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indigo la End ライヴレポート

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【indigo la End ライヴレポート】 『ONEMAN HALL TOUR 2019-2020 「心実」』 2020年1月31日 at 中野サンプラザ

2020年01月31日@中野サンプラザ

撮影:鳥居洋介/取材:帆苅智之

2020.02.11

本編ラスト前の「通り恋」が終わるまで、2曲目「夏夜のマジック」のイントロで“indigo la Endです。よろしくお願いします”と言った以外は、各曲終わりで“どうもありがとう”と言う程度で(「通り恋」終わりにバンドの結成10周年について語ったし、アンコールはメンバー全員がよくしゃべっていたけど...)、本編のMCが極端に少ない公演であった。また、曲中においてメンバーが客席を煽ることもなく、オーディエンスもノリを強制させられるようなことがなかったからなのか、俯瞰で見ると淡々と進行しているようなライヴだったように思う。独特の空気感が支配していたことは間違いない。だが、それはバンドも観客もそのキャラクターうんぬんではなく、演奏を披露することと、それを観聴きすることに集中していたからではなかろうか。バンドもファンも、いい意味でストイックである印象を強く抱いた。

聴き手を飽きさせないバンドであることはその音源からも十分理解していたつもりだが、この日のライヴはそんなこちらの想像を上回るものだった。何と言っても川谷絵音(Vo&Gu)のヴォーカリゼーション。その素晴らしさを改めて堪能した。1曲目の「渚にて幻」で彼の歌声がホールに響くと場内の空気が明らかに一変。超硬質の金属さながらに、絶対に折れたり曲がったりすることはない芯の強さを、この日集まった誰もが実感したことだろう。ステージを覆うスモークとレーザーの演出と相俟って、それはどこか神々しさすら感じさせるものであった。

そんなindigo la Endの絶対軸とも言えるヴォーカルを取り巻くサウンドも当たり前のように強固である。後鳥亮介(Ba)&佐藤栄太郎(Dr)とでボトムを支え、川谷の歌とは違ったニュアンスの彩りを添える長田カーティス(Gu)と川谷のギターがその上に乗る。いずれのパートも単純なリフレインを良しとしていないからか、どの楽曲のどの瞬間においても各フレーズの重なりは予測不能なアンサンブルを生み、同時にそれが絶妙な緊張感となって放たれる。繊細なミッドなナンバーも良かったが、個人的には尻上がりにテンションが上がっていく「Midnight indigo love story」や、「見せかけのラブソング」辺りのアップチューンが気持ち良かった。

最新アルバム『濡れゆく私小説』を引っさげてのツアーファイナルとして2日間を“朱”“蒼”という色をコンセプトにまったく違うセットリストで行なわれた公演は、このメンバーになって5年。丁寧に作り上げてきたグルーブのひとつの結実でもあったのだろう。

撮影:鳥居洋介/取材:帆苅智之

indigo la End

2010年2月、川谷絵音を中心に結成。14年4月に3rdミニアルバム『あの街レコード』でunBORDEよりデビュー。その後同年8月に後鳥亮介が加入、15年に佐藤栄太郎が加入し、現在の体制へ。19年10月、アルバム『濡れゆく私小説』をリリースし、同年同月より『indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020「心実」』を開催、10公演を回る。

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