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渋谷すばる ライヴレポート

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【渋谷すばる ライヴレポート】 『babu会 vol.2』 2023年4月16日 at Zepp Haneda(TOKYO)

2023年04月16日@Zepp Haneda(TOKYO)

撮影:西村彩子(SELF:PSY’S)/ヘアメイク:矢内浩美 取材:千々和香苗 ※現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。

2023.04.21

渋谷すばるのオフィシャルファンクラブ“Shubabu”限定ライヴイベント『babu会 vol.2』が、4月16日にZepp Haneda(TOKYO)にてスタートした。本公演は東京を皮切りに、北海道、愛知、福岡、大阪にて開催。2019年に行なわれた『babu会 vol.0』から回数を重ね、3回目の実施となる。

開演前の会場にはこれまでにリリースしてきた渋谷の楽曲がかかっており、定刻間近に流れた「7月5日」「Stir」で手拍子が起こる中、渋谷は“こんばんは”とステージに現れた。“実際に会いに来てくれて本当に嬉しいです。ファンクラブ限定ということで、今日はライヴだけではなく、こんなこともするんです。最初はゆるく楽しんでいただけたら”と、まずはトークコーナーへ。2023年1月に配信シングル「ないしょダンス」をリリースしたことを振り返り、同曲が映画『ひみつのなっちゃん。』の主題歌となったことで人と話す機会が増え、人と会うことでエネルギーがもらえることを改めて実感したと話す。開演早々にもかかわらず、“だから、今日会えていることが嬉しいんですよ。また来てくださいね”とこぼしてしまうほど、ぎこちなく終始照れ臭そうにしながらありのままの言葉を届けていた。

『babu会 vol.2』は“ファンのみなさんと作ること”をコンセプトにしたそうで、開催にあたってファンからは演奏曲と“渋谷すばるにやらせたいこと”を募集しており、ピックアップリストを“好き勝手に書きやがって、おまえたちは!”と嬉しそうに捲りながら、特に要望が多かったものに応えていくお楽しみコーナーも用意。ステージの端から端まで移動しながら、ファンやスタッフにツッコミを入れ即興コントのように進行していき、彼が口を開くたびに観客は大笑い。ソロデビュー時に宣言した“音楽と生きていく”ということを揺るがずに模索し続けてきた渋谷だが、ここでは慌ただしくしながらも一生懸命に観客を楽しませようと奮闘しており、それはこれまで変化し続けてきた彼の、ある意味変わっていない一面でもあった。

挨拶のあと、“好きに楽しんでいってくれよ!”と始まったライヴコーナーではリクエストで上位になったオリジナル曲とカバー曲を披露。バラードでもキャッチーな曲であっても、どこまでもロックンロールを愛する彼の真髄が感じ取れるラインナップだった。バックバンドは昨年からお馴染みの新井弘毅(Gu)、安達貴史(Ba)、茂木 左(Dr)、本間ドミノ(Key)が務め、渋谷の熱量と迫力のあるヴォーカルが響くと、ついさっきまで笑い声でいっぱいだった会場に歓声が沸く。カバー曲はテレビ番組で歌唱をしたことがあるものから渋谷が厳選した数曲も含まれ、J-POP ナンバーを儚くも明るげに、時に哀愁たっぷりに歌い上げた。

MCでは安達による提案で、リクエストにあった「ハナミズキ」を即興演奏で歌い、本間に教わりながらピアノで「レット・イット・ビー」のワンフレーズを弾き、新井に借りたエレキギターで弾き語るなど、観客の期待に翻弄されながら無茶振りに挑戦する場面も。そして、ライヴの後半は畳みかけるような展開で、渋谷はとびきりの声量で突き抜けるように歌い、バンドの一心不乱な演奏にブルースハープを乗せ、時折客席に背を向けて音の中に顔を埋めるような仕草でこの空間を楽しんでいた。“最高に楽しいです。またやろうな。ずっと、ずっとやろうな”と、この日は何度も“楽しい”という言葉を聞いたが、それだけで胸がいっぱいであることは一目で伝わってきた。

ファンが聴きたい曲と渋谷が歌いたいカバー曲で組まれたセットリストなだけあって、季節やトレンドに構わず、気持ちのままに選ばれた楽曲だけを堪能できるのは “babu会”ならではの魅力だろう。本公演のセットリストに限らず、渋谷の活動もそういった欲望や、本能的な衝動に正直に向き合っているように感じる。約4年前、2019年10月に第一歩となる1stアルバム『二歳』を発表した渋谷すばる。この日のライヴではその1曲目に収録された「ぼくのうた」の《歌を歌わせて頂けませんか/歌を歌わせて頂けませんか/上手く喋れなかったり 人見知りで変な大人ですが/音楽に憧れて 音楽に憧れて》という歌詞そのものの姿を目の当たりにした。

素の自分で音楽シーンに飛び込み、今もさまざまな出来事に揉まれ続けている彼は、MCで“もう止まらないんです、僕は。絶対に”と言い放ち、最後にその想い具現化したような曲を力一杯に披露。観客からのエールにも似た拍手に包まれながらステージをあとにした。

撮影:西村彩子(SELF:PSY’S)/ヘアメイク:矢内浩美
取材:千々和香苗

※現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。