RUSH BALL 09 ライブレポート
RUSH BALL 09
RUSH BALL 09 泉大津フェニックス
2009年08月30日@泉大津フェニックス
撮影:田浦 薫/取材:ジャガー
2009.08.20
昨年10周年を迎え、迫力満点の2デイズをやってのけた関西屈指の野外イベント『RUSH BALL』の季節が今年もやってきた。一時は雲行きの怪しい天気が予想されていたのだが、本番当日は11年目に突入する本イベントを祝福するかのごとく、清々しい大空が広がった。顔馴染みのメンツに加え、最近巷を賑わすバンドまで...転換中に演奏されるATMCまでもが充実のラインナップで、開催前から会場に集まった熱き参戦者らの心躍らせる。 オープニングアクトのSPANK PAGEが1曲目に歌ったのは、シンディ・ローパーの名曲「Time After Time」。しっとりと歌う仲手川裕介の歌声は、こういった開放的な場所で聴くとよりいっそう味わい深いもので、歌を引き立たせるバンドサウンドも心地良い。 そんな前者とは打って変わり、高らかに爆音をかましたトップバッターのdustbox。開始早々ボルテージの上がった観客を目の当たりにして“すげーよ”のひと言。どっと歓声が沸いたと同時に猛スピードで強力ナンバーを次々にプレイ! それに合わせて鼓動の高鳴りもどんどん早くなっていく感じが楽しくて仕方ない。 続く、髭(HiGE)による中毒性の高いパフォーマンスは曲数の多い少ないに関係なく、完全にやられてしまうことを痛感。締め括りに歌われた「ロックンロールと五人の囚人」での大合唱がそれを物語っていたように思う。 初の武道館公演を終えている9mm Parabellum Bulletは、その人気を裏切らないだけのダイナミックなプレイで観客を味方に付け、大合唱&大乱舞を巻き起こした。さらに、本イベントに先駆けて例年行なわれている『RUSH BALL★R』から、その存在感を見せつけていたたOGRE YOU ASSHOLEが登場。彼らの奏でるサウンドに癒されながら、まったりとしたひと時を堪能した。エネルギッシュなパフォーマー、YOUR SONG IS GOODは例のごとくのっけからテンション高く、観客との距離感をグッとたぐり寄せるステージを繰り広げた。 すでに熱戦を繰り広げてきた観客のTシャツをさらに汚すべく、闘志剥き出しのHAWAIIAN6が「A CROSS OF SADNESS」から怒濤の先制攻撃を開始。体の奥底まで響く重低音に身震いを覚え、衝撃を受ける。何度観てもこの感覚に陥るのだから、HAWAIIAN6恐るべし。 日中の暑さもほどほどに落ち着き、夕暮れ時を迎える頃にthe band apartとは、実に憎い演出だ。この日は新曲からお馴染みの「higher」までを披露。ロケーションもばっちりで、the band apartを聴くと少しばかりセンチメンタルな気持ちになるのは筆者だけではないはず。 そんな残り香を払拭し、野外ステージを瞬時にダンスホールに変えたサカナクション。「ネガティブダンサー」では、暗がりに灯る照明で映し出された波打つ会場が幻想的な光景を作り出していた。 4人編成になって初の参戦となったストレイテナーは、1曲目「DISCOGRAPHY」からアクセル全開! バンドのモチベーションの高さがひしひしと伝わってくる内容だった。 そして、『RUSH BALL』の顔ともいえるKEN YOKOYAMAによる最終ステージ。誰よりも楽しみに出番を待ちわびていたのではないだろうかと思うぐらいのはしゃぎっぷりに、会場からの歓声は強さを増し、突き上げる拳にも力がこもる。と、あるイントロダクションが鳴らされた瞬間、悲鳴にも似た歓声が...なんと、Hi-STANDARDの「Stay Gold」である。イベントも終盤を迎えつつあるにも関わらず、この日一番と思わせる一体感が生まれる。“トリだからといって、アンコールはしない。他の出演者同様に、今を楽しんでもらいたい”と語った彼の思い通り、全身全霊で最後まで駆け抜けていくのだった。 長かったようで、あっと言う間だった1日。最後に打ち上げられた花火を見ながら、今日できた素晴らしい夏の思い出を噛み締めつつ会場を後にした。