松崎史也・Yu(vague)作詞の歌詞一覧リスト 13曲中 1-13曲を表示
曲名 | 歌手名 | 作詞者名 | 作曲者名 | 編曲者名 | 歌い出し |
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主人はミステリにご執心冬組 | 冬組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 「彼女は婚約者として完璧な女性でした」 「素人が出しゃばった真似をするな!」 「妹は恨みを買うような娘ではありません」 「まさかこの僕が殺したとでも言いたいのか?」 「……犯人探しはおやめになりますか?」 「コリウスの花言葉は――」 「志岐さま」 「……」 「志岐さま」 「……」 「志岐さま、庭のシクラメンが綺麗に咲いております。 シクラメンの花言葉はご存じで?」 「鷺島。何故僕が無視をしているにもかかわらず話を続ける?」 「無視をしておいでだったんですか?」 「考え事をしていたんだ。お前に邪魔されたくなかった」 「やはり。ではシクラメンを見に散歩にでも」 「花言葉などに興味はない。僕は今重要な……」 「草薙家のご息女も散歩をしている時間なのですが」 「すぐに出かけよう。シクラメンが見たい」 「さすが志岐さま。かしこまりました」 主人と執事 主と従者 僕が主だ ええワタシは執事です こんな言うこと聞かない執事がいるか 「やれやれ志岐さまは犬よりも頭がお悪い」 主人はあの娘にご執心 「おや。この香りはコリウスの花ですね」 「このハンカチはたしか……!」 「おい、あそこに倒れているのは草薙嬢か? 鷺島、すぐに医者を呼べ!」 「志岐さまお下がりください。…もう手遅れです」 「何?」 「草薙さまはもう、亡くなられています」 被害者は草薙家のご令嬢 「なぜ彼女がこんなことに」 「なぜ彼女はこんなところで」 「なぜ彼女はこんな表情で」 死者の声は届かない ならば手がかりから見つける 真実を 「本件を担当する中津啓二です」 「中津啓二……刑事。名は体を表す」 「あなた達が第一発見者という事ですね?」 「なんだその物腰は」 「志岐さまおやめください」 「被害者とのご関係は? 面識がおありなんですよね? ただの友人ですか? それとも……」 「失礼だろう。まさかこの僕が殺したとでも言いたいのか?」 「まあ、我々が捜査すればいずれわかることですから」 「アリスも丞も鬱陶しい」 「褒め言葉と受け取っておく」 「丞は演技でやっていて偉い」 「密くん、それではワタシが演技でなく鬱陶しいようじゃないか」 「そう言ってる」 「皆木の本はこれだから面白い。さあどう出る? 紬、東さん」 「鷺島、すぐに草薙嬢の人間関係を調べろ」 「余計なことに首を突っ込むのは志岐さまの悪い癖です」 「犯人として僕が疑われているんだ。黙ってはいられないだろう」 容疑者は草薙嬢関係者 「なぜ妹がこんなことに」 「なぜ彼女がこんな目に」 「なぜこいつらがここにいる」 犯人はこの中にいる 必ず明かしてみせる 真相を 「草薙嬢の兄君、草薙静馬さまと、草薙嬢の婚約者、相馬京一さまです」 「事件の捜査は我々警察がする。素人が出しゃばった真似をするな!」 「犯人が見つかれば君の手柄にすればいい」 「警察の令状もなしにこんな……」 「構いません。妹を殺した犯人を捕まえるのが最優先です。 京一君、君もそう思うだろ?」 「ええ……もちろんです」 「皆様ご協力ありがとうございます。では事件についていくつか 質問させてください」 「妹は恨みを買うような娘ではありません。賢く気立てもよく誰からも 愛される娘でした」 「彼女は婚約者として完璧な女性でした。私にはもったいないくらいの 相手です」 「二人には殺害の動機がない。君は彼女を失いたくないという思いがあった。 つまり――」 「よし。謎はおおよそ解けた!」 「何?」 加害者と被害者 兄や婚約者 僕はわかった 大丈夫でしょうか ミステリをたくさん読んでいてよかった 「確かに志岐さまは意外と読書家」 主人はミステリにご執心 「犯人は……中津啓二! アンタだ!」 「なっ…何故私が犯人なんだ!」 「ミステリのセオリーなのだよ。最も意外な人物が犯人というのはね」 「やってられない。とんだ名誉毀損だ。帰らせてもらう」 「ほら見ろ、後ろ暗いところがあるのだろう!」 「私も今日はこれで。彼女を亡くしてからどうも体調が優れなくて」 「志岐さま、中津啓二刑事は犯人ではありません」 「何だと? お前は犯人がわかっているというのか?」 「さて……」 「刑事さんが犯人とは……痛快でした。あの刑事さん、あまり感じのいい人 ではなかったから」 「僕を犯人扱いしたしな。おあいこさ」 「妹を亡くしてから久しぶりに笑いました。ひょんな出会いというものは、 意外なところに転がっているものですね。そう思いませんか?」 「そうだな。君とは仲良くやれそうだ」 「添い寝屋、詩人、記憶喪失。僕らが同じ演劇をやるなんて。 ひょんな出会いは、意外なところに転がっているものだね」 「ひょん? 詩興が湧いたよ東さん。氷上のぬらりひょん、 無表情でイリュージョン……」 「アリス、芝居に集中して」 「ああ、失礼」 「板の上って不思議だね。ここでなら、いくらでも呼吸ができる」 主人と主人 友人と友人 妙に馬が合う それはよかった この本、よかったら読んでみるといい 「おや、かわいい栞ですね」 主人の珍しいご友人 「志岐さま、このようなものが」 「『これ以上事件のことを調べるな』……脅迫状か。さて、 どうしてくれよう」 「志岐さまがそのお顔をなさる時は、ロクなことがありません」 「何、少し餌を撒くだけさ」 「その身のこなし……お前何者だ?」 「ただの執事、ですよ」 「相馬京一……アンタが犯人だったとはな」 「違う。オレはやってない!」 「しかし相馬さま、これは貴方の字ですね?」 「どうなんだ! 相馬!」 「ああそうだよ。だからどうした?」 「何?」 「彼女を殺したのはオレじゃない。東条志岐の襲撃にも失敗した。 オレを逮捕したところで、大した罪にはならないよなあ?」 「そんな言い逃れが効くと思ってんのか」 「警察に捕まるのは痛くなくても、真相を草薙さまに知られては 困るのでは?」 「……! お前…」 「どういうことだ、鷺島?」 「ご自分でお話しなさいませ。殺人の疑いも晴れる」 「……他にも女がいるんだよ。あの娘と婚約したのは財産目当てだ」 「何だと? 貴様……!」 「あんなつまんねえ女と結婚したいわけねえだろ。けど一生金には 困んねえからな」 「相馬さまが金を手に入れず彼女を殺すはずがない」 「では何故東条さんを襲ったんだ」 「他の女達がいることを草薙の主に知られたら、今もらってる援助も 無くなっちまう。ったく、とんだ貧乏くじだぜ。死ぬんなら結婚した後に してくれりゃよかったのによ」 「ああ? 刑事の前で何してくれてんだよ」 「刑事、僕が何か?」 「目にゴミが入っててな。何かあったか?」 「いえ何も」 「お前が殺してないのはわかった。が、脅迫罪に家宅侵入罪。他にも余罪が ありそうだ。署までご同行願おう」 「紬の芝居、憎たらしすぎ」 「ワタシも危うく手をあげるところだったよ」 「……」 「ダメだ、集中し切ってる」 「舞台上でも感情をもらって次の芝居に繋ぐ……」 「演技とは実に豊かなものだな、密くん」 「それがわかるお前らも大したもんだよ」 「あとは頼んだよ、二人とも……」 犯人は京一じゃない 犯人は一体誰なんだ ハンカチについていた香り 真実は優しいとは限らない 真実を知りたい 「やれやれ志岐様は」 「……」 「おや、珍しい本をお読みですね」 「草薙くんに借りたんだ」 「気の合うご友人を見つけられて何よりです。では犯人捜しは おやめになりますか?」 「何故そうなる。もちろんやめない」 「そうですか。……その本から漂う香り、コリウスの花の香りですね」 「コリウス…? どこかで……」 「馬鹿な。草薙嬢を殺したのは……」 「だから犯人捜しはおやめになりますかと申したでしょう。志岐さまは 犬よりも頭がお悪い」 「だがどうして……どうして彼が?」 「志岐さま、コリウスの花言葉はご存じですか?」 「花言葉などに興味ないと言ってるだろ」 「かなわぬ恋」 「……それがコリウスの花言葉でございます」 「君だったんだな……草薙嬢を殺したのは」 「愛する妹をあの男に嫁がせるのが我慢ならなかった。私が奴の本性に 気づいていれば」 「……静馬くん」 「にしても、花言葉に興味がある男が私以外にいたとは」 「それはこいつが」 「うちの主人は博識なのです」 「唯一の誤算はあなたが関わったことです。志岐さん」 「残念だ。君とはいい友人になれると思ったのに」 「表に中津刑事を呼んであります」 「草薙さま」 「……?」 「ナイフは正面から静かに突き立てられていた。もみ合った形跡もなく」 「それが何か?」 「草薙嬢は望まぬ相手に嫁ぐより、愛する兄に殺されることを選んだのかも しれませんね」 「……ありがとう。執事さん」 「正面から? もみ合った? 何のことだか意味がわからん。だから、 何だ?」 「さすが志岐さま。犬よりも……失礼。何でもございません」 「あの日も風の強い日だったな……」 「大丈夫ですか?」 「何がだ」 「珍しくご傷心なのでは……いえ、差し出がましいことを申し上げる ところでした」 「お前が僕を気遣うなんて気味が悪い。一体何を考えている?」 「ワタシは思っていたよりも志岐さまのことが好きなようです」 「……変な奴だ」 「最後のアドリブいらない」 「少しばかり本音を混ぜてもいいかと思ってね」 「無駄にセリフが増えた」 「よくわかったのだよ。ワタシは自分で思っていたよりも密くんのことが 好きなのだと!」 「俺は別に好きじゃない」 |
