涙のゆくえ

都会の黄昏は 潮が満ちるように
コンクリートの海を 染めてゆく
おまえは瞳に 言葉をためて
サビたシグナルに もたれてた

何も 言えないなんて
二人 終りだねもう
やさしさのすれ違いも
気がつかないほど 夏は長すぎた

涙のゆくえ 愛の過去形
胸の痛みを とじこめても
涙のゆくえ ささえるように
ふるえる細い肩を ただ抱きしめた

高層ビル街の 幾何学の模様に
小さな夜の波が 寄せていた
タクシーレーンで 車を止めて
少し淋し気に ほほえみなげた

誰も 悪くないけど
きっと もう逢えないね
思い出の数だけでは
なぐさめるほど 恋は短かくて

涙のゆくえ 愛の未来形
おまえの名前 呼べないまま
涙のゆくえ ふりきるように
赤いテールライトが ああ消えてゆく

涙のゆくえ 愛の過去形
胸の痛みを とじこめても
涙のゆくえ ささえるように
ふるえる細い肩を ただ抱きしめた
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