家路

最終の下りに乗る
裸の枝のような
路線図の果て

歩道橋
キャベツ畑
電話をかけながら
煙草を喫む女

独り言
呟いたなら
詠み人知らずの歌になる
街を覆う
明日の朝には消えるが

黒犬が嗅ぎ回る
ゴミ捨て場にギター
差し歯のようなペグ
弾いてごらん
歌ってみせて
♪アカシアの雨にうたれて、ラララ

独り言
呟いたなら
詠み人知らずの歌になる
街を覆う
明日の朝には消えるが

冬涸れの貯水池を
吹き渡る夜風に
唇は切れて
暖かな君の髪の中に
指を差し込むなら
心も安らおう

流れる雲が速い
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