真夜中の住人冬組 | 冬組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 「お、おい?」 「……助けて」 「おはよう、昨日は世話になったね」 「これ、あんたが作ったの?」 「冷蔵庫にあるもので作ったから大したものはできなかったけど、 一宿一飯のお礼」 「すげ。どこの嫁だよ」 「それなりに長く生きてるけど、嫁って言われるのは初めてだな」 「うまっ! 俺は瀬尾浩太。あんたは?」 「玲央……九頭玲央だよ」 「玲央。行く場所がないならしばらくこの部屋使ってもらってもいいけど」 「こんな得体のしれない男を家に置くの?」 「や、部屋も綺麗にしてくれてるし……美味い。いてくれたら俺が助かる」 「お人好しだね。じゃあ、お世話になろうかな」 「あんたは食べないのか?」 「食事の時間が不規則なんだ。僕のことは気にしないで食べて」 「さすがだね。いつもと違う頼りない感じがよく出てる」 「強く見せてる俺のほうが演じてるのかもしれないですけどね」 「それをサラッと言える丞は、大人だし強いよ」 「せっかくこのメンバーなんだ。とことん冬組らしく繊細に行きましょう」 「うん」 「行ってきます」 「行ってらっしゃい」 「追い出すかよ。昨日……助けてって言ってただろ」 「ごめんね……」 「お隣さんですか? 今日から引っ越してきました、泉です」 「瀬尾です。ご丁寧にどうも」 「会社ですよね。引き止めちゃってすみません」 「いえ、なんか困ったことあったらいつでも言ってください」 「聞いたぞ。行き倒れの男を拾ったって? 怪しすぎるだろ。アラサー向けの ドラマか漫画じゃねんだから」 「ほっとけ。玲央は良い奴だよ。飯も美味いしな」 「はあ。んなこと言ってっといつか痛い目見るぞ」 「どうかねどうかね? ワタシのサラリーマン役は?」 「正直驚いた。こういう役もさらっとできるようになったんだな」 「優れた芸術家は何をしても一流なのだよ」 「頼もしいな」 「さあ好きなようにやりたまえ。我々が支えるよ」 ごめんねと言うのも ずるいかもしれないね 僕は君の命を喰らってる だけど どうしてだろう 君の血が欲しいのに 君の血が欲しくないんだ 「昨夜はすまない」 「……何が?」 「どうも最近悪夢にうなされるんだ。寝てる時、たぶんうるさかったろ」 「浩太は静かに寝てたよ」 「ならよかった」 「人の心配より自分の……」 「ん?」 「ううん。体は大丈夫? 会社は行ける?」 「ああ。今日も玲央の飯食ったから元気だよ。行ってくる」 「おはようございます」 「おはようございます」 「そうだ瀬尾さん。平日もお休みなんですか? 昼間にも隣から物音が 聞こえるので……」 「ああいえ、ちょっと友達が泊まってるんです」 「そうなんですか……。お友達が」 「どうだ? 紬から見てみんなは」 「シンプルに尊敬してる。どんな細かい演技も受けて返してくれるし、 みんなの演技もホントに多彩で面白い」 「ったく、一番やってるやつがそれ言うかよ」 「オレ達は……冬組に出会うために芝居をしてきたんだね」 「……だな!」 「おい瀬尾。顔色悪りーぞ」 「ちょっと今日は寝不足かもな」 「今日だけじゃねーよ。ここ一週間ずっとだぞ。一週間って居候が 来てからだろ? やっぱそいつおかしいよ」 「玲央のせいじゃないって」 「いいや怪しい。一回会わせろ」 「いい寝床を見つけたじゃないか。ボクにも分けてくれよ」 「彼はそういうのじゃない。干渉するな」 「冷たいんだな。ボクとキミの仲でしょ?」 「用がそれだけなら帰れ、フランツ」 お前が何にうつつを抜かしてるか知らないが ボク達は所詮 わかってる 太陽の光は強すぎる ……それでも 光には憧れてしまうだろう? 闇を忌み嫌うのは人間の弱さだよ 共に生きられはしないかと 願ってしまうのさ 「あれ? 玲央。あれは誰だ?」 「あいつが居候か? やっぱ絶対怪しい」 「そんな奴じゃないって。おーい、玲央!」 「浩太……」 「あいつか。確かにいい身体だね」 「フランツ、場所を変えよう」 「逃げた! さてはあいつら犯罪組織の一員とかだろ」 「いい加減にしろ、野々宮。……でも、なんで無視したんだよ?」 家にいさせてるのも ずるいのかもしれないな いるのが当たり前になってる 偶然出会った 見知らぬ男なのに ずっと一緒にいたいんだ 「キミ、あまり血を飲んでないね?」 「家に泊めてもらってる上に、本気では吸えないよ」 「その為の人間でしょ。いいから早く吸いなよ、キミが死ぬよ」 「僕もはじめはそのつもりだったさ」 「なんで黙って逃げちまうんだよ……玲央」 「この街まで追っ手が迫ってる。ボクはそれを伝えに来たんだよ」 「感謝する」 「あの家を出ない気か? 流石にもう」 「大丈夫。大丈夫だよ」 ごめんねとずるくても 伝えなきゃいけないね 僕は君に会えてよかった だから 最後にするよ 君の血が欲しい 君の血が誰より欲しいんだ 「世話になったね。長居するつもりじゃなかったんだけど、 つい居心地がよくて」 「そんなに焦って出なくてもいいのに。俺も助かってたし」 「そういうわけにもいかないよ」 「住むところ決まってるのか?」 「まあね。浩太……ありがとね」 「ああ、泉さん。おはようございます」 「お前……!」 「引っ越されるんですね。それじゃあ、これ僕からの餞別です」 「浩太、下がって!」 「泉さん?」 「残念だな。少しの間だったけどお隣さんだったわけだし」 「おいアンタ何してんだ!」 「ハハハハハハ、汚らわしい夜の一族よ。わが血盟の掟にのっとり汝を 排除する!」 「どけ。君も殺すぞ?」 「やめろ! 浩太は関係ない」 「は! 随分親しげなんだな。人間は食事にすぎないくせに」 「食事……? 何を言ってる?」 「そいつは吸血鬼だ。人間の敵なんだよ」 「吸血鬼? 玲央がそんな……!」 「浩太……」 「さあ、そいつを渡してもらおう」 「ハハハ、血の眷属に成り下がったか。いいだろう。二人とも送ってやる」 フランツ「あーらら。ご相伴にあずかろうと思ったのに貧乏くじひいたな。 仕方ないから手貸してあげるよ」 「吸血鬼どもめ……」 「すごいね密くん。稽古の時よりもさらに動きが洗練されてる」 「考えなくても体が勝手に動く。なんでかはわからないけど」 「密くんの過去に関係してるのかもしれないね」 「東みたいに、オレもいつか向き合いたい。自分の記憶と……」 「まだやる?」 「人間は貴様らには屈しない。白き刃が必ず貴様らを裁く」 「玲央! 玲央!!」 「そいつはボクに任せてくれるかな」 「だけど……」 「安心しろ。ボク達は同類なんだ」 「……わかった。玲央を頼む」 「素直だね。良い子だ」 ごめんなんてもう 言わなくていいんだ 俺の血なんかくれてやる だから お願いだから 生きてくれずっと お前を失いたくないんだ 「浩太は……?」 「無事だよ。さすがに彼に血を分けてくれとは言えないだろう?」 「ありがとう、フランツ」 「ばれたからには、もうここにはいられない。すぐに次の追っ手がくる」 「僕たちが何をした? 人より少し長く生きられるだけだ」 「異端は排除する。それが人というものさ」 「玲央?」 「お別れだ、浩太。君に会えてよかった」 「事情はもうわかった。出ていく必要なんてない」 「君のような人間がいるなら、退屈な生にも意味があると思えたよ」 「ずっと、そうして一人で生きていくのか?」 「それが僕らの宿命なんだ」 「……だったら、俺も連れていけ」 「何を……」 「道連れになってやるって言ってんだ。吸血鬼にでもなんでもなってやる!」 「今まで踏み込まなかった……踏み込めなかった距離……。 勇気を出して踏み出したら、今まで以上にみんなと繋がれた気がする」 「……ありがとう、浩太。その言葉だけで、僕は……」 |
