走る階級

おやじはあの朝 アルミの弁当箱をのせて
自転車で町工場へと向かった
朝の8時になればサイレンがせかす人の暮らしを
母親は子供たちを外へ追い出した
大太郎じいちゃんが孫の夕力坊を乳母車に乗せ
ひからびた想い出を語りにくる

少女はシルクのドレスに包まれてそれは優雅なものを
光る妖精のような少女は

垣根の向こう 芝生の上で今日も走っている
でもあの娘は優雅に走る階級

ロバのパン屋は一日一度広場に来るけど
ねだればいい暮らしは知っていた
泣かすにはいられない 多くの夜を過ごして
人は人 夢を持てと教えられた
それでも毎日が楽しかったのは
あの少女のおかげ
いつも通り過ぎるだけの少女の家

ある日少女はシルバーグレーのジャガーに乗せられて
俺の前を優雅に走り去った
俺のいる階級はただがむしゃらに走る階級
でもあの娘は優雅に走る階級

ある日少女はシルバーグレーのジャガーに乗せられて
俺の前を優雅に走り去った
俺のいる階級はただがむしゃらに走る階級
でもあの娘は優雅に走る階級
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