男 安兵衛・喧嘩花

火事と喧嘩は お江戸の華よ
俺が出なけりゃ おさまらぬ
意見御無用 この赤鞘(あかざや)は
義理と情けの 二本差し
男 安兵衛 喧嘩花

なに、今何時だ?
四ッツだと、ええい間に合わぬか…
おのれ卑怯千万、村上兄弟!
待っていてくだされ、伯父上殿…
安兵衛、必ず助太刀いたし申す
武士の魂、桜花
むざむざ散らして なるものか!

五合枡酒(ますざけ) 一気に干して
高田馬場まで 虎走り
車(くるま) 袈裟斬(けさぎ)り 真っ向割りと
見事助太刀 男意気
呑んべェ 安兵衛 喧嘩花

弥兵衛殿、いやお義父上、
ええい、ご老体!
ここは安兵衛にお任せくだされ
こやつは誰あろう、吉良の剣客清水一角
安兵衛、生涯二度目の大喧嘩でござる!

雪を蹴立てて ひとうちにうち
空に轟(とどろ)く 山鹿(やまが)流
主君仇討ち この晴れ姿
義父(ちち)とふたりの 父子(おやこ)鷹
男 安兵衛 喧嘩花
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