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SEKAI NO OWARI ライヴレポート

SEKAI NO OWARI ライヴレポート

【SEKAI NO OWARI ライヴレポート】『SEKAI NO OWARI TOUR 2019 「The Colors」』 2019年7月25日 at 幕張メッセ 国際展示場4〜6ホール

2019年07月25日@

取材:小町碧音

2019.08.30

“昔の自分のような、怠けているように見える人たちが近くにいたら、“もしかしたらこれは戦っているのかもしれない”と思ってくれるだけで、僕はすごく救われると思うんです”。本編がフィナーレを迎える手前、寂しさを浮かばせた表情で語り掛けるFukase(Conceptor&Vo)に拍手喝采が沸き起こる――。

4月6日・7日の長野ビッグハット公演を皮切りに全国13会場28公演にわたって行なわれてきた『SEKAI NO OWARI TOUR 2019「The Colors」』の終盤を飾る、幕張メッセ2デイズ公演の2日目。これまでのライヴでもファンタジーな空間を生み出してきたSEKAI NO OWARI。今宵は、彼らの思考が確かな愛を紡いでいることを感じられる、そんな珠玉の時間となった。

檻のような透明なディスプレイに囲まれたセンターステージの中には、Nakajin(Gu)、Fukase、Saori(Pf)、DJ LOVE(DJ)の姿が。彼らの魅力に吸い寄せられる「Death Disco」に流れ込み、Fukaseがルナティックな表情で動き回ると、会場からは割れんばかりの歓声が上がる。また、3曲目に演奏された「眠り姫」のサビでは、繊細な音を奏でるSaoriのピアノにFukaseが手を掛け、ふたりが目を合わせる場面も。極端なまでの楽曲による闇と光の体現だ。

Nakajinが「ドッペルゲンガー」「Goodbye」を弾き語りでジャジーに歌い上げ、すかさず投入したのはリズミカルなビートを刻む「Food」。途中、花道に駆けていったFukaseは軽快なステップを踏み、ダンスを繰り広げては会場を揺さぶった。

2019年2月に、2015年1月リリースの『Tree』以来となるアルバム『Eye』『Lip』を同時発売したSEKAI NO OWARIだが、その2作品がリリースされるまでの4年の間には、Saoriにとって楽曲制作と向き合うのが辛い時期もあったという。そんな中で救われたのが、Fukaseが《やあ、心の痛み君。元気かい? 久しぶりだね。君はいつも自分のそばにいて僕のことを成長させてくれたね(日本語訳)》と歌詞を書き、心の痛みを擬人化した曲「Mr.Heartache」。同曲の他にも、天使/悪魔、平和/戦争、生/死、自由/不自由と物事を常に表裏一体でとらえ、考え方次第で人の心は救われることを綴ってきたFukase。価値観の相違を認め合ったその先に、初めてLove&Peaceが生まれることを知っている彼らは美しい。

アコースティック編成の「illusion」では彼らと巨大な蛸の共存を可視化する映像手法や、「スターゲイザー」で客席の頭上に降ってくる神々しいライティングなど、手を伸ばせばファンタジーな世界に溶け込んでしまいそうな感覚をもたらす演出をはじめ、ドラムを叩くDJ LOVEに、ベースを弾くFukaseという組み合わせも、この日のスペクタクルであった。

アンコールで再びオンステージした彼らは、客席を渡り歩きながら祝祭ムードに包まれたアンサンブルを奏でた「Dragon Night」から、“歌える?”“いいね!”とFukaseが言い、会場がひとつになった「すべてが壊れた夜に」までを披露。ここにあふれていたのは間違いなく、Love&Peace。Fukaseを残して3人がステージから去ったあと、Fukaseはステージに置かれたPCでヴィジョンに“What a beautiful world”の文字を打ち込み、会場を睥睨し、姿を消した。“なんて美しい世界だ”の台詞に相反するような表情、その彼ららしい二律背反に、盛大の拍手が送られた終幕だった。

取材:小町碧音

SEKAI NO OWARI

セカイノオワリ:2010年、突如音楽シーンに現れた4人組。同年4月に1stアルバム『EARTH』をリリースし、バンド名の表記を“SEKAI NO OWARI”に変え、11年8月にシングル「INORI」でメジャーデビュー。圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークのような世界観あふれるライヴ演出が、子供から大人まで幅広いリスナーに受け入れられ、“セカオワ現象”とも呼ばれるほどのスピード感で認知度を加速度的に拡大していった。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 9

    9.illusion(アコースティック)

  2. 18

    <ENCORE>

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