フライング

山脈はるか 高原のかなた
ひとり旅するところ
古はるか 潮騒のかなた
幻の奇しき都
沙羅双樹の木蔭に憩う
老いたひとりの男に出会った
日暮れし里へのその道を聞けば
遠く指さし 静かに笑った

初めてぼくは知ったのさ
人の命の哀しさを
初めてぼくは知ったのさ
白く続く道の涯てを

山脈はるか 高原のかなた
ひとり旅するところ
古はるか 潮騒のかなた
幻の奇しき都
緑の樹々に陽はそそぐ
光りの中でぼくは飛ぶ
梢を渡って風が吹く
風の背中でぼくは走る

山脈はるか 高原のかなた
ひとり旅するところ
古はるか 潮騒のかなた
幻の奇しき都
石の温もり 夕べの市場
行き交う人々の賑わい
呼び声きいて 翼返せば
光と影がまどろんでいた

初めてぼくは知ったのさ
人の命のみじめさを
初めてぼくは知ったのさ
風と語る石の言葉

山脈はるか 高原のかなた
ひとり旅するところ
古はるか 潮騒のかなた
幻の奇しき都
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