LIVE REPORT

Poppin'Party ライヴレポート

Poppin'Party ライヴレポート

【Poppin'Party ライヴレポート】 『「BanG Dream! 10th☆LIVE」 DAY3 : Poppin'Party 「Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!」』2022年9月24日 at 有明アリーナ

2022年09月24日@有明アリーナ

■ライヴ画像クレジット (c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)bushiroad All Rights Reserved.

2022.10.27

9月22日から4日間にわたって東京・有明アリーナにて開催された『BanG Dream! 10th☆LIVE』。その3日目はPoppin'Party(以下、ポピパ)が“Hoppin'☆Poppin'☆Dreamin'!!”としてステージを届けた。

ポピパにとって実に約2年振りとなるワンマンライヴ。彼女たちと過ごす約2時間は作品における“キラキラドキドキ”の概念を体現するように、笑いあり、涙ありの時間となった。会場に集まったバンドリーマー(ファンの総称)たちは、発声が制限される中でなんとか笑いをこらえようとするといったステージに。本稿ではそれらを“ポピパ流エモーショナルの作り方”と称して、筆者が前日に参加した同イベントのMorfonicaのワンマンライヴとも比較しながら綴っていきたい。

ライヴ本編はスクリーンに投影されるキャラクターのヴォイスドラマとともに進行。戸山香澄(Vo&Gt/CV:愛美)が夢の中でメンバーと“天空世界”を訪れ、そこに住まう女神たち4人のもとを順に練り歩き、ポピパの音楽を届けるという内容だ。

ここで早くもこの日の観どころが。天空世界からやってきたポチにゃん曰く、なんでも天空世界の女神4人を元気付けるためにポピパの音楽を届けるためライヴをしに来てほしいとのことで、まずはメンバーの“召喚”が必要なのだという。その方法とは スマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、ガルパ)内でおなじみの“ガチャ”。今回はポピパの他のメンバーを呼び出すため、ポチにゃんの能力によってポピパを召喚できる確率を上げる“ポピパピックアップガチャ”となっていた。そのガチャを回すにも“星のカケラ”が必要で、狙ったメンバーを自引きするためのポピパ限定の“確定ガチャ”もできるようだ。

このあたりですでに客席がざわつき、時には笑いが漏れ聞こえてきたが、“笑ってはいけないポピパ”の手は緩まらない。バンドリーマーにはお馴染みのガチャやキャラ登場画面が映り、花園たえ(Gt/CV:大塚紗英)、牛込りみ(Ba/CV:西本りみ)、山吹沙綾(Dr/CV:大橋彩香)と、メンバーが順調に集まっていく。が、最後の大詰めで、まさかの沙綾を2枚引き。市ヶ谷有咲(Key/CV:伊藤彩沙)の召喚が一時は危ぶまれる中、沙綾の2枚引きにより、シールへ交換となったため、有咲確定ガチャを引けることに...! そして、ポピパ全員が集結。会場の空気の温まり具合は、まだライヴを1曲もしていないとは思えぬほどだった。

前日のMorfonicaこそ朗読を武器にステージングをしていたが、こうした我々の実生活と結びついた“客観”、あるいはメタ視点ありきでの笑いを提供するあたり、ポピパの手練たるところ。同時にメディアミックスコンテンツならではの面白さともとらえられるだろう。ちなみにライヴ周辺の数日間、都内は台風の影響で荒天気味だったのだが、奇しくも今回のストーリーも天空世界の女神に元気を与え、天候不順を改善させるというものだった。さすがは“持っている”コンテンツ、『BanG Dream!(バンドリ!)』である。

