信天翁(あほうどり)

男の前には海がある
暗くて淋しい海がある
瞳をこらして見つめても
何にも見えない海がある
男と生まれた哀しさは
所詮女にゃわからない
震える心をいやす為
女の乳房を夢に見る

いつでも女は手さぐりで
男の後をついてゆく
戻るに戻れぬ道ならば
泣き泣き歩いてゆくも良い
陽陰で育った道草に
春のひざしは似合わない
それが男の気まぐれと
わかっていながら夢を見る

笑顔のうしろは泣き顔と
教えてくれた人がいた
笑顔で暮して死ぬも良し
泣いて生きてもしれたもの
不幸の足音聞きながら
どうにもならない恋をして
手を取りながらも震えてる
男と女はそんなもの
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