雁来紅

雁(かり)が来る頃 紅く咲く
雁来紅(がんらいこう)は 庭の隅
つるべ落としの 秋の日に
紅を引いても 来ない人
柔肌にふれもせず
心だけ奪ったあなた

よけい罪です 妹なんて
きれいなまゝの愛なんて
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女

めぐる季節に草花も
色づく時が あるものを
あなた忘れた 外套を
躰に巻けば 逢えますか
洗い髪 梳(と)かす顔
いつまでも少女(こども)じゃないわ

よけい罪です 妹なんて
無情な人の言いのがれ
寒くても 寒くても
忘れない わたしは女
寒くても 寒くても
忘れない わたしは女

よけい罪です 妹なんて
きれいなまゝの愛なんて
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女
待ちわびて 待ちわびて
紅々と わたしは女
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