパーとして始動したのは15年前の17歳の頃。地元北海道であった。2012年にはインディーズにてアルバムも1枚出している。20代を自分磨きにかけ、それを眩しさに変え、これまでに彼は多くの人の目や耳を魅了していった。そして、この日はそれらが結実し、我々の眼前で繰り広げられた。

北海道時代から15年来のクルーのDJ KEKKEと4人のダンサーたちを交え終始贈られたこの日。曲毎に変わるマッピングも交え各ラップ世界へと誘ってくれた。そして、スモークが立ち込める雲海のようなステージの上、背景の眩しいライトを経てシルエット姿のSWAYがステージ中央に現れる。イントロを起爆に“SWAY Is Back~!!”と力強く誇らしくシャウト! それに合わせて満場の3,000人が力強く呼応する。

この日は前半、後半、アンコールとブロックが分かれており、さしずめ前半はニューアルバム『UNCHAINED』からの曲が次々に放たれた。4人ダンサーともにトリッキーなラップを高揚感やピーク感のあるトラップ性のあるトラックに乗せて炸裂させた「Be a Beast」、前のめりなビートが火にさらに油を注いだメジャ―デビュー曲「MANZANA」。また、ダンサー捌け、ひとりステージにて俺は俺、誰にも縛られないと誇示するかのような曲や、《時代を作るのは観客と僕さ》とキャッチなフレーズに場内を楽しくバウンスさせた「SWAY SWAY」、トライバルなトラックと最前列のお客さんに一輪の薔薇が贈られ歌われた哀愁の「La Vida Loca」。さらに、「XXX feat.AK-69&HIROOMI TOSAKA」ではプリセットされた登坂の歌声とともに歌うも、AK-69のフィーチャー部では本人も登場! ふたりの歌声とともにタイトル通り“X”が掲げられる。

中盤ではSWAYも一旦ステージを去り、DJ KEKKEがDJプレイ。ガシガシに煽り、盛り上げ、数々のピークを作り出していく中、再びSWAYが登場。以後しばらくはSWAYにとって懐かしい曲たちがショートチューンにて次々と現れる。主にインディーズ時代に作られた各曲が、あの日と今とをしっかりつなげていく。

後半に入り、ウェッティに響き渡った「Lullaby」を経て、この日最大の盛り上がりとハイライトは、同じ北海道出身で10代の頃から地元の同じヒップホップクルーとして活動していたSHOKICHIの登場時であった。大歓声の中、「Never Say Goodbye」をデュエット。その夢の共演に観客は終始、嬌声をあげっぱなし。中でもツインヴォーカルによるユニゾン部分では、この日の興奮度を記録する。加えて、SHOKICHIのソロ曲「Rock City feat. SWAY & Crystal Kay」へ。残念ながらCrystal Kayの歌声はプリセットであったが、SHOKICHI、SWAYの道産子シンガー&ラッパーは、今や東京の音楽好きたちを完全にロックオンさせれるまで至らしめたことを立証した。

“不安もあったけど、みんなの顔を見て安心した。本心は怖くて怖くて、この日を迎えたくなかった。でもそれを乗り越えてでも、やって良かった”と告げ、DJブースのヘリに座り、映し出されるリリックとともに場内も合唱をした「Perfect Love」。そして、本編ラストは「Let Me Know」で“お前なら大丈夫さ、俺がついているから”と歌い、会場中に幸せそうなワイパーを生んでいった。

アンコールはこれからを感じさせる歌やシーンも印象深かった。ハッピーな金曜の夜のウキウキした気持ちを思い起させてくれた「Friday Night」では、わざとマイクを落とし一旦ブレイクさせ、再び始めるという小粋な演出も交え、続いては来春公開の斎藤 工プロデュース&主演、お笑い芸人の永野が原作の映画『MANRIKI』のティザー映像が流れ、SWAYが同映画に出演することが告知されると、歓喜の声が場内に渦巻く。そして、なんとその斎藤と永野もステージに華を添えんとばかりに登場! 突然のサプライズに場内が大歓喜したことは言うまでもない。3人でしばし同映画について語り合い、斎藤、永野がステージを去り、ひとり残ったSWAY。“今回のライヴは自分の中の挑戦でもあった”と語り始め、今回の追加公演として1月27日には大阪でも行なわれることが告げられ、2月14日には新曲が配信にてリリースされることもアナウンス。それらはまさに、2019年のSWAYによる頭から全力でのスタートダッシュ宣言を思わせた。

最後のMCは、ここまでの振り返りゆえに、これからも前に進み続けていく、との宣言のように響いた。“2012年にアルバムを出した際のレコ発ライヴではお客さんがあまり入らなかった。ところが、今回はその何十倍ものお客さんが集まってくれた。ようやくあの時のリベンジができた。ラッパーだけでは食べて行けずにデザイナーやクリエイター、トラックメイク等、マルチな活動を必然的にやってきたけど、それを続けていくうちに、それらがここにきて結実した。今はそれも通るべくして通ってきた道であったと実感している。これからもここまでに得てきた糧を武器にどんどん進んでいく!”と告げ、北海道時代の自身が悶々としていた時の気持ちを綴ったチューン「履き潰したKICKS」が放たれる。その際に歌の中でラップされた“いつの日にか”の未来が、今、手に入れることができた、そんな実感を交えながら歌われた同曲。それはまるで、あの日が今にきちんとつながっていることを改めて誇示するかのように力強く響き渡っていった。

取材:池田スカオ和宏

SWAY

スウェイ:1986年6月9日に北海道 札幌市出身。DOBERMAN INFINITYでMCを担当する他、HONEST BOYZ、MIGHTY WARRIORSのメンバーとしても活躍。新世代バイリンガル・ラッパーとしては代表的存在であり、その声の華やかと、フロウスキル、スタイリッシュさは国内において他を圧倒している。また、デザイナーとしてもDOBERMAN INFINITYのCDジャケット、グッズを始め、北海道日本ハムファイターズやリーボック等とのコラボアイテムをデザインするなど、マルチクリエイターとしての才能も発揮している。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    大阪公演が控えているため、セットリストの公表を控えさせていただきます。

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