電気のない都市

遠い日の思い出を
繰返し話している君
多分これ以上
凍て付くことはないだろう
てつかずの宵の口

恐いのは若い所為か
裏返し話している僕
多分これ以上
鎮まることもないだろう
ささくれた薬指

ああ君は生きているよ確かに
そう誰も知らぬ闇へ息を漏らして

云わなくてもいい
分かっているさ
同じことを思って居る
この世の果て取残されて
ひどく頼りないままで

ああ君が溶けていくよ静寂に
もう二度と会えないかもしれない

ああ僕ら生きているよ密かに
そう声を押し殺した都市(まち)に隠れて
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