運命のストール

突然吹き上がった風
歩道橋から舞う
まるで天使の羽根のように

宙(そら)を泳ぐストール

とっさに僕はジャンプをして
つかんだ瞬間
クールな視線を背にして
見上げた

そう喩えるとするなら
運命のストールが
ふたりをつないだ
春のやさしさに 包まれながら

視線が絡み合ったまま
一瞬、すべて止まった
街も風もきみも僕も
淡い陽射しのなか

ハッとして歩道橋に立つ
きみはあせって
ちょっと照れながらお辞儀して
…笑った

ねぇ、春の嵐のなか
運命のストールが
指に触れた時
見えることのない 花びら舞った

ねぇ、きみが宿命なら
予想を裏切りながら
直感のままに
恋に落ちてゆく そんなもんだろう

そう赤い糸じゃなくて
運命のストールが
ふたりをつないだ
なにかがはじまる そんな気がする
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