裏町の詩人

何を書こうと 裏町にゃ
派手に浮かれる うたもない
俺は淋しい 詩人だよ
袋小路の この露路は
空が四角に 見えるだけ

風に消された 灯のように
なぜに散ったか あの花は
俺はあれから 詩人だよ
石油ランプの すす壁に
すがる想いを また一つ

誰も知らない 裏町じゃ
誰に気がねも 要らぬこと
俺は哀しい 詩人だよ
黒く汚れた 運河にも
夜は泣きたい 夢がある
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