異邦人秋組 | 秋組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | クソったれな世界だ 死にたくなきゃ 「金と食料を渡せ」 「ち…。シケてやがる」 あんた誰? 死神? 死にたいなら一思いにやってやろうか? 俺は死にたがる奴が殺したくなるほど 「嫌いなんでな」 「死にたいなんて言ってない。私は追われてたの」 「だったら立ち上がるんだな。こんな砂漠で寝てたら死ぬぞ」 「ダメ…もう歩けない」 「じゃあ死ね」 「ひどい! 助けてくれてもいいでしょ」 「ガキにかまってる暇なんざねえんだよ」 「お金でしょ。私があんたを雇うわ」 「ほう…」 「臣クンこえ~。目がマジッスよ~」 「悪い。芝居の間だけ我慢してくれ」 「もちろん! 今の臣クン最高にカッコいいもん!」 「褒めるの早すぎだ。もっと上げてくぞ!」 「了解ッス!」 「その娘を渡せ」 「残念。たった今こいつは俺の雇い主になったとこだ」 「そうか。じゃあここで死ね」 「やるな…。こいつは高くつくぞ?」 お前はドム様からは逃げられない…ゼロ 「ゼロ、っつったか。金は持ってんだろうな?」 「…これを見て」 「ガキの裸なんざ興味ねぇぞ」 「ちゃんと見て」 「それは…植物の種か?」 「これのせいで私は追われてる。植物が死に絶えた世界では希少なもの。 売れば大金になると思う」 「ちっ…。とっととしまえ」 「守ってくれるの?」 「金があるなら文句はねえ」 「あなた、名前は?」 「…ヴォルフ」 「ふーん。変な名前」 「てめーに言われたくねえよ」 「あの男は信用できません。ヤツはゼロの…!」 「どの口が言ってる。図体も武器も見掛け倒しか?」 「もっと来い。雄三さんに言われたろ。てめえのいかれっぷり出してみろ」 「こういうことだろ? おらよ!」 「この怒りはヴォルフにぶつける力にする」 「ドMの芝居馬鹿が。臣と太一の芝居、俺らでしっかり盛り上げんぞ!」 「当たり前だ」 マントを返せ バイク乗るとき寒いからもらっとく 「ふざけるな」 雇い主として命令する 「ヴォルフ、このマントをくれなさい」 俺は人に命令されんのが 「反吐が出るほど嫌いなんだよ」 「ゼロ…見つけたぞ」 「私と同じ首輪…? あなたは?」 「記憶をなくしたか…。ちょうどいい」 「追っ手か? こいつは俺の雇い主だ、近づくな」 「種を渡せ。種は俺が引き受けてやる」 「ざけんな。こいつを渡したら金はどうすんだよ」 「早くしろ。でないと奴らに…」 「ナイン、やはり裏切りか」 「ジョン!」 「だが見つけてくれて感謝する。お前の役目は終了だ」 「おじさん!」 「焦るな。お前も連れてってやる」 「させねえよ」 「種さえ手に入れば殺してもいいんだったか?」 「ゼロ!」 「ヴォルフ!」 「用心棒としては100点。戦士としては0点だな」 お前が種を引き受ける? 失敗作が思い上がるな 種はゼロにしか適合しなかった 「終わりにして始まりの少女…ゼロ」 「あなた達は一体何なの?」 「君は種だ。その命と引き換えに太古の緑を取り戻し、全生命の源となる」 「私の…命と引き換えに?」 「そのために君は作られた。これの遺伝子も使ってな。 さしづめ、ナインはお前の父と言ったところか」 「私は…作られた存在なの?」 「失敗作の被験体は大人しくしていてくれ」 「やめて!」 「以前の8体も皆処分した。 こいつは君を見つけてくるという条件で生かしていたに過ぎない」 「なのにあなたはあの時私を逃がそうと…」 「その感情も種に蝕まれ、やがて朽ちて消えていくさ。 君が完全な種となれば世界中で飢餓に苦しむ者たちも救われる。 君は世界の救世主となるのだ!」 「うるせえよ」 「このクソみたいな世界を救う? クソくらえだな」 「ヴォルフ!」 「ゼロ、行くぞ」 「私、世界のために種になったほうがいいかなあ?」 「あ?」 「私の命で、世界に緑が戻るんだって…」 「バカか。こんな世界、救う価値もない」 「あるよ。この世界にはヴォルフがいる。ヴォルフがいる世界を、 私は救いたいんだ」 「那智って人のこと俺は知らねぇけど、その人がいたからアンタが 舞台にいるなら、俺達はその人に感謝してる」 「十座…そうだな。那智、ありがとう」 「ゼロは私の…人類の希望なんだ。この装置を埋め込めば、種が起動する。 さあ、ゼロ…!」 ゼロを解放しろ 「こいつは俺たちとは違う道が選べる」 …ゼロ お前は、お前のいる世界の中で生きればいいんだ 「自爆? よせ…よせ!」 「伏見、七尾、舞台の上でワガママになるのは役者の特権だ。もっと行け」 「はい。ありがとうございます」 「そうやって結局いいとこ持っていきやがる」 「ほんとにいいとこ持っていくのはこいつらだ」 「だな」 「ゼロ。まだ死にたいか」 「…」 「なら俺が一思いに殺してやる」 「…生きたい。ヴォルフと一緒に」 「だったら立て」 「この状況で助けてくれないわけ?」 「自分で立つなら、雇い主としてお前の命令を聞いてやる」 「命令されるの嫌いじゃなかった?」 「…俺は、死にたがる奴が殺したいほど嫌いなんだよ」 「じゃ死ぬまでこき使ってやる!」 |
任侠伝・流れ者銀二秋組 他 | 秋組 他 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | 秋山璃帆・Yu | 「お控えなすって。手前、姓は風間、名は銀二。 各々方、よろしくお頼み申します」 戦後の傷跡色濃く残り 裏切り渦巻く裏社会 仁義の二文字背中に背負い 命(タマ)張り生きる流れ者 「で、何があったんで?」 「親父が…どこぞの鉄砲玉に殺られた」 「親父さんが!?」 「なぁ風間。俺はどうすればいい…。このままじゃ龍田組は…」 「しっかりしなせぇ。親分さんがいなくなった今、龍田組を背負って いけるのは若頭のあんたしかいねえ」 「いまだに坊ちゃん扱いされる若頭に、そんな器があるのかね」 「坊、器があるかないかじゃねえ。やるかやらないかよ」 「すげえな…一気に客を引きつけちまった」 「左京にぃ、気合い入りまくりッス!」 「感心してんじゃねえ。集中しろ!」 「上等、ぶちかましてやるよ!」 「流れ者なんぞを信用しちゃあいけやせん」 「茂木ィ、客人に失礼だろ」 「テメエ兄貴を侮辱してんじゃねえぞ」 「三下は黙ってろや! 坊、組のことはこの茂木にお任せください」 「茂木さんよ。親分さんには世話んなった。事を荒だてたくはねえ。 が、人の舎弟足蹴にしておいて黙ってすますつもりですかい?」 「よそ者に下げてやるほど、俺の頭は安くねえんだよ」 「親父をやった鉄砲玉さえ見つかれば、どこの仕業かわかるんだがな」 「ネズミは意外と近くに潜んでるかもしれやせんぜ」 銀二の兄貴とイチの舎弟児島様に ケンカ売るたぁ、命知らずだな! 「児島、坊を連れて逃げろ」 「けど!」 「こいつらの狙いは坊だ。 俺を誰だと思ってる。行け」 あっしらぁ所詮無頼の輩 だが仁義に背いちゃおしめえよ 命(タマ)までは取らねえが ちいと痛え目見てもらうぜ? 「てめえらの出自は見当ついてる。けしかけたのは…茂木だな?」 「興誠会に吸収? 話が違ぇぞ! 謙坊を差し出せば俺を龍田組の頭にするっつったろ!」 「ああ、あれな。思ったよりも龍田組には肉が残ってねえって わかったからよ。ウチで吸収してやろうと思ってな。 感謝しろよ。骨なんかしゃぶって喜ぶのはてめえみたいな野犬くらいな もんだろ」 「んだとオラァ!」 「横田…裏切りやがったな」 「裏切り者はお前だろ? 龍田組はお前のおかげで終わりだ」 「悪役はまりすぎだろ。そっちが地なんじゃねえの?」 「左京さんの主演舞台にケチつけるわけにはいかないからな」 「んじゃ俺はあのおっさんが霞むくらい暴れさせてもらうわ」 「ああ! そうしろ!」 「くそがあああ!」 面子の為なら息吐く如く 騙し裏切り悪党ども 恩より己の為に動くなら 仁義に悖(もと)るはぐれ者 「茂木が裏切ってやがったとはな…」 「問題は茂木がどこの組と繋がってたか。 やつらもそれは口を割らなかった」 「兄貴! 大変です! 茂木が…!」 「おい! 茂木? 誰にやられた!?」 「…罰があたっちまった」 「組のモン呼べ。茂木の手当てをしてやってくれ!」 「ヘイ」 「坊…俺を助けようってのか?」 「当たりめえだろ! てめえはウチの組員だろうが!」 「アンタ、やっぱあの人の息子だな…」 「もういい、黙ってろ」 「親分をやったのは興誠会の横田だ」 「横田?」 「なんでテメエは坊に手を出した?」 「龍田謙を差し出せば組の名前は残してやるってあいつの口車に 乗せられて…。坊をやってでも、この組を守りたかった」 「茂木、茂木!」 「興誠会の横田。人の心を利用するたあ粋じゃねえな」 「風間、もういい。もう終わりにしよう」 「坊、何言ってんだ!」 「親父がやられて茂木も…。やっぱり俺は組長の器じゃねえ。 俺が横田に下りゃ組員達だけでも面倒みてもらえんじゃねえのか」 「横田は親分さんをやった野郎だぞ?」 「情けねえって笑ってくれ。なあ、風間」 「仁義を欠いちゃ人の世は渡っていけねえ。…拾ってもらったこの命、 仇にくれてやるくらいなら」 「ダメだ風間!」 「派手に散ってみせやしょう」 「風間!」 「今日は手加減できねえ。命(タマ)が惜しくねえ奴だけかかってきなせえ」 「そこまでだ。風間銀二」 「児島…!」 「健気だなあ。てめえの応援に来たらしいぞ。クソ弱え癖になあ」 「兄貴…兄貴、すいやせん…!」 「弟分を殺されたくなかったら武器を捨てろ」 「外道が…任侠道にいながら、サシで戦う気概もねえのかい」 「頭(ここ)で戦うのが、これからのヤクザよ」 「うらああああ!!」 「児島!」 「これで人質の価値はなくなったなあ」 「てめえ」 「俺が兄貴の一番の舎弟、児島恭太だ。なめんなよ…!」 「ふざけやがって。野郎ども、こいつを殺せ…!」 「あっしの龍が毎晩鳴くんですよ。 てめえみてぇな外道を見ると、食い殺してやりてえってな!」 「雄三さん…あんたにこんな風に、殺陣を教わるなんてな。 ここがあの時眩しくて目をそらした舞台の真ん中だ! 幸夫さん…この恩は一生かかっても返します。 あんたがくれたこの仲間達と、舞台の上で!」 「ようやく力尽きやがったか、風間銀二。やれ!」 「風間!」 「坊…」 「俺も貫きてえ。あんたに教わった…仁義ってやつを」 「どいつもこいつも、なめやがってえ!!」 「横田のダンナ…。仁義、通させていただきやした」 「てめえはなんで生きてんだよ裏切り野郎」 「オメーに言われたくねえよ切腹野郎」 「茂木、その人はウチの組の恩人だ。舐めた口聞くんじゃねえ」 「へい」 「謙さん、兄貴は!?」 「もう行っちまったよ」 「マジかよ! 追いかけねえと!」 「風間さんの行き先、わかんのかよ」 「知らねえ! けど俺は決めてんだ。地獄の果てまでついてくってな! 兄貴!」 「風間さん、次はどこ行くんすかね」 「さあな。あいつは流れ者…一つ所にはいられねえ性分なのさ…」 「お控えなすって。手前、姓は風間、名は銀二。 ご当家、三尺三寸借り受けまして、稼業、仁義を発します!」 |
