LIVE REPORT

MARS EURYTHMICS ライブレポート

MARS EURYTHMICS

MARS EURYTHMICS 代官山UNIT

2007年12月10日@代官山UNIT

photo:橋本 塁/text:石田博嗣

2007.12.10

ミニアルバム『The blend of a cabanon』を持って全国を回っているMARS EURYTHMICS の東京公演。まずゲストとして登場したのは、ベース&ヴォーカル(♀)とギター(♀)、ドラム(♂/サポート)という布陣のmass of the fermenting dregs。矢継ぎ早に繰り出される3ピースならではのエネルギッシュでスリリングなサウンドに、浮遊感のある繊細なメロディーが乗った独特の楽曲が、加速度的に客席を温めていった。続いてのゲストはQomolangma Tomato。旋律を歌うのではなく、言葉を吐くように歌うヴォーカルをはじめ、各パートの自己主張は強いのだが、それらはひとつの直情的な音の塊となって、観る者に鮮烈なインパクトを与え、客席をさらに沸かせた。 ゲストのバンドが終わると、次はいよいよMARS EURYTHMICS のステージ。1曲目の「GT Bolero」から圧倒的なパフォーマンスでバンドアンサンブルの構築美を観客に魅せつけると、その勢いのまま変幻自在に様々な表情を見せるポップチューン「BLIND PROBLEM」へ。キャリアのあるメンバーだけに、生まれるバンドグルーブには絶対的な安定感があり、さらにそれはツアーによってより強固なものになっている。しかも、1stアルバムの楽曲はもちろん、ミニアルバムの曲もライヴでプレイされる中で成長を遂げていた。となれば、観客は満面の笑顔でもってソレを受け止めていたことは言うまでもない。その後も“熱く盛り上がる”と言うよりも、4人の意志が詰まったバンドサウンドで観る者を楽しく酔わせるMARS EURYTHMICS らしいライヴが展開されていき、バンドとオーディエンスのコミュニケーションによって生まれる心地良い空気が場内を包み込むのだった。 そして、サブライズが! アンコールを含めて17曲の演奏が終わると、客出しのBGMにBob Dylanの「風に吹かれて」が流れたのだが、それでも鳴り止まない場内の手拍子に応えるように、ヴォーカル&ギターの磯部正文が再びステージに姿を見せたのだ。それもひとり手にアコギを持って。そして、彼の地元である広島弁の曲「ヒロイシマ」とどこまでも伸びていくような歌が印象的な「逢似彩」を弾き語りで歌ったのである。そんな磯部の説得力のある力強い歌声とやさしいアコギの響きが相まり、ハートフルなメロディーが、一層メローなものとなって胸に響いてきた。きっと、その場に居た者は皆、温かい気持ちになったことだろう。 ツアーままだ中盤戦。磯部はMARS EURYTHMICS はバンドとして固まっていないという。ということは、成長過程にあるということ。ツアーを終えた後は、さらにたくましくなっていることは間違いない。