LIVE REPORT

真心ブラザーズ ライヴレポート

真心ブラザーズ ライヴレポート

【真心ブラザーズ ライヴレポート】『サンキュー・サンプラ・ 愛・サンサン』 2023年3月21日 at 中野サンプラザホール

2023年03月21日@

撮影:石川雄斗/取材:フジジュン

2023.03.29

“真心ブラザーズとしては1996年から20回お世話になった中野サンプラザ。今日がなんと20回目でございます。閉館前、最後となる公演。心を込めて演奏させていただきます!”

開演前、観客に諸注意をアナウンスする影マイクを務めたのは真心ブラザーズのふたり。YO-KING(Vo&Gu)の語る意気込みに客席から大きな拍手が起きると、この日のライヴが声出しOKであることを告げた桜井秀俊(Vo&Gu)が“みなさんに一緒に歌って欲しい曲をたくさんご用意しました。周りの方々にご配慮いただきつつ、思う存分楽しんでください!”と告げ、再び客席から大きな拍手が起きる。

真心ブラザーズにとって、ほぼ毎年恒例となっている中野サンプラザ公演。ホーン隊を含む10人編成のバックバンド・MB'Sを従えて、スケール感ある演奏で魅了してきたこの公演も、今年7月に会場が閉館するため、今回でひと区切り。キリの良い20回目の公演、ライヴでの声出しが解禁されたばかりという、絶好のタイミングに加え、東京は開花宣言が出されたばかりで、会場周辺に咲くきれいな桜が春を告げ、午前中にはWBCで日本がメキシコに劇的サヨナラ勝ち。良いことづくめの幸先の良さに、開演前から最高のライヴになる気しかしない!

開演時間となり、ステージにMBの電飾がステージに光ると、盛大な拍手と大歓声に迎えられてメンバーが登場。桜井が軽快にギターを鳴らし、始まった1曲目は「EVERYBODY SINGIN' LOVE SONG」。MOUNTAIN HONESのホーンが痛快に響く、ゴージャスでグルービーな演奏に乗せて歌うYO-KINGは、言うまでもなく絶好調。会場中が体を揺らして手拍子を合わせ、コール&レスポンスを合わせる光景が、当たり前だったはずなのに美しく尊い。「BABY BABY BABY」「愛」と続き、“サンプラザ~! しまっておけよ!!”と観客ひとりひとりに愛を届けると、広い会場に早くも一体感が生まれる。

YO-KINGが“いや~、最高だわ”と満足そうな表情を見せて始まったMCでは、“1989年のデビュー以来、ライヴを何度もやってきましたが。今日は僕、本気出します!”と告げると、桜井が“もっと早く出してよ~!”と笑顔でツッコむ。最新アルバム『TODAY』収録の「白い紙飛行機」、超レア曲と語る「或る男の詩」と続き、ギターを置いてハンドマイクを握った桜井が気合い十分で臨んだ曲は「Gotta Poison」。観客と念入りにコール&レスポンスの練習をすると、スポットライトを浴びて、歓声を浴びながら気持ち良さそうに熱唱する桜井。声の力を感じると同時に“本気出します”と宣言したYO-KINGのみならず、桜井からもこの日に懸ける本気さを感じていると、あまりのテンションの高さに“まだ早いって! 6曲目ですから!!”とツッコむYO-KING。わははは、変わらず良いコンビだなぁ!

YO-KING、桜井、上野一郎(Ba)、須貝直人(Dr)の4人編成で、シンプルかつ力強い演奏で魅せた「マイ・リズム」で始まった中盤戦は、YO-KINGのギターの弾き語りで始まる「素晴らしきこの世界」が会場の雰囲気を変えると、「スピード」で再び勢いづけ、YO-KINGと桜井のふたりが美しいギターアンサンブルとハーモニーで「うみ」をしっかり聴かせる。ふたりでも、4人でも、10人でも、フォークでもロックでもファンクでも、ホール会場をしっかり沸かせることができるのが真心ブラザーズの魅力であり強み。

新旧織り交ぜた名曲たちと惜しみなく披露し、アルバム『TODAY』を掲げた『FRONTIER』ツアーで磨き上げた「一触即発」から「明日はどっちだ!」で中盤戦を終えたところで、“実感がないんだけど、サンプラ最後なんですね。まぁ、寂しいけど、楽しかったからいいや。ありがとう! サンキュー、サンプラ!”と、実にらしい感謝の言葉を告げたYO-KING。“中野サンプラザとみなさんに愛を込めて、「どか~ん」をやります!”と、「どか~ん」を披露して大いに盛り上がると、いよいよクライマックスへ。

「Keep on Smiling」で始まった終盤戦は暗闇に光が射し、朝が近づく現在の状況にぴったりの「新しい夜明け」で希望の光を射し、「ENDLESS SUMMER NUDE」でがっつり気持ちをアゲると、“想像してたより、良いライヴになりました。サンキュー、サンプラザ!”とYO-KINGが笑顔を見せ、本編ラストとなる「空にまいあがれ」を披露。観客から歌声と両手があがり、幸福感が会場を包む中、中野サンプラザでのラスト公演をフィニッシュした。

アンコールでは4月より、弾き語りツアー『真心道中歌栗毛 2023』を開催することを発表。次の展開への期待を煽る中、力強く始まった「拝啓、ジョン・レノン」から「RELAX~OPEN~ENJOY」の壮大な演奏で締め括る。僕も5~6回は観ただろうか? MB'Sでの演奏がよく似合う、年に一度の中野サンプラザ公演が観れなくなるのは名残惜しいが。2028年完成予定の7,000人収容となるNAKANOサンプラザシティ大ホールのライヴを心待ちにしたい。

撮影:石川雄斗/取材:フジジュン

真心ブラザーズ

マゴコロブラザーズ:1989年 大学在学中、音楽サークルの先輩・YO-KINGと後輩・桜井秀俊で結成。バラエティー番組内「フォークソング合戦」にて見事10週連続を勝ち抜き、同年9月にシングル「うみ」でメジャーデビューを果たす。14年に自身のレーベルDo Thing Recordingsを設立し、19年にはデビュー30周年を記念し、リスナー投票によるベスト10楽曲を収録したセルフカバーアルバム『トランタン』をリリース。20年は10月に17枚目となるオリジナルアルバム『Cheer』を発表。デビュー34年目となる今もなお、ライヴ、制作にと精力的な活動を展開している。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 6

    06. Gotta Poison

  2. 7

    07. マイ・リズム

  3. 15

    15. 明日はどっちだ!

  4. 16

    16. どか〜ん

  5. 21

    <ENCORE>

  6. 23

    02. RELAX〜OPEN〜ENJOY