女坂

身丈の着物の私をつれて
母は黙って背負子(しょいこ)で歩く
山道いつも聞かされたのは
一つ覚えの夕焼け小焼け

何が生きてて しあわせか
母の顔では 知りかねた
あの日けわしく思えた道を
今あなたとなら たどってみたい

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう

湯上り子供ら寝かせる声で
やっとその日が終ったような
祭りも盆も変らぬ色の
絣(かすり)の柄まで覚えています

耐えることしかない母も
夢を見た日は あるのやら
強くかよわく やさしい背なは
みな忘れたよと 答えるけれど

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう

何が生きてて しあわせか
母の顔では 知りかねた
あの日けわしく思えた道を
今あなたとなら たどってみたい

行く坂 はるかな女坂
私も母に似てきそう
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