鳥肌実vs山下総合病院 ライブレポート
鳥肌実vs山下総合病院
鳥肌実vs山下総合病院 @初台The Doors
2007年04月01日@@初台The Doors
院長を中心に、歌って踊るナースと患者と研修医、さらに執刀医バンド醫師團(いしだん)にて、お笑いとミュージカルを融合させた総合エンタテインメントグループ、山下総合病院が主催した、異種格闘技とも言えるこのイベント。 オープニングにはゲストの衝和ショッキングが登場。スウィング・ジャズをベースとしたロックあり、歌謡曲ありの、見た目はイカツイ6人組の兄貴たち。後に控えるキワモノなアーティストにも遠慮せず、観客を煽りまくる。勢いのある楽曲に最初はじっと見ているだけだった観客も相打ちを入れて反応を示していた。6月には新しくシングルを発売する予定で、今後はライヴの本数もかなり増えていくというので、要注目だ。 ステージチェンジを終えると、静かな客席からどよめきが聞こえた。全身包帯で巻かれた病人ルックの人間が客席後方から奇声を発しながらステージへと上がってきたのだ。山下総合病院の登場だ。包帯人間の登場と共に、医者にナースに、手術着を着た人間やら、ステージはもう何がなんだか分からない状態。コントあり、雑談ありと、歌うだけでは物足りない彼らのステージは観客も一緒になって学芸会のような団結感を醸し出していた。覚えやすいメロディーが頭を回り、つい口ずさんでしまう。ここまでくればもう山下総合病院の思う壷。ついつい同じ振り付けをしてしまう観客が倍増していった。カメラを構える私も、メンバー各々が濃いキャラクターを楽しもうにも、目が追いつかない! たった一回のライヴで強烈なパフォーマンスを見せてくれた。 ラストは鳥肌実。真っ白なスーツに身を包み、マイクスタンドとビールケース一つの簡単なステージで彼のライヴ(演説)がスタートした。「廃人演説」や数日後に控えていた知事選話など、とても誌面にはできないピー音の連続のような演説を連発。大衆の面前で平然と危険な単語を並べる彼に笑いが起こるのは、きっと人に隠れて悪さをする時のスリルのような感覚を観客が求めているからだろう。演説家という奇異な肩書きを持ち、やれ右翼だ、やれ前科持ちだと名乗りつつ、人に言えないことを平気でネタにして笑いを起こす。どれだけサブカルだの異端扱いされようと、ネタで勝負する真摯な姿に彼の芸人としての姿を見たような気がする。 この日のライヴ、“観る”に徹した笑いの絶えないイベントだった。