誕生日、ペペロンチーノにやさしくされる

誕生日なのに君はまた仕事
「ただの平日だよ」って笑う
いくつもの不満をこらえた
精一杯の笑顔

凍えるような暗い夜
疲れて帰ってきた君を
体の芯の方から
暖めてあげるよ

君が二度と寒い思いをしないように
君が二度と怖い夢を見ないように
君と同じところが痛むんだ
どうかもう小さな手が震えないように
大変だった今日をちゃんと乗り越えて
明日もまた戦う君のことを
少しでも元気付けてあげたいから
僕をフォークでくるくる巻いて

僕は君だけのペペロンチーノ
ニンニクとオリーブオイルと唐辛子が
パスタの茹で汁と絡まって
君の心を躍らせるよ

今日も忙しかったの?
誰かに嫌なこと言われた?
我慢しなくてもいいよ
僕は知っているよ

君が飲み込んだ「疲れた」の数も
君が我慢したあくびの数も
そんなもの全部吐き出してよ
代わりに僕が君の中にいるから
がんばり屋さんな君のことだから
自分でうまくブレーキ踏めないんでしょ?
僕が胃の中でもたれてあげるから
僕のベーコンを噛まないで飲んで

君の努力がハッピーエンドで終わるように
君の苦労が誰かのためになるように
インスタントの僕のようにすぐ消えてしまう
今日だけしか輝かない言葉を

「お誕生日おめでとう」
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