小島の女

明日の朝には あんたは船に
あたしは桟橋 手を振るだけさ
泣かないよ 慣れてるさ
男は みんなおなじだよ
あたしは小島の 居酒屋ぐらし
北から放浪(なが)れて 瀬戸内に来た
男を忘れに島へと来たものを
おんなは 哀しいね
旅の人 あの日来たあんた 泊めたよ

あたしの身体(からだ)を 男がすぎた
何人だったか かぞえたくない
人生に 別れなら
いつでも そうさつきものさ
あんたに抱かれてもうじき夜明け
カモメが泣いたら あたしは起きて
みそ汁なんかをつくって送り出す
約束 いらないよ
またふたり 縁があったなら 逢えるさ

あたしは小島の居酒屋ぐらし
後添いぐちでもあったら行くよ
ここらで普通の苦労をしたいから
おんなは いつだって
やすらぎの 寝ぐら探しては 生きてる
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