Daphne

春まだ浅き
黄昏の
冷たく棚引く
風の底に

密かにダフネの
香り嗅ぐ
行く手に穿たれし
わが奈落を
閉ざすように
塞ぐように
甘く纏いつき

あなたへと
転がりゆく
心を放てと

逢いに行っても
いいですか
月影籠もる闇へ

この身が抱くのが
荊でも
ああ恋は
傷つくことを恐れぬ

静かにダフネは
朽ちるだろう
乙女の最後の
季節のように

幸福と哀しみの
狭間
私は佇み

ただあなたの
髪を撫で
眠りにつく日
待ちわびる
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