にぼしを巡る冒険夏組・他 | 夏組・他 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | にゃんにゃんにゃにゃんにゃん にゃんにゃんにゃん にゃんにゃんにゃにゃんにゃん にゃんにゃんにゃにゃんにゃん にゃんにゃんにゃん にゃんにゃんにゃにゃんにゃん にゃんげん界の片隅の ネコたち暮らす小さな町 ボクはシロ 俺はクロ 二人仲良く、暮らしているのにゃ~ にゃんにゃんにゃにゃんにゃん 「クロぉ~、おにゃかすいたにゃ」 「またかよシロ。さっき飯やったろ」 「足りにゃいにゃ。もっともっと食べたいにゃ」 「ったく、少しは自分でも働けよな」 川で魚とるとか 濡れるのは嫌にゃ ネズミ捕まえるとか 素早いから無理にゃ ゴミ箱漁りなら 「問題外にゃ」 「じゃあどうすんだよ!」 「にゃしし。クロが二人分働くのにゃ!」 「舞台上で見ると、さらにやばたんな衣装だね、ゆっきー!」 「でも、衣装だけ良くたって何にもならない」 「だね。衣装に負けない芝居、ぶちかましますか!」 「当たり前。そのための衣装なんだから」 にゃんげん界を西から東 旅して回るクールな男 「俺はノラ。さすらいの旅ネコ」 「ノラ久しぶり!」 「帰ってきたのにゃー!」 「ノラ、お土産はあるかにゃ?」 「そんなものはない!」 「自信満々!」 「だが」 「だが?」 「土産話ならあるぞ」 「話で腹は膨れにゃい」 「いいのか、ご馳走の話だぞ」 「ご馳走!?」 どんな猫も骨抜きにする伝説の秘宝… 「その名も【にぼし】!!」 「伝説の秘宝…にぃぼし」 「ズコーッ!」 「にぼし」 「にぃぼし食べたいにゃ!」 「にぼしな」 「シロ、なにぬねのって言ってみろ」 「にゃにぃにゅにぇにょ」 「ズコーッ!」 「相変わらずナ行が苦手だな」 「にぃがてじゃにゃい!」 「ほらな」 「むっくんのさすらいネコ、やばたん!」 「十ちゃんがたくさん手伝ってくれたんだ。衣装も、とっても素敵だし」 「だからこそ…」 「うん。お芝居で返すよ、座長」 「…わかってんじゃん」 「で、『にぼし』はどこに?」 「さかなの谷さ。危険が多い場所だ、仲間が必要だろう」 「にゃかま…」 「仲間な」 「うん」 「大丈夫、仲間のアテならある」 「よーし!にゃかまを集めて、さかにゃの谷へ、冒険に出発にゃ!」 にゃんげん界の片隅の 小さな町の大きな屋敷 我輩はミケ オイラはタマ 屋敷に仕える兄弟ネコにゃ~ にゃんにゃんにゃにゃんにゃん 「伝説のごちそう『にぼし』」? 「おいしそうにゃあ」 「にゃかまになって欲しいのにゃ」 「仲間な」 「でもここにいれば、食料には困らないのにゃ」 「そうである。我輩らは狩りもしたことないにゃ」 「ボクだって狩りも釣りもしたことにゃい! 残飯漁りも寝床探しもしたことにゃい! そんなボクでも、冒険はできるにゃ!」 「胸張って言うな!」 「かっこいい…」 「ズコーッ!」 「にゃっにゃっにゃ。いい話聞いちゃったにゃ」 「にぼしは俺たち先輩ネコがいただくにゃ」 「いつもオイラたちをいじめる悪い先輩ネコ!」 「さかなの谷ね。行くぞおめえら!」 「ニャー!」 「おい、あいつらに先越されちまうぜ?」 「仕方ない。俺たちだけで行こう!」 「待つのである。これ以上、やつらの好きにはさせにゃい」 「シロの言葉も響いたにゃ」 「じゃあ…」 「行くのである」 「さかなの谷」 「そうこなくちゃにゃ!」 「よーし、にゃかまを加えて、さかにゃの谷へ向かうのにゃ!」 「二人ともやっぱすげー。自然と芝居が引っ張られる」 「てんまとたくさんいっしょに練習したんだよ」 「悪くないリズムで来てるじゃないか、座長」 「アンタこそ主役より脇役のほうが向いてんじゃない?」 「今日はその生意気を許してやる。お前らは好きにやれ」 「サンキューテンテン。行こう、ゆっきー!」 「にゃー!」 「着いたぞ、さかなの谷だ」 「よーし!で、にぼしはどこにあるんだ?」 「知らん」 「ズコーッ!」 「伝説の秘宝だから誰も見たことがない。 『にぼし』という言葉だけが頼りだ」 「おいおい…」 「にぼし、にゃるほどにゃるほど、我輩わかったのである」 「おー!ミケわかったのか!」 「さすがミケ!」 「よし!みんな!ミケがわかったぞ!」 「にぼしね、にぼし。にぼしというのは、これのことであろう?」 「こけし!ミケ!それ、にぼしじゃなくてこけしだよ!にぼしだって」 「にぼしでない。にゃるほどにゃるほど」 「にぼし、あ、おいらわかったかも!」 「ダァ~~~!」 「にぼし」 「こぶし!それ、こぶしだよ、こぶしで殴ってくるな!に・ぼ・し!!」 「にぼし、タマ!あれのことじゃないかにゃ?せーの!」 「わっしょい!わっしょい!わっしょい!わっしょい!」 「これ神輿!にーぼーし!ニャー!!」 「あ!あれじゃないか?ほら!よーしよしよしよし」 「にゃにゃにゃにゃ~ん」 「ネコジャラシ!もう、だいぶ前から『し』しか合ってないから!」 「まったく、みんなしょうがないにゃ。ボクが探してくるにゃ」 「ん?」 「あー!このいい匂い、にぃぼしに違いないにゃ!」 「見つけたのか、シロ!」「いい匂いだにゃ~。にぃぼし見つけたにゃ~」 「まずい、それはマタタビだ!みんな離れろ!」 「にゃあ?」 目が覚めたらクロやノラに叱られるにゃ… 「働くのは嫌いだけど、叱られるのはもっと嫌にゃ。 こうなったら一人でも、にぃぼしを探しに行くしかにゃい。 にぃぼしを巡る冒険に、出発にゃ!」 「あの光…今度こそにぃぼしに違いないにゃ! でも…崖だにゃ…。 普通のネコならひとっ飛びだろうけど…。 ちゃんと狩りの練習しとくべきだったにゃ…でも…。 にゃー!!」 「やったにゃ!やればできるのにゃ!クロに褒めてもらうにゃ!」 「シロ!!」 「クロォ~!」 「シロ、大丈夫か?」 「にゃしし、にぃぼしを見つけたにゃ」 「こんな崖、よく飛び降りたな…」 「ん~~。シロ、片手じゃ引っ張り上げられない。 そのにぼしを捨てて俺の手に掴まれ」 「嫌にゃ!初めて自分の力で捕まえた魚だにゃ。 クロに、食べてほしいのにゃ」 にぼしなんかいらない! 「魚はこれからも俺がとってくるから!」 このにぃぼしを受け取って欲しいのにゃ 「そのにぼしを捨てて、俺の手を取れ!」 「それじゃいつまでたってもボクはクロのお荷物のままにゃ」 「それでいいって。今さら何言ってんだ!」 「役立たずのボクの手なんか離すにゃ」 「離さにゃい!お前が落ちたら俺は誰のためにエサを取ってくるんだ!」 「まさか崖のにぼしを取りに行けるネコがいるとはにゃあ」 「突き落とされたくにゃかったら、おとにゃしくそのにぼしを渡しにゃ」 「にゃあ、にゃあ、にゃあ」 「ミケ、さっきの!」 「了解である!」 「にゃにゃにゃにゃーん」 「喰らえ!長年の恨み!」 「にゃああ~~!!」 「ミケー!」 「もういいだろ。お前はあの悪ネコたちも飛べなかった崖を飛んだんだ。 にぼしを捨ててオレの手を取れ」 「狩りも釣りもしなくても、小言言わにゃい?」 「約束する」 「にゃああ~!!」 「…クロ、ありがとにゃん」 「ったく、急に無茶すんなよな」 「にぼしは手に入らにゃかったが」 「悪い先輩ネコに仕返しもできたし」 「シロも無事だしな。冒険としちゃ悪くなかったか」 「にゃっしっし。じゃーん」 「にぼし!?」 「一匹はすぐ懐に入れてたのにゃ」 「いや、だったらなおさらとっとと捨てろよ!」 「これで、クロにずっと狩りに出てもらえるにゃー」 芝居も衣装も妥協しなくて良かった 「力を合わせると、想像できないところまで来られる」 舞台に仲間がいると、こんなに熱くなる。 「夏組、最高すぎ」 「幸くん」 「かず」 「浸ってんなよ。ラストいくぞ」 「座長はアンタじゃないから」 「よーし、行こうゆっきー!」 |
