かおのえき

かおのかたちの かおのえき
どこが口やら 眉毛やら
誰もわからぬ かおのえき
どこが改札やら 線路やら

切符を求めて二千年
改札たずねて二億年
いつかはどこかへ行けるかも
そのうち何かに乗れるかも

人がうろつく 人が増えるよ
人が減らずに 人がたまるよ
人がうろつく 人がぶつかる
人が住みつき 町ができるよ

耳から耳へと橋をかけ
毛穴に種まき二毛作
鼻の頭からふもとへと
重なりあうよに家が建つ

まばたきひとつ 虎が飛び出す
まばたきふたつ ネズミが逃げる
泣けば洪水 笑えば地震
クシャミの嵐 みんなバラバラ

全ての人が考えているよ
どうしてこんなとこにいるのか
普通の駅に行くはずだったのに
どこかで道を間違えたのか

全ての人の 願いはひとつ
いつか行きたい 普通の駅へ
切符が買えて 売店があって
電車に乗れる 普通の駅へ

かおのかたちの かおのえき
どこが口やら 眉毛やら
かおのかたちの かおのえき
あなたの後ろに 迫り来る
×