記憶の部屋

今日も街がオレンジ色に溶ける頃
後ろ髪ひかれながら
帰りゆく人の群れを眺めていた
僕らはいつも行方知れず

現実を逃れてみたい
君の手を引き彷徨う
ここはあの時のままで
染み付いた記憶の部屋

明日に帰るまで
せめて今だけは
君をここに閉じ込めたいのさ

あの日分かれ道
他にもあったのに
僕の胸を叩いて泣いたよ

溜息が霧となり夜明けがきて
つま先鳴らす音が響く

現実は幻みたい
僕は時々血迷う
ここはあの時のままで
染み付いた記憶の部屋

君に沈むとき 視線が合うとき
隠した想いがこの胸になだれ込む

言葉じゃなくなって
心もなくなって
まるで失われた世界に

あの日分かれ道
走りきれたのに
同じ夢は二度と見れない
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