抜錨!スカイ海賊団夏組・他 | 夏組・他 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 大冒険とお宝求め、七つの海を股にかける そうさ俺たちは泣く子も黙る大海賊団、スカイ海賊団 「船長、スカイ!」 「航海士、ヘンリー!」 「乗組員、ジョニー!」 「野郎ども!出航だ!」 「アイアイサー!」 帆を張れ!錨を上げろ! 全速前進、ヨーソロー! 「オオー!!」 「船長、船が限界っす!買い換えましょう!」 「貧乏海賊団のどこにそんな金があるって?」 「ふっふっふ。案ずるな。野郎ども、我に策ありだ!」 「船長さすがっす!で、どんな作戦で?」 「これよ!」 「ウォンテッド、海賊黒ひげ…賞金100万ドル!」 「こいつを捕まえて大金持ちって寸法だ」 「船長の考えにはマジ及ばねえっす!スゲーっす!」 「たりめえよ」 「いやいや、そう簡単に見つからないでしょ」 「痛っ」 「すみません」 「おいおい大丈夫かい、嬢ちゃん」 「私は令嬢のフランソワ。悪者に追われていますの」 「野郎ども!スカイ海賊団の名にかけて、嬢ちゃん守るぞ!」 「アイアイサー!」 「悪者に追われてるって言ったよな?」 「はい」 「さっきのは海軍だった。お前…何者だ?」 「私は令嬢のフランソワ。あなた、失礼よ」 「ふーん。じゃあこれなーんだ?」 「!」 「お前、海賊だろ?」 「いつの間に!返せ!」 「本当のことを話したらな」 「椋のやつ、随分堂々としてるな」 「うん、旗揚げの頃と大違い。オレたちも、上げて行こ」 「だな」 「つけ髭!」 「黒いつけ髭…まさか」 「黒ひげ!?」 「令嬢じゃなかったのか…」 「どこに凹んでるんすか!100万ドルっすよ!」 「お頭、黒ひげが逃げてるよ」 「おう…いや、捕まえろ!」 「アイアイサー!」 「船長!ジョニーがやっときました」 「よくやった!」 「くそ、離せ」 「悪いな。新しい船のためだ」 「よーし野郎ども!100万ドルだ!!」 「降参だ。あたしを捕まえるとはやるじゃないか。 特別にアンタらの海賊団に入ってやるよ」 「なんだと?」 「ただでとは言わない。宝の山に案内してやるよ」 「あのな、そんな簡単にウチには入れないんだよ!」 「宝?いくらの山だ?」 「推定4000万ドル」 「今日からお前はスカイ海賊団だ」 「船長~!」 「お頭は金に弱いんだから。の割に貧乏だけど」 「よーし野郎ども、出航だ!」 「アイアイサー!」 4000万のお宝目指し、風切り波上げ突き進む そうさ俺たちは泣く子も黙る大海賊団、スカイ海賊団 帆はないけど!錨もないけど!俺たちにゃロマンがある 「面舵いっぱーい!」 「船長!舵もねえっす!」 「やっぱり天馬くんと三角さんのお芝居は凄いや」 「確かに今日はちょっと乗ってるね二人。でもアンタも準主演でしょ。 もっと勝ち込んでやりな、椋」 「うん!ボクらの芝居を、ぶつけよう!」 「ようし、今夜はこの島で野宿だ!」 「なんであたしがこんなこと…」 「地図通りならお宝のあるサンカーク島はもうすぐっす!」 「ドーンされた」 「砲撃!?海軍だ!」 「おとなしく黒ひげの身柄を渡せば、他の小物は見逃してやる」 「誰が渡すか!フランソワは俺たちの仲間だ!」 「船長…きゅん」 「こいつには4000万ドルの価値があるんだよ!」 「船長、ブレない姿勢、さすがっす!」 「黒ひげを捕えろ!」 「あーあ。こりゃ仕方ないか」 「ヘンリー、つええー!」 「お頭が捕まっちまうのは嫌なんでね」 「貴様…何者だ」 「思い出した!あんた、血まみれヘンリーでしょ!」 「血まみれヘンリー?」 潰した海賊数知れず 奪った財宝星の数 血染めの旗持つ大海賊 1000万ドルの賞金首 「えー!」 「何故こんな小物だらけのオンボロ海賊団に?」 「言い過ぎだぞ」 「うちの船長は変わり者でね。金はないくせに、ロマンと仲間を捨てない。 長いこと海賊やってきたが、有り体に言や、惚れたのさ」 「ヘンリー…」 「さて、こいつをやられたくなかったら船を一艘置いて引き返しな」 「本部に伝えろ。 黒ひげフランソワと血まみれヘンリーを捕えに来てくれと」 「いや、スカイもな!」 「ジョニーもよろしくっす!」 「椋と一成の殺陣がこんなにハマるとはな」 「むっくんすごいっしょ!『ロミジュリ』見たときから、アクション やってみたいっつってたもんね!」 「ねえオレ楽しくなってきた。もっと飛ばしてもいい?」 「当たり前でしょ」 「好きにやれ」 「船長!」 「海軍将校ポール…スカイ海賊団に入れ」 「は?」 「ぎょぎょぎょ?」 「人質ってなんか、つまんねえだろ。お前が仲間に入れば、海軍の情報も 手に入る」 「あいつ、正気か?」 「誰彼構わずスカウトするんだよ、お頭は」 「さすがっす船長!こいつが入れば、俺は下っ端卒業ですね!」 「じきに海軍の仲間たちが来る。そしたらお前らは一網打尽だ」 「あったぞ、お宝だ」 「うおー船長!4000万ドルっすね!」 「なんだ!?」 「海軍だ。思ったより早いな」 「あんたもいるのに砲撃って、随分なやり方だね」 「仕方ねえ、こいつの縄を切れ。このままだと危ない」 「それはさすがに」 「船長命令だ。どうするかは、お前が決めろ」 「はわわ、船長、来ますっす!」 「よーし野郎ども、応戦だ!」 「アイアイサー!」 「ヘンリーと黒ひげを捕えよ、生死は問わん! 邪魔する者は皆殺しにせよ!」 「大佐、生かして捕えるべきです。殺してしまっては…!」 「敵に寝返ったか?海軍は絶対正義だ」 「貴様、なぜ」 「海軍はどうか知らんが、海賊は仲間を裏切らねえんだ。 それに…こっちのほうがロマンがあるだろ?」 「どうする?絶対正義さん?」 「…撤退だ」 「仲間の命は粗末にするのに自分の命は大事なんだ?」 「スカイ海賊団、覚えておけ」 「で、どうすんの?」 「スカイ海賊団へようこそ」 「…」 「おい!お前が一番下っ端だかんな!雑巾掛けから教えてやんよ!」 「そんなことより、お宝だー!」 「そうでした!…おい!何前歩いてんだよ下っ端。あーん?」 「開けるぞ!」 「うぉおおお」 「空っぽっす!」 「いや、なんでだよ!?」 「隠し場所はここで間違いないはずだよ。地図通りだし」 「誰かが先に見つけていたのか?」 「あ!」 「どうしたヘンリー?」 「いやなんでもない」 「今のは明らかに何か思い出した『あ!』だろ」 「説明しなよ、ヘンリー」 「そういえば昔、この海賊団の財宝奪ったことあったなって」 「いや、犯人お前かい!で、その財宝は?」 「使い果たした」 「おーい!もっと早く言ってくれよヘンリー!」 「でも船長は、もっと大切なお宝を手に入れてるよ」 「え?」 「これまでの冒険で得たかけがえのない絆が、何よりの財宝だよ」 「…ヘンリー」 「…いや騙されねえぞ!」 「てへぺろ」 「財宝が欲しいなら、ここからずっと東の海、 マンカイ島には、100億ドルの宝があるらしい」 「そんな情報初めて聞いた」 「俺もだ」 「海軍の機密事項だからな」 「昇格だ!」 「ありがとうございます」 「船長!そしたらまた俺一番下っ端っすよ!」 「悪いな」 「似合ってるぞ」 「下っ端顔だよね」 「誰が下っ端顔だ!」 「椋、今のアドリブだよな」 「天馬くんならツッコんでくれるかなぁと思って」 「むっくんやるう~」 「なにニヤニヤしてんの、下っ端顔リーダー」 「誰が下っ端顔だ!」 「三角、世界は色々なものであふれている。 でもその中のたった三つだけで完璧な形を作ることができるんだ。 人生で三つの宝を見つけられたら、お前はきっと幸せになれる」 「じいちゃん、オレ宝物三つ見つけたよ。 さんかく、お芝居、それから仲間。 これがオレの宝。オレの幸せの、さんかく」 「船長!船の準備ができやした!」 「よーし野郎ども、錨を上げろ!大海原に俺たちの名を轟かせろ!」 「航海士、ヘンリー!」 「操舵手、フランソワ」 「乗組員、ポール」 「下っ端、ジョニー!」 「船長、スカイ!進路はこれよりまっすぐマンカイ島へ。行くぞ野郎ども、 全速前進、ヨーソロー!」 大冒険とお宝求め、七つの海を股にかける 仲間と夢 愛と金とロマン まだ見ぬ未来へ舵をとれ! |
不思議の国の青年アリス春組 | 春組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 「遅刻だ遅刻だ。そこどいて!」 「なんだその耳。大学生にもなってコスプレか」 「いいからどいて。遅刻したら不味いんだってば」 「おい押すな」 「いいからどいて」 「おい…!」 「遅刻するー!!」 「さあアリス君、黄金の宝探しだ」 ♪らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん ♪らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん ♪らんららららら らんらんらららん らんらららららら ♪そこはボクの昼寝の場所だよ、どいてくれ、どいてくれ 「なんだお前は。ここはどこだ?」 ♪僕はチェシャ。ここは不思議の国だよ 「不思議の国だとくだらない。僕までこんなコスプレを」 ♪元の世界に帰らなきゃ。白いウサミミを知らないか ♪白うさぎなら王様のところだよ ♪案内しろ。あいつに僕は連れてこられた ♪人にものを頼む態度? 「まいいや」 ♪こいつと王様なら面白そうだ 「真澄君すごいね、初主演なのに落ち着いてる」 「お前は相変わらず楽しそうだ」 「うん。それだけじゃダメなんだろうけど…やっぱり楽しい!」 「ついておいで」 「いい。たぶん…お前は、それでいい」 「裁判の結果、白うさぎを死刑とする」 「待ってください。3秒遅刻しただけです!」 「白うさぎを時間泥棒の罪で死刑とする。牢に入れよ!」 「待て。そのウサギを勝手に殺すな」 「なぜ庇う? お前はこいつの友人か」 「違う。だけどそいつは僕にとって大事なんだ」 「じゃあお前が身代わりになれ」 「えっ?」 「特別にもう一度クロッケーで裁判をしてやろう。裁判の準備を!」 「待ってくれ。これはフラミンゴとハリネズミじゃないか」 「それが何か」 「できるわけないだろ。こんなに可愛いこの子達を…!」 「じゃあ死刑。牢に入れよ!」 「ちゃんと言えてるネー。日本語上手くなってるヨ!」 「舞台に立つなら当たり前」 「王様嫌いだけどこの役好きネ。 真澄のアドバイス通りもっと前に出ていくヨ」 「それでいい。合わせようとしないほうが俺たちは合う」 「あ~もう、仕方ないなあ!」 「なにを?」 「おりゃあ! 行くよ。助けてくれたお返しね。これで貸し借りなし!」 「何をしている! あの者達を捕らえよ!」 