わすれな草

風が強く吹くね 大きく揺れる枝の緑がきらきら
波立つ季節 ベランダの岸辺では
一緒にいるだけで どこへでも飛べそうね
風のせいにして 何も聞かない
ほら、もう日が暮れるよ

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねりつづけ
灯がひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
コバルトの世界が 岸辺をつつみこむ
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

あなたといる他のために退屈があり
なんて寝ころんでいるうちに 夏が深まってゆく
汗ひとつかかずに 重いドアを開くと
破裂するような まぶしさだけが
全てを熱していた

あなたへのときめきには ウソつかずそのままにした
まるで永遠につづくような この夏の暑さのように
コバルトの世界が 岸辺をつつむころ
足元で揺れていたよ あの日 わすれな草

すみれ色に染まる空に 木々は黒くうねりつづけ
灯がひとつ 星がひとつ そしてキスをひとつよりも
そして夢の中に 岸辺を映しこむ
足元で揺れているよ あの日の わすれな草

足元で揺れていたよ あの日 わすれな草
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