うそつきレノン

何より私が君のことを気に入ったのは
不釣合いな程に枯れた声だった
まるで君からこぼれる鈍色の粒

時に乱暴なまでに君は繊細で
私は飽きることなくそれを見つめてた
ヘッドフォンからこぼれる聴き慣れたレノン

君のいた場所に夜毎紛れ来るのは
恋人のような素振りの暗闇のエアノイズ

うそつきレノン
私と引き換えに君は一体何を手に入れたの?
うそつきレノン
君と引き換えに私はいつか何かを手に入れられるの?

あの日君が吐き出したままの幾つかの言葉
まだ街でさまよう姿に出くわすの
歩道橋の下で呼ぶ薄汚れた猫

私は他の娘みたいに涙流したりしないわりに
そのくせ君のゴーストに水を絶やさない
誰にも言わないでいて この病気じみた私のことを

こんなに雨が続けばいつか君も溶けてくだろう
そして全て終ってもそれで君は平気なの?

うそつきレノン
私と引き換えに君は一体何を手に入れたの?
うそつきレノン
君と引き換えに私はいつか何かを手に入れられるの?
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