「ふぅ、なんとか逃げられたかな」 「地上に戻る方法を教えろ」 「そんなの知らないよ」 「はあ?」 「おや、白うさぎには会えたようだね」 「だが目的は果たせなかった。僕は地上に帰りたいんだ」 「じゃあ帽子屋に聞いてみるといいよ」 「教授!?」 「この人元の世界?に帰りたいんだって」 「もう一度あの紅茶を飲めば帰れるはずだ」 「そんな話は聞いたことがない。なあ、君たち? この少年どうするべきだと思う? …なるほどね」 「おいさっきから誰に向かって話しかけているんだ」 「目に見えるものばかりが真実ではない。 世の中には目に見えないものに大金をつぎ込む者もいる。 例えばゲームのアイテムなんかにね」 「頭が痛くなる」 「変なアドリブ入れるな」 「言ったろ適当にやるって。真澄も楽しそうじゃん。監督さんのため?」 「当たり前。だけど今日はそれだけじゃない。芝居が…楽しいから」 「え? なんて?」 「うるさい」 ♪では教えてあげよう 「世界とは常に今君がいる世界が世界だよ」 「はい?」 ♪君は僕だ。ついでに彼は君で、僕は彼 「禅問答は沢山だ。いいから元の世界に戻せ」 ♪僕に言えることは一つ、君を救えるのは 「君だけだ」 「見つけたぞ。」 「なんでここに」 「なんでって、そこは王様の席だ」 「牢に入れよ!」 「待て! 僕はこんなところで死にたくない」 「ではお友達に頼むといい。白うさぎが代わるならアリスは助けよう」 「もう貸し借りは無しだ。そもそも僕らは友達じゃない」 「お前は?」 「ご冗談。私に友達は不要です」 「お前は?」 「友達って生産性なくない?」 「ハハッ、気が合うな。僕もそう思うよ」 「気が合う? 君は僕、彼は君、僕は彼… もしかして、この世界は、僕の深層心理だとでも? 馬鹿馬鹿しい」 「友達がいない罪でお前は死刑だ」 「そうやって攻撃的になるのは、友達が欲しいからだろ」 「貴様、誰に向かって口をきいている」 「あんたは寂しいんだ。だから他人を攻撃して自分を守ってる」 「なぜお前にそんなことがわかる」 「僕が、そうだから」 「…何?」 「だから…僕でよければ友達になって欲しい」 「私と、友達に?」 「僕は友達というものがわからない。だから怖かった。誰かと関わるのが。 アンタもだろ。でもお互い初めての友達なら、 不器用同士でも許し合えるんじゃないのか」 「綴、これは脚本で俺の言葉じゃないから」 「でも、俺がして欲しかった以上の演技だよ」 「当たり前。監督の為と…役者だから」 「思ってないと言えないセリフだと俺は思うんだよ、真澄」 「友達に、友達に…なる!」 「動物達にひどいことをするのもやめて欲しい」 「やめる。お触れを出せ! 動物は全て解放、牢屋の者達も全て解放。 国民全員10連休!」 「夢の大型連休!」 「喜びすぎ…」 「さあ皆、国をあげてのパーティーだ。我が友アリスに乾杯だ!」 「オー!」 ♪らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん らんらららららん らんらんらららん らんらららららら らららんらん 「アリスを胴上げだ!」 「オー! せーの!」 「おはよう。気分はどうだい?」 「最悪です。時間をだいぶ無駄にしてしまった」 「そう、それこそがさっきの答えだ。 君だけに見えていなかったのは黄金の余暇だよ」 「少しはわかった? 大人ってのがなんなのか?」 「あんたは失敗例として参考になった」 「嫌な夢だったかな?」 「いや、そこまで嫌ではなかった…です」 「おや、ずいぶんと素直だね」 「もう紅茶はごめんですから」 「俺はあんたみたいにはならない」 「ま、悩んだらいつでも相談のるよ」 「断る。もうゲーセンはごめんだ」 「さあ、ラストシーンだ」 「アンタが仕切るな。行くぞ」 ♪僕らは一人だけど ♪僕らは一人じゃない ♪目を閉じれば 心の中で ♪いつもみんなが笑っている ♪不思議な ♪国の中で (♪国の中で) ♪見つけた ♪大切な鍵 ♪さぁ開け! 夢と心を It's a Fantasy |
ぜんまい仕掛けのココロ春組 | 春組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | とある国のとある街。蒸気によって人々の生活が支えられている時代。 錬金術師ルークは 「法で禁止されているはずのホムンクルス=人造人間を作り出す」 さあ完成だ。君の名前は、S! 「マスターおはようございます。ご命令をお聞かせください」 命令なんてしないさ。君は僕の友達だ 「困ります。マスターの命令がなくては動けません」 「じゃあ命令しよう。僕の友達になってくれ」 「トモ、ダチ?」 「ああ」 「了解しました」 「ドライだなあ。そうだ握手をしよう。人間の挨拶だよ」 「Sは左利きなのかい?」 「あぁ説明が難しいな」 「S、握手は手と手を握るんだよ」 「手と手。了解しました」 違う違う。僕と君の手を、繋ぐんだ 「これが握手だ」 「アクシュ」 「ああ、友達の印さ」 「マスターと私、友達。握手」 「やっぱりツヅルとの漫才は最高ダヨ!」 「いや芝居だわ。心の声までツッコませるって…」 「もうええわ!」 「けど、ありがとうございます。今回、めちゃくちゃ助けてもらって」 「ワタシ何もしてないネ。ずっとツヅルとふざけてたいだけダヨ」 「こんにちは先生!あれ?新しいお弟子さん?」 「やあコルト。彼はS、僕の友達なんだ」 僕は先生の弟子コルト!よろしくね、S! マスターの友達、Sです。よろしくお願いします 「痛たたた! 手が砕ける!!」 「握手です」 「力が強すぎるんだよ、S」 「先生、もしかしてSって」 「ああ。でも、僕の友達さ」 「はい、Sはマスターの友達です」 「うん、そっか。さすが先生だ!」 ルークはSに色々なことを教え、 「Sはどんどんと吸収していった」 ルークはとても楽しそうで、Sも…楽しかった、のかもしれない 「だがこのままでいいはずがないだろう、馬鹿弟子め」 「師匠」 「シショウ」 「S、僕の錬金術の先生で、ボイドさん」 「マスターの友達、Sです。よろしくお願いします」 ホムンクルスは国法で禁止されている。あの人形は今すぐ廃棄しろ 「Sは友達です。そんな言い方はやめてください」 「こいつらには人間の感情が理解できない」 「できます!」 僕が教えます。僕がSに心を与えてみせます 「やれやれ。お前には錬金術より友達の作り方でも教えるべきだったな」 「語り部と師匠の二役とか鬼すぎ」 「至さんじゃないとできない役なんで」 「綴いつもそれ言うよな」 「ゲームより面白くなってきました?演劇」 「さあね。でも、お前の本は面白いよ」 「マスター、私には“ココロ”がないのですか?」 「そんなことはないさ」 「でも、マスターの師匠はそう言いました」 「君のマスターは僕だ」 「ココロ、とは何ですか?」 「どうしてそんなに質問ばかりするんだ」 「マスター、私にココロを命令してください」 「ココロは命令するものじゃない」 「ですがココロがなければ廃棄されてしまう」 「そんなことはさせない! それよりS、しばらくは外に出るのはよそう」 「それは命令ですか?」 「命令? …ああ、そうだ、命令だ」 「了解しました」 「ルークはSを人目から隠したが、時は既に遅く、 国法警備隊長アルフの耳にSの情報が届いてしまった」 「わが国では人工知能を備えたロボットは違法だ」 「Sはロボットじゃない。れっきとした人間です」 機械と人を混同すれば必ず禍を生む 「法はそれを防ぐためにある」 ホムンクルスは見つけ次第ただちに 「破壊する」 「その扉は何だ?」 「やめてください!」 「先生、逃げますよ!」 「蒸気だけの爆弾か。これだから錬金術師は。追え! 必ず見つけ出せ!」 「S、警備隊が追ってくる。逃げるぞ」 「逃げる?法律から逃げてはマスターが罪人になります」 「そうしなければお前が破壊されてしまうんだ」 「私にココロがないからですか?私が人形だから」 「諦めろ。機械人形と人間を同列に扱うのは人の傲慢だ」 「傲慢?」 「それは違います! 先生の顔は明るくなりました。Sが友達だからです!」 「友達ごっこだろう。紛い物の友情はここで終わりだ」 「マスター」 「S!」 「S、戦え。ここから逃げるぞ」 「マスターに迷惑はかけられません」 「これは命令だ。君は僕の友達だ。 僕たちの友情は紛い物なんかじゃない!」 「了解、しました」 「S!」 「シトロンさん、こんなに…!」 「一緒に万里くんや左京さんに特訓してもらったんです」 「前より少しはマシになった」 「友達に護身術習ってたから、それが役に立ったネー」 「綴くんの本に応えられるように、みんなで絶対繋ぎます!」 「本番中に泣かせに来るなよ」 「泣くな」 「分かってるよ」 「追え!」 「だがSはこの戦いで大きな損傷を負い、 胸の奥のぜんまい仕掛けがむき出しになった」 「S、その怪我…!」 「問題ありません。私のここにはネジと歯車しかありませんから」 「すぐに研究室に戻ろう。この怪我を治さなくては」 「でも研究室には警備隊がきっと」 「また倒せばいい。このままではSが止まってしまうんだ」 「先生の罪が重くなるだけです!」 「今機能が停止したら、起動してからの記憶が消えるんだよ!」 「マスター、私のねじまきを外してください」 「何を言ってるんだ。そんなことをしたら君は壊れてしまう」 「私が動かなくなれば、マスターはもう追われません」 「駄目だ。