判決を待つ受刑者のような瞳で

燃えるようなアスファルトの上漂ってる
揺らめく町の景色それは蜃気楼
動かなくなった老人死人さながらに
徘徊する時は躊躇いを重ね過ぎて行く

探さないでくださいと書き置いた履歴書
引きずるデニムの裾は地上から数センチ浮いている
判決を待つ受刑者のような瞳で
逃げ遅れた獲物は安らかな眠りを探している

右手にかざした勇気はもう乾涸びて
左手に抱えて愛情は砕け散ったまま
それでも捨てきれないこの存在はなんだろう
果てのない真ん中で微かに震えたまま

一斉に鳴きだしたそれはセミなのか鳥なのか
羽を持つすべての人々を見下ろすもの
ここからぼくがいなくなればそれでいいんだろう
誰もいない世界には何も語ることはない

夕暮れは暗闇に滲むオレンジ色のインク
知らぬ間に愛を覚え愛故に傷ついて
落とした涙の毒は海に垂れ流されて
すれ違う者は皆エキストラのように霞んでゆく

悪いのは全部ぼくのせいだなんて言わないで
笑えないのは君のせいだなんて思ってない
黄昏に浮かぶ鳥の群れを見上げれば
誰の物でもない溜め息は溢れるだろう

右手にかざした勇気はもう乾涸びて
左手に抱えて愛情は砕け散ったまま
それでも捨てきれないこの存在はなんだろう
果てのない真ん中で微かに震えたまま
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