枯葉の宿

手紙を書くしかすることがない
枯葉が舞いちる山あいの宿
一にぎりの悲しみに追いたてられて
言葉もかけずに旅に出たけれど
ぼくには何もすることがない
あなたを想っているしかない枯葉の宿

あなたがあいつを好きだと知って
ひそかに身をひき別れて来たよ
らしくもないことだよと笑われるけど
あなたを泣かせることは出来なかった
ぼくには何もすることがない
あの日をしのんでいるしかない枯葉の宿

たとえばひょっこり あなたがここへ
たずねて来るなど望めぬ夢か
枯葉の道ふみしめて現われるような
予感にひかれて窓を見つめてる
ぼくには何にもすることがない
未練をくやんでいるしかない枯葉の宿
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