僕と一緒に逃げるんだ。これは命令だ」 「命令は聞けません。私はあなたを助けたいのです」 「どうしてマスターの命令が聞けないんだ」 「私はあなたの友達だから、ルーク。 ルークは私に命をくれました。 ルークは私に友達をくれました。 ルークは私に、心をくれました。 私の心が言っています。動けなくなっても、私はずっとルークの友達です」 「そんな…君を壊すなんて、絶対に嫌だ」 「ルークに、外して欲しいんです。他の誰かじゃなくて」 「人間の勝手で生み出されて、壊されるなんて、ひどすぎるじゃないか」 「いつかまた会えます。私も別れは悲しい。 でも、また会えると思えば、平気です」 「ルーク、痛いです。力が強すぎます」 「僕と出会ってくれてありがとう、S」 「ありが……と…う…ル…ク」 「あの、見逃してもらえませんか? 先生は、その…!」 「国法の遵守、感謝する。非礼を、済まなかった」 「Sを連れていかないんですか?」 「動かぬ発明品を持ち帰るほど暇じゃないんだ。失礼」 「へえ。あの堅物の警備隊長がねえ」 「はい、カッコよかったです」 「で、あいつのケガの具合はどうだ?」 「もうすっかりいいみたいです。今朝も散歩にでかけました」 「あの引きこもりが散歩に? 何かの間違いじゃないのか?」 「あれ以来、先生は随分変わられたんです。まさに青天の霹靂ですよ!」 「こらコルト。大げさなことを言うな」 「あ、先生」 「もうすっかりいいみたいだな」 「おかげさまで」 「ほうねじまきか。趣味の悪いネックレスしてるな馬鹿弟子」 「これは大事な鍵なんでなくさないように。 大切な友達の心を、忘れないように」 心の中で生き続ける 大切なものは見えなくていい また会えるように 忘れないように 刻んだ音がチクタク響く ぜんまい仕掛けの 重なる想いは いつしか刻んだ 絆の証へ 最後の挨拶 凪ぐ風のもと 眠りについても 共に進もう この手に残る 思い出の鍵 |
なんて素敵にピカレスク秋組 他 | 秋組 他 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | この街を仕切ってるマフィアのボス『カポネ』 カポネ・ファミリーは強大で、誰もヤツにお縄はかけられない オラオラ!死神様のお通りだ。道を開けやがれ! ボスの命令だ。悪く思うな 「けっ、相変わらず地味に仕事してやがんなランスキー」 「騒がしいと思ったらお前かルチアーノ。品のなさが顔に出てるぞ」 「あ?」 「あ?」 「カポネの手下で凄腕の二人。だが二人は、 ソリが合わないことで有名だった」 ボスがお前をお呼びだ。付いてこい 金にがめついお前をクビにって話じゃねーか 「言ってろ」 クビになるなら騒がしいお前だ 「んだこら」 「ああ?」 「お前ら、今日からコンビで仕事しろ」 「は?」 「こいつと?」 「反論は認めない。ボスへの反逆は即ち死だ。最初の仕事だ、行ってこい」 「殿は任せろ、てめえのケツは守ってやるよ」 「腕は確かなんだがな。その口の悪さどうにかしろ」 「ずいぶんマシになったじゃねえか」 「まだお前の方が上手い」 「当たり前だっつの。本気(マジ)だからな」 「本気のお前を追い抜く」 「こっちのセリフだ馬鹿野郎」 「カポネをトるのに…邪魔だな。あのコンビ。 首を洗って待ってろ、カポネ」 「やれやれ。俺は穏やかに暮らしたいんだがな」 僕はベンジャミン。生まれつき体が弱くて、ベッドの上から降りられない ランスキーの野郎、俺様に弟のお守りだと? 兄ちゃんがここに人連れてきたの初めてだ 「ああん?」 「よほどルチアーノさんのことを信じてるんだね」 「あいつに言うんじゃねーぞ。…俺もだ」 「忘れるな。お前の仕事は警察からのスパイだ」 「分かってる」 「弟の手術成功するといいな。お前次第だろうが」 「弟には手を出さない約束だ」 「ルチアーノを殺れ。ヤツは邪魔だ」 「は?」 「ルチアーノさん、兄ちゃんのことよろしくね!」 「あぁ、任せろ」 「忘れるな。お前はただの駒だ。そして俺はカポネをトる」 「俺、舞台が楽しい。セリフがあるとかないとかじゃない。 みんなといる舞台だからだ。俺は、秋組の七尾太一だ!」 「那智、お前の夢みた場所からは、最高の景色が見えるぞ。 見守っててくれ。俺は、板の上で精一杯生きる!」 「ルチアーノ、上っ面だけ見るなと言っただろう。 お前たちはお互いの本当をまだ見ていない」 「幸夫さん。恩返しのつもりが、結局今も、もらっています。 いつか必ずお返しします。あんたにもらった、この夢の先で」 「兄ちゃん、ルチアーノさんを助けに行って」 「お前どうしてそれを」 「弟なめんなよ。兄弟だろ、顔で分かる」 「…」 友を裏切るな。兄ちゃんが僕に教えてくれたことだよ 「しかし俺は‥」 「僕は兄ちゃんの弟だから、病気なんかに負けないよ」 「僕のために、僕は僕で生きるから」 「さすが、俺の弟だ」 「結局てめぇなんだな、俺をアツくさせんのは」 「行くぞ。俺とお前なら怖いもん無え」 「何しやがる」 「知ってるか?手錠はめられる気分ってのは」 「ああ、ありゃ最悪だ。ご愁傷様」 「ランスキーとルチアーノが逃げました」 「で、手土産にこいつってわけか」 「俺は警察だ。俺に手を出すとどうなるか分かってるのか?」 「知らねえよ。俺は悪党だからな」 「いなくなりやがったか。気に入ってたんだがなあの二人。 まあしょうがねえ。あいつらを結びつけたのは俺だしな」 これからどうする? あいつの為に金がいるだろ。用心棒でもするか? それか、スパイとかな。儲かるぜ おいおい、懲りねえやつだな。まあ、なんでもいいや。なんでも屋にすっか 大雑把過ぎる。だが、楽しそうだ 悪党たちのララバイ 腐った世界でも 信じられる やつに 出会っちまったぜ 背中は預けてやるから お前は前だけ見てろ 気に入らねえがお前は 俺が認めたライバル |
まごころルーペ有栖川誉 他 | 有栖川誉 他 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | (みんなのことを愛している!) (誉さん?) (だからもう一度みんなで話し合おう!) ミミミミミラクル 不思議なルーペ みみみみ見せてよ 本当の気持ち 心と心を繋ぐ為 のぞいて 教えて 真実を (『何言ってんだ、コイツ?』) (『愛してるか。誉さんらしいな』) (おお、わかる、わかるぞ!) (『誉なりに考えてくれていたんだね』) (『マシュマロ食べたい』) (密クン、こんな時になんだねそれは!) (え?) (あ、いや、なんでもない) ワワワワワンダー 不思議なルーペ わわわわわかるぞ みんなの気持ち なんというルーペだ! 力を貸したまえ みんなが1つになるように (では、改めて今回の疑心暗鬼について話し合おう) (『蒸し返して、また変な雰囲気になるのもな…。 でも、このままだと、後々しこりが残る』) (『とは言え、どうやって疑いを晴らせばいいんだ…』) (『添い寝屋をしていたという過去は変わらないし…』) (『不審人物っていうのは否定できない…』) 1人1人が迷い込んだラビリンス 抜け出す光は心の中 掛け違えたボタン すれ違いのロマン 心を向き合わせていくのだ (紬くんはどうするべきだと思う?) (俺はリーダーとして…) (そうだね、逃げずにみんなと向き合おう) (はい) (丞くんは公演が終わるまでGOD座との接触を控えてはどうだろう?) (もちろんそれは構わないが) (東さんはその艶っぽさを武器にするべきだよ) (確かに強い武器になりますね!) (武器に…) (密くんは役者『御影密』の経歴を作ろう。 噂なんて消えてしまう程ワクワクする設定を) (『そうだ。逃げずに、この問題と向き合わないと』) (『公演が終わるまで、GOD座との接触を控えればいいのか』) (『僕の過去が芝居に生きる…。そんなこと考えたことなかったよ』) (『役者「御影密」の経歴を作る…』) (素晴らしい!!) ミミミミミラクル 不思議なルーペ みみみみ導く みんなの気持ち 心と心が繋がれば 疑う気持ちなど消えてゆく みんなの心が1つになり 全ては解決 まごころルーペ |
ルシファー エデンを追われた天使GOD座 | GOD座 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 「ルシファー」 「神の子」 「あらゆる」 「命を」 「慈しみ」 「抱きしめ」 「救う」 「神の子」 「ルシファー」 「神の子」 「ルシファー」 「しかし人間は」 「弱き人間は」 「己が欲望のため」 「彼の愛を」 「唯一愛する人を」 「破壊した」 「僕は彼らを愛していた」 「何も、求めたことはなかった」 「だが彼らは」 「己の欲望のために」 「誰かの何かを」 「奪えるというのか」 「弱い。あまりにも、人間とは」 「欲望とは、なんだ?」 「僕が君たちを救うよ。愚かで哀れな君たちを」 「悲しい存在のままで生きるよりも、全てなくなった方がいい」 「僕が人間を、救うんだ」 「神の子の剣(かのこのつるぎ)は」 「風を吹かせ」 「地を凍てつかせ」 「劫火巻き起こし」 「世界を焼き」 「雷鳴を呼び」 「空を引き裂き」 「母なる水もて」 「全て押し流した」 「神の子の翼(かのこのつばさ)からは」 「傲慢」 「羨望」 「色欲」 「暴食」 「強欲」 「堕落」 「憤怒」 「あらゆる欲望が撒き散らされた」 「見ろ。これが人間だ。奴らの本性だ。滅べよ、それが救いだ。 互いに、互いを救い合え!」 「気持ちや綺麗事。美しくて聞こえのいい言葉。 それだけじゃ辿り着けない場所がある。 この景色じゃなきゃできないことがあるんだ。 レニさんはそれを見せてくれる。誰にも譲らない。 誰にもたどり着かせない。丞、お前の失ったもの全部使って、 お前の芝居をここで壊す」 「そうだ、晴翔。演出意図に忠実な美しくブレのない肉体。 作品解釈に伴う音程、リズム、強弱による豊かな音声。 計算し尽くされた完璧な調和にこそ、人は魅了されるのだ。 見せろ、GOD座の芝居を。お前自身を捨て、観客の為の人形となれ」 「君たちが最後の二人だ」 「どちらが生き残る?」 「互いを差し出せば、どちらかは最初の人間として」 「この世界に残ることを許そう」 「だからいつかお前が戻ってきたら、僕の背中を追わせてやる」 「救ってやると言っているのに」 「救いがないな、人間は」 「どうして…お前は…僕じゃないか」 |