ようやくキャストが登場すると「ぽっぴん'どりーむ!」「Yes! BanG_Dream!」「キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」と、ポピパらしいポップロックを展開。改めて感じさせられたが、とにかく彼女たちのライヴはステージと客席が地続きなイメージがある。もちろん両者間で物理的な距離こそ存在するのだが、メンバーが自分たちの輪の中に飛び込んできて音楽を楽しむようで、スーパースターでありながら、どこか同級生のように親しみやすさを感じてしまう。これは楽曲の曲調によるところも大きいのだろうが、そんなライヴの特徴を表現する上で“地続き”という言葉がもっとも当てはまる気がした。

そしてこの日、特に輝いていたのが大塚のギターアクト。「ぽっぴん'どりーむ!」でのタッピングや空中へのひと蹴り、「Yes! BanG_Dream! 」でのアーミングを駆使したサビでの速弾きギターソロ、「キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~」では西本と至近距離で向き合いながら、ギターとベースの共鳴をステージに膝立ちで届けた。本当に目を見張るパフォーマンスをことごとくぶつけてくるし、ライヴ中には床を背にしながら演奏をする光景も見られた。大塚のかき鳴らすギターは疑いようもなく“ポピパの心臓”だと思う。

本編中盤にはメロディアスな“おセンチ”ロックチューン「ティアドロップス」や、“もっともっとカッコ良い私たち、観ていってね!”という愛美の曲振りに始まった「イニシャル」など、シリアスな一面を披露するパートも。その後はメンバー全員がステージ前方に集まり、スネアやショルキーを肩で担いでの即席マーチングバンドに。「開けたらDream!」「Hello! Wink!」などで終盤へと勢いをつけたのだが...。

残す1名である“宇宙の女神”のもとを訪れた際、ヴォイスドラマ内の香澄が大切なギター“ランダムスター”を紛失。そんな彼女を励ますように、メンバーが懐かしい日々に想いを馳せる。すると、キャスト全員が楽器を置いて、「前ヘススメ!」を柔らかなアカペラで紡ぎ始めた。アニメ『BanG Dream!(バンドリ!)』第1期のワンシーンを思わせる演出であった。ランダムスターが見つかると、“みんな続きやってくれる?”という愛美の声で2番以降の演奏に。その際《あの日のこと忘れないよ 背中を押してくれたキミ/夢がなきゃもう生きられない》という歌い出しが、我々の涙を誘って仕方がない。笑いあり、涙あり。これぞ、“ポピパ流エモーショナルの作り方”に他ならない。

アンコールに入り、キャストの役が解けたあとでのMCでは、西本の“Poppin'Partyって楽しいな。笑顔になれるな。幸せになれるなって、思って帰ってもらえれば今日はとっても嬉しい”“これからも大切なみなさまに笑顔をお届けできるように”と、この日のライヴを振り返る。愛美もまた“一個次のステージに、もう何個も次のステージに進んだような感じがしていて、空気感もパフォーマンスもプラスアルファを積極的にやるようになれたし、メンバー同士がお互いを許し合えるようになった”と、結成8年目を迎えたユニットへの想いを明かしてくれた。

ユニットの新たな挑戦となったストーリー仕立てのステージを通して、キャラクターとキャストの双方を、これまで以上に大切にしていた印象がある今回のライヴ。本編終盤から一気にエモーショナルに加速し、アンコールでの「キズナミュージック♪」では愛美が瞳を潤ませる場面も。彼女からあふれそうだった涙の眩さこそ、ポピパの活動における何よりもの尊さを証明していた。“ポピパ流エモーショナルの作り方”には、どうしたって心を動かされてしまう。

撮影:福岡諒祠(GEKKO)、池上夢貢(GEKKO)、ハタサトシ/取材:一条皓太

■ライヴ画像クレジット
(c)BanG Dream! Project (c)Craft Egg Inc. (c)bushiroad All Rights Reserved.

Poppin'Party

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 1

    01. ぽっぴん'どりーむ!

  2. 4

    04. 最高(さあ行こう)!

  3. 11

    11. 前ヘススメ!

  4. 12

    12. STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜

  5. 14

    <ENCORE>

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