天使を憐れむ歌冬組 | 冬組 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 叶わない想いよ 悲しき運命よ 人間に恋した天使を 憐れむ歌 ここは、天使住まう天界 人間界の遥か高くに在る。 「そこにはミカエル、ラファエル、ウリエル、 3人の素晴らしい天使がいた」 「人間の女を好きになった?」 「うん」 「へえ。それで最近、地上ばかり見つめてたんだ」 「バカ言うなミカエル。天使が人間に恋をしても不幸になるだけだ」 守りたい 守ってあげたい 弱く儚く愛おしい人よ 不幸になるだけの悲しい運命(さだめ)だと 「それでも…」 「俺は反対しないけど、彼女、もう死期が近いよ」 「えっ?」 「ウリエルは死者の魂を天界に運ぶ天使。死期リストは絶対だ。 彼女のことは諦めろ。」 「僕のことを心配してくれるんだね、ラファエル」 「たとえ自分が不幸になったとしても、彼女を幸せにしてあげたいんだ」 「不思議だね丞。今までで一番雑念が消えてる」 「ああ。迷って迷ってここまで来たことにも意味があったのかもな」 「舞台の上でしか出会えないこの瞬間を、俺、ひと時も逃したくない」 「そういうお前だから、俺はお前と芝居がしたいんだよ」 「ふむ、死期の近い人間に天使が関わるのは禁忌」 「見守るだけでもいいんです。お願いします」 「日毎天使の力も失うよ。それでも…行きたいんだね。分かった」 「ありがとうございます、メタトロン」 叶わない想いよ 悲しき運命よ 人間に恋した天使は 不幸になる 「彼女の死期のこと、なんで教えたんだよ!」 「本当のことを知らない。大切な人に何もできない。 その悲しみをミカエルには背負わせたくなかった」 「だが、伝えたらあいつは行ってしまうだろ」 「分かってるよ!…ずっと3人でいたんだから」 「ずっと3人でいた。舞台のセリフなのに、俺、この感覚を知ってる。 ここにいたら、いつか見つかる気がする。俺の、本当のこと、大切な人」 「他人を理解できない私の心に、彼らの感情が浸透していく。 いや、観衆の心までも。これが舞台芸術か…実に面白い!」 「さあ、ここから2幕だ」 ミカエルは人間界に降りて、彼女の病院に向かった 出会ったのは 「主治医のフィリップ」 天使の羽根は、人間には見えない ミカエルは、彼女のことを教えてくれと頼み込んだ 「彼女のお友達? 彼女は今とても厳しい病状でね。 元気付けてあげてほしい」 「はい、僕も彼女に伝えたいことがあって…… でも直接会うことはできないんです」 「伝えたいことがあるのに、会えないとは不思議な話だが… それなら手紙を書けばいいんじゃないか」 「手紙……そうですね! そうします!」 それからミカエルは毎日毎日手紙を書いた 彼女からの返事も来るようになり、舞い上がるミカエル だがミカエルの羽はどんどん小さくなっていく… 「そして、ミカエルが地上に降りて数ヶ月が過ぎた」 ミカエル、素敵な報告があるんだ 「彼女の病状が良くなった。奇跡だよ」 「…本当ですか?本当に?…よかった」 「手紙に随分励まされたそうだ」 君は幸せを運んでくれた 「天使かもしれないね」 「いえ、僕は、ただの人間です」 「はは、わかってるさ。だが、僕らにとっては天使だった」 「僕ら?」 「ああ、彼女が退院したら、僕らは結婚するんだ」 「…おめでとう、ございます。よろしくお伝えください」 「ずるい伝え方だね。…すまない。 君の彼女への気持ちに気づいていながら、僕は」 「彼女の病気は治った。僕じゃ彼女を幸せにできない。 これでよかったんだ。これで…よかった」 「これが紬の表現力か、お見事。人の痛みを知っている君は、優しいね」 「東さんこそ、初舞台とは思えない。つくづく、 俳優は人生なんだって教えられます」 叶わない恋でも 天使に運ばれた恋よ 幸せに君が笑うなら、嬉しいんだ 「自分が一緒に居られるわけじゃないのに喜んで、 健気なミカエルらしいね」 「ミカエルも戻ってくるし、 人間の彼女も死なずに幸せになるし、よかったな」 「忘れたのか?人間の死期に天使は関わっちゃいけない」 「…どういう意味だ」 「彼女はリストから消えてない。 ミカエルが何をしても彼女の死期は変わらない」 「は? じゃあなんでミカエルに彼女のことを教えたんだ」 「言っただろ。何もできない悲しみをミカエルに背負わせたくなかった」 「それでも彼女は死ぬんだろ」 「でも、ミカエルは彼女の人生に関わった。彼女の幸せを見届けたんだよ」 「それでも、こんなの辛すぎるだろ」 「だから、今度はミカエルには伝えない…俺は」 「それを、なんでお前は俺に言うんだよ」 「ミカエルの為に伝えるかどうかは、 ラファエルが決めればいいと、思うから」 「君には、辛い役回りばかり任せてしまうね」 「いえ、友達ですから」 叶わない恋でも 届かない声でも あなたが信じたその道を 見守っているよ 「…行くのか」 「うん」 「彼女には婚約者がいる」 「うん」 「今度行けばもう完全に天使の力を失う。 お前はこっちには戻ってこられない」 「…うん」 「…馬鹿野郎」 「ありがとう、ラファエル」 「君たちはずっと一緒だとばかり思っていたよ。よかったのかい?」 「あいつの背中を押すのが、俺の役目なんで」 「お前ならそうすると思ってたよ」 「ミカエル!」 「2人とも、無事ですか?」 「僕も彼女も無事だ!でも…どうしてこんな…!」 「良かった…幸せになってください」 「人間を救う。ミカエル、天使の本懐を遂げたね」 「ミカエル!」 「君は?」 「こいつの友達です!ミカエル!おい!」 「ラファエル…?」 「ミカエルは僕と彼女を車から守って…」 「彼女を病院に連れて行ってください!どこか怪我してるかもしれない」 「しかし…」 「こいつには俺が付いてます」 「天使の羽…?」 「彼女、今度こそリストから消えたよ」 「君は…!本当に天使だったのかもしれないね」」 「芝居を通してみんなとつながる‥ このことだったんだね。ボクは一人じゃない…孤独じゃない!」 「…ここにいてもいいのかな…ここがオレの居場所」 「唯一、繋がれる気がする仲間達と立つこの場所」 「彼女もう大丈夫だよね?」 「ああ。心配いらない」 「愛した人を守れて、親友の君に魂を送ってもらえて、僕は幸せだ…」 「ミカエル…馬鹿野郎」 「つむ…お前ともう一度舞台に立てて良かった」 「オレもだよ…たーちゃん」 もう一度、ここから始めよう。この場所から、この仲間たちと。 |
光古市左京 | 古市左京 | 松崎史也・Yu(vague) | Yu(vague) | Yu | 「マイポートレイト 古市左京 もうずいぶん長いこと、夢から目を背けて生きてきた。 母親は女手一つで俺を育ててくれた。 貧しくて、部活も遊びも、金のかかることは何一つできなかった。 毎日寄り道もせずまっすぐ学校から帰る。母親は遅くまで働きに出ていて、 誰もいない家に帰るのが嫌で仕方なかった。 ある日、学校からの帰り道に、見たことのない建物ができていた。 中を覗くと、大人達が楽しそうに芝居の稽古に励んでいた。 オレと…MANKAIカンパニーが出会った日だ」 暗く沈んだ闇の中で 俺を呼ぶ声が聞こえた その声は無邪気で力強く 人生に光をくれた 「あのとき、オレの手をつかんで離さなかった少女の手の温もりは、 今でも忘れられない…」 後悔すらちゃんとできずに 季節だけが通り過ぎてく 埃をかぶった心を いつか磨いてやれるだろうか… 「高校を卒業した俺は、ヤクザの下っ端のような仕事を始めた。 家を助けるためとはいえ、ヤクザになる道を選んだ自分が足を踏み入れて いい場所じゃない。オレはいつしか、稽古場に顔を出さなくなった」 「それでも、劇団の公演はかかさず観に行った。 だから、劇団がどんどんさびれていくのは嫌でも目に入った。 この劇団に人が寄りつかなくなったら、少女や幸夫さんとの縁まで失われ てしまう…。 金を貸そうと思ったのは、それが理由だ。どんな方法を使っても、 自分自身の手で劇場の活気を取り戻そうと思った」 本当はずっとずっと芝居がしたかった この劇場の舞台に立ちたかった でも、今の俺はこんな方法でしか 劇団に関われない 「劇団が一番大変だった時に、支えることもできなかった。 幸夫さんへの恩返しもできなかった。 それが俺の人生最大の後